遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

古活花を探る(8)遠州流挿花淵源集

2024年07月16日 | 花道具

先回のブログでは、祖父が残した池坊関係の書類などを紹介しました。ほとんどが木版で、あまり有難みを感じられませんでした。一方、祖父が残した活花写真は、池坊とは程遠いものばかりでした。おそらく、池坊をチョッと齧ってみた、にすぎなかったのでしょう(^^;

実は、活花関係の物は、他にも残されていました。

今回の品に関しては、池坊関係とは異なり、書き物は、全部、肉筆写本です。

まず、4冊のノートと和綴じ本です。

活花遠州流の江戸時代の基本書『遠州流挿花淵源集』の写本です。

いずれも、墨、青インク、黒インクでビッシリと書き込まれています。

百年以上前にも、大学ノートはあったのですね(^^;

若き日の祖父が、一生懸命に写したものでしょう。

一巻 初伝之巻 、二巻 初伝の巻 通義、三巻 極意之巻 乾 、四巻 極意之巻 坤、五巻 免許之巻です。

その一部を紹介します。

一巻:初伝

二巻:初伝通義

三巻 極意 乾

四巻 極意 坤

五巻 免許

 

遠州流は、小堀遠州を祖とする流れの中で、江戸時代中期に誕生し、江戸後期から明治にかけて非常に盛んになった活花の流派です。その特徴は、美しい曲線美です。花材の自然の姿を最大限に生かしながら、理想の美に近づけるのです。先に紹介した祖父の活花作品からも、何となく納得できますね。

遠州流は、池坊などと異なり、大きなピラミッド型組織をつくっていないそうです。流儀の大枠は変わりませんが、各地にある地元の遠州流が独自に活動してきたようです。

そのような事情からでしょうか、江戸時代には遠州流の活花書が多く出版されました。それにしても、今回のような大部の書を写すのは相当の年月がかかったと思います。それを敢えて行ったのは、正本が簡単には入手できなかったのか、それとも、自分の手で写すことによって、深く学ぶことができるためか・・・おそらく両方の理由からでしょう。

まとまな字も絵もかけない私にとってみれば、祖父は実に遠い存在です(^^;

 


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11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ぐふ)
2024-07-16 11:50:45
絵として示しかたとしても興味深いです。
あ、でも私も、ある博物館で興味深い展示品を猛烈な勢いで鉛筆で大量に写して何枚にもなったのですが、ほとんど誰に見せるでもなく失ってしまいました。それはよくかけてましたよw(自画自賛^^;)
私も母方の祖父の事を思い出します・・・あ、それはそのうち、自分のところに書きましょう^^
竹筒の加工例にしても、まるで思い当たるかのような伝わり方、内心、「おお~」であります。
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遅生さんへ (Dr.K)
2024-07-16 12:03:11
なるほど。前回の池坊の免許皆伝書は、「池坊をチョッと齧っ」た程度の、花嫁修業修了証程度のものだったのですね。それで、木版摺り、、、。

本格的に活花を学ぶには、古に遡って学ばねばならないのですね。
それにしても、多くの古書を模写して学んだ、お祖父様の情熱には頭が下がりますね。
情熱だけでなく、書き写した文字も、描き写した絵も素晴らしい腕前ですね。
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ぐふさんへ (遅生)
2024-07-16 13:06:11
ぐふさんは、絵のこころえがおありなのですね。
うらやましいです。絵や字は、全くダメです。
竹筒花生は、自分で作るのが基本だったようです。これまた、手先の仕事ですね。私にはとても無理です。
花道具と一緒に、古竹が大量に残っていました。真っ先に処分しました(^^;
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Dr.Kさんへ (遅生)
2024-07-16 13:36:08
コピー機などない時代とは言え、上手いものですね。よくこんな絵や字がかけるもんだと感心します。しかもこんなにも大量。
祖父とは、本当に血がつながっているのでしょうか(^^;
妙な物にこだわる情熱を受け継いでいることだけは確かです(^.^)
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Unknown (ぽぽ)
2024-07-16 16:27:44
遅生さんへ

花もちゃんと型とかあるんですね。
感覚的に見えてしっかり計算があるということでしょうか?
それにしてもじいちゃんすごいですね!
こんなに上手に写せないと思います。
何より熱意がなければ無理ですよね(^^;)
この写本は遅生家の宝物ですね!
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Unknown (ぐふ)
2024-07-16 17:31:53
だー!? 処分、しちゃったのですか? そんなー。^^;
しかし、あの固い竹をきれいにくりぬくなんて、根気もいるでしょうね。
 遅生さまの笛や知識は、すばらしいので、絵や字は だなんてご謙遜でしょう ^^
絵だけはちょっと自信があったのですが、私は万事、興味どまりでできていません。ってことで、口出しだけしているのでしょう(vv;スミマセン
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記憶の彼方へ (highdy)
2024-07-16 22:48:51
遅生さんのお父上は私にとっては雲の上のように感じられますが、遅生さんに
とっても尊敬すべき存在なのですね。
特に昔の方は人間的に偉人が多いです。
私も若い頃、池坊を齧ったことがあります。ここに書いたような気もしますが、
ハランの3枚から初めて15枚で終わり、次は二種生け、三種生けまで少しやり
ました。
でも、50年以上経ったいまはすべて記憶の彼方になっています。
池坊には3つのスタイルがあり、①「立花(りっか)」、②「生花(しょうか)」
③「自由花(じゆうか)」=一般に言う盛花かな? があり、私は①と③は全く
分かりません。
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ぽぽさんへ (遅生)
2024-07-17 08:30:04
確かに「型」ですね。
基本は、柳腰のフォルム、さらにその組み合わせ、花によるバリエーション等々から成り立っているようです。
ビジュアルな活花や書道だけでなく、鼓や笛などの音曲でも、日本の伝統文化では、型が崩れるとガタガタになってしまうことがよくあります。
逆にいうと、型を守ってさえいれば誰でもそこそこまで行けるようになっているシステムです(^.^)
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ぐふさんへ (遅生)
2024-07-17 08:35:48
どうして、字や絵が、もう少しマシにならないのか、自分でも不思議です(^^;
幼稚園、小学低学年から、ほとんど変わっていません(^^;
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highdyさんへ (遅生)
2024-07-17 08:46:48
そうですね、池坊について、以前書いておられましたね。
私のように、全く経験の無い者とは違いますね。
ブログを書いていても、はたしてこれでいいのだろうか、トンチンカンなことばっかり言ってないだろうか、といつも不安になります。
祖父は、私が3才の時に亡くなっているので、顔も覚えていません。
ただ、ガラクタを残す性癖だけは、しっかりと受けついでいるようです(^.^)
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