遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

鑑定本8 お金と骨董の本、5冊

2024年09月23日 | 故玩館日記

今回は、お金と骨董との関係を扱った本、5冊です。

杉江唐一『しろうと骨董実用ガイド』、加藤孝次『骨董経済学』、光芸出版編『骨董買いウラ話』、光芸出版編『骨董・アンチック価格図鑑』、渓水社篇『浮世絵価格事典』。

杉江唐一『しろうと骨董実用ガイド』啓明書房、昭和63年。

サラリーマン蒐集家を自認する著者が、その体験をもとに、しろうとのために書いた本です。『美と用と利 しろうと骨董実用ガイド』のタイトルにあるように、美と用と利から、骨董案内をしてくれます。特に、「利」について書かれているのが、この種の本としては珍しい。

加藤孝次『骨董経済学』秋元書房、昭和46年。

タイトルに、『〈買い方と売り方のコツ〉骨董経済学』とあるように、例を多く挙げて、骨董品の売り、買いのコツを実践的に述べています。扱われている品は、陶磁器とガラスが主ですが、漆器や古経切にまで話しは及んでいます。著者は有名なガラスコレクターなので、ガラス製品についての内容が充実しています。

光芸出版編『骨董買いウラ話』光芸出版、昭和57年。

タイトルに、『プロ・アマ体験集 骨董買いウラ話』とあるように、プロ、アマを問わず、骨董の買いの失敗談、裏話しを集大成したものです。有名な骨董店主から、市井の骨董愛好家まで、生々しい滑稽談がこれでもかというくらい載っています。書画、陶磁器から、漆工芸、木工品、ガラス、刀剣まで、よくぞこれほどと思えるくらい、手を変え品を変えて、贋物が横行しているのですね。

光芸出版編『骨董・アンチック価格図鑑』光芸出版、昭和58年。

非常に多くの骨董品(1000点ほど)について、写真と価格が載っています。品物は、陶磁器、ガラス、民具、文具、仏像など多岐多様です。また、人形やアクセサリーなど西洋アンティークも価格が載っています。いわゆる名品などではなく、我々にも手が届きやすい物ばかりです。どこかで見かけた気がする品物が多いです。どうやら、当時、東京にあった骨董ビルの品がまとめられているようでした。この時代に発行された本にしては、写真がかなりクリアーです(紙が良い)。

渓水社篇『浮世絵価格事典』光芸出版、昭和53年。

価格評価が難しい書画・骨董のなかでも、浮世絵は特別ではないでしょうか。同じ作者であっても、出来、図柄、刷り、保存状態によって、非常に大きく価格が異なるからです。この本では、皆目見当がつかない浮世絵の相場の目安を、作者、あいうえお順に記しています。それにしても多くの浮世絵作者がいるものです。この本には、数百人載っています。そのほとんどが、初めて目にする人です。浮世絵の世界も広く深いのですね。

我々ビンボーコレクターにとって、最初から最後までつきまとうのがお金の問題です。右も左もわからない駆け出しの頃は、こういう類の本を、それこそ藁をもつかむ気持ちで読み漁りました。で、何十年かたって読み返してみると・・・・・今も新鮮・・・お金と骨董の問題は、永遠に不滅です(^.^)

コメント (8)
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