今回の品は、染付の大皿です。
径 41.1㎝、高台径 19.7㎝、高 7.9㎝。中国明時代末。
かなりの大皿ですが、真っ二つに割れた物を、焼継ぎで完全に接着してあります。指ではじくと、非常に澄んだ音が長く響きます。私の持っている大皿の中で、一番の音色でしょう。
きれいな発色の呉須で、ビッシリと絵が描かれています。
中央には、生き物たちが楽しそうに遊んでいます。
飛び回る鳥たち。
楽し気な2匹の鹿。
見上げる兎。
どれも、穏やかで楽しそう。
平和で長閑な楽園でしょうか。
外周には、楼閣山水。
裏面には、植物模様が描かれています。
高台周辺には、砂が付着しています。
さて、この大皿はどういう物だろうか?初めて見るタイプの皿です。中国の品であることは間違いないとしても、いつ頃どこで作られた?
呉須赤絵に似ている点もありますが、こんなにきっちりとした絵付けではないし、何よりも、全体の白さが違います。非常にきれいな白い器肌です。
そこで、苦しい時の天〇堂さん頼み。中国物や茶道具に強い老舗に、この大皿を持ちこみました。すると「こりゃあ、あいえごすだがや」と、三河弁丸出しの親爺さん。「アイエゴス!????」・・・キョトンとする私に、親爺さんは奥から一抱えもある大皿を持ってきて・・・「これもそうだがや」・・・なるほど、同一ではありませんが、よく似た絵柄の染付けの大皿です。もちろん、完品。しかも私の品よりも、さらに色が白い。どうやら、この手の皿を、「藍絵呉須」とよんでいるらしい。ただ、数が少ないので、業者さんでもこの用語を使う人は限られています。
現在、呉須赤絵も含め、下手の中国品に、かつてのような人気はありません。その傾向が特に顕著なのが、呉須手とよばれる染付の大皿です。見込みに、龍らしき生き物が2匹大きく描かれた大皿は、どこの骨董市でも見かけます。一見何が描かれているのかわからないほど奔放な絵付け、くすんだ呉須の色、灰白色の器体が特徴です。
今回の品は、このような呉須手とは明らかに違います。画面が非常に明るく、マンガのような線描で、動物や植物がしっかりと描かれています。画面は、あくまでも白く明るい。
少しタッチは違いますが、古染付に2匹の鹿が描かれた皿があります。やはり、草木に取り囲まれています。
いろいろな点を考えると、今回の品は、中国南部、山西、広東省、景徳鎮の影響下の民窯で焼かれた物ではないかと思われます。
先回のブログで紹介した細描赤絵金彩大皿と同じく、下手雑器の中で、ほんの少し背伸びしたニッチ品といえるでしょう(^^;
私も、鹿さん、鳥さん、兎さんたちが遊ぶ桃源郷に入れてもらい、浮世を離れて、しばしうたた寝(^.^)
前回の大皿に似たようなものは、確かに、幕末九谷にありましたよね。ということは、我が国にも、かつてはそのオリジナルが伝来し、珍重され、それが写されたのですね。そのオリジナルの一つになるわけですね。
今回の大皿に似たようなものは、私も、本かなにかで見たような気がします。
私も、遅生さんの推論のとおりかと思います(^-^*)
なるほど、「藍絵」の「呉須手」というところから、「藍絵呉須」というのでしょうか、、!?
これらの大皿は、伝来数が少なかったのでしょうか、、。
美術品でもなんでも、数が少ないとマイナーな存在になってしまいますよね。
ある程度の数がないと普及しませんから、多くの人にその価値を認めてもらえませんものね(~_~;)
これらの大皿は、大ニッチですね(^-^*)
こうして紹介されることによって、大いにその存在価値が高まることと思います(^-^*)
そして、故玩館の存在価値も、、、!!
先回の金蘭手もそうですが、中国南部から東南アジアには、野生の面白さがありますね。未開のジャングルみたいなもので、まだまだ何かが潜んでいそうです(^.^)
この皿、購入した店の主人も、「どういう物かはわからないが、これだけの焼継ぎがしてあるので、きっといい物ですよ」と言ってました。何!素性がしれない!・・・・それなら買うしかないな、となった訳です(^^; 以前紹介した禁裏御用品?の菊紋皿も、同じ店で、「どこの物かわからないけど、センスがいいですよ」と言われて、そそくさと購入した品です(^.^)
やはり、中国は広大ですね。ローカルな窯はいっぱいあったでしょうから、まだニッチの可能性はありですね(^.^)
私も「藍絵」の「藍絵」の「呉須手」から来ていると思います。本当は「呉須手」の「藍絵」から来ている、「呉須藍絵」の方が良いようにも思うのですが。まあ、ネーミングは早い者勝ちですから(^.^)
この店の主人は、骨董のセンスが良いですね(^_^)
このような店から、大ニッチ、大珍品が出てくる可能性が高いですね(^-^*)
そんなわけですからニッチも期待薄です。
もっとも、もう長い間、取引していませんが(^^;