遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

青磁白黒象嵌魚紋梅瓶

2021年08月25日 | 古陶磁ー高麗・李朝

今回は、白黒象嵌が施された青磁梅瓶です。

最大径17.6㎝、口径4.6㎝、底径10.7㎝、高27.2㎝。李朝?

これまで紹介した青磁象嵌は、白象嵌でした。実際は、白土だけでなく、黒土を組み合わせた製品も多くあります。今回は、その一つです。

魚模様が特徴的な品です。

反対側にも、ほとんど同じ魚がいます。

魚釣りに凝っていた頃の名残りの品です(^^;

肩と、

下部には、連弁紋。

全体に青磁釉と思われる釉薬が掛かっていますが、発色は悪く、濁っています。

釉薬の掛け方もぞんざいで、下の方はムラが多い。

畳付には、白泥のようなものがぬられています。

今回の品、あまりすっきりとした青磁象嵌ではありません。時代も不確か。いまいちパッとしません。

これはひょっとして一杯喰わされたか?

軽妙な魚も、こちらをバカにしているようです(^^;

疑われるのは、偽物象嵌。

よくあるのは、手間のかかる象嵌のかわりに、白や黒の色釉で絵を描いて済ました物です。

この品は、描線が1㎜ほどと細く、筆で描いた魚のようにも見えます ・・・・・・・・が・・・

魚の腹側の線に沿って、ヒビが入っています。

おお、これはまさしく、象嵌削りの溝です。

象嵌では、まず、器胎表面を削って溝をつくり、そこへ白土や黒土を埋め込んで、表面全体をざっと削った後、青磁釉を掛けて焼成します。この時、象嵌によって、器体にひずみがかかっているので、象嵌模様に沿ってヒビが生じやすいのです。また、釉薬にも象嵌部部には特有のジカンが現れることが多いです。

今回の品には、大きなヒビが見られ、魚の模様は、描画ではなく、象嵌によって表されていることがわかります。

もう一度、冷静に品物を見てみると、右上から左下に向かって、小カンナで削ったような跡が幾筋もあるのがわかります。これは、象嵌した後、表面を削って、余分な白土、黒土を取り去り、同時に、象嵌部の輪郭をはっきりさせるための処理です。

魚の一番後ろの腹びれを拡大してみると、

非常に細い白象嵌で、腹びれが鋭く表されていることがわかります。高度な象嵌技法ですね。

この壷、時代はさておき、象嵌青磁として、最低限の条件はクリアーしているようです。

どうやら、パッとしない最大の理由は、にぶい青磁(かどうかもわからない)釉にあるようです(^.^)

 

 


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2 コメント

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遅生さんへ (Dr.K)
2021-08-25 16:20:48
象嵌青磁といえば、白黒象嵌青磁ですよね(^_^)
ただ、なかなか象嵌文様がハッキリしないのが多いんですよね。
その点、これは、魚の文様がハッキリと白黒象嵌されていて、嬉しいですね(^-^*)
青磁の色も、肩から胴の辺りにかけて、なかなか良い青磁色にあがっていますね(^_^)
時代が少しでも多く遡れるといいですね(^-^*)
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Dr.kさんへ (遅生)
2021-08-25 17:51:39
これは家人からもサンザンだったので、隠すようにしてしまってあった物です。
10年以上の時間を経ての御対面でした(^^;

朝鮮半島の物は難しいです。売る方も本当は半信半疑。もちろんこちらは五里霧中です(^.^)
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