大皿・大鉢シリーズも、いつのまにやら20回目です。
ここしばらく、呉須赤絵や国内の呉須赤絵写しの陶磁器を紹介してきました。
呉須赤絵は、近年、値崩れが激しいとはいえ、茶道との関係で珍重され、骨董界では古くから鑑賞陶器としてコレクションの対象となってきました。当然の事ではありますが、名品はおさまるべき所に納まっています。後発組の一人として、私が呉須赤絵を集めたとしても、先人たちがたどった道のごく一部をなぞるにすぎません。この事は、呉須赤絵に限らず、ほとんどの骨董アイテムについて言えます。
おまけに、骨董は金とセットで動きますから、蒐集品の質と量は、資金力に比例します。ビンボー人は金持ちに勝てない。勝負は初めから決まっているのです。
いくら自己満足の世界とは言っても、これでは空しすぎます(^^;
そこで、私が作ったモットーがこれ:「骨董はニッチにあり」(^.^) かの瀬戸内寂聴さんもおっしゃって・・・・いなかった(^^;
王道の隙間や横道をうろついて、見捨てられていた物、忘れられた物、消された物などを、ぽつりポツリと拾い上げていくのです。いわば、骨董界のクズ拾い(^^;
その中でめぐり合った一枚の大皿がこれです。
径 38.3㎝、高台径 19.7㎝、高5.8 ㎝。中国明時代?
外縁の所々に、虫喰い状の釉剥げがあります。
これは一体、どこのどういう品か?
骨董屋の亭主も首をかしげるばかりでした。
おお、これこそニッチ!!(^.^)
上、下を見る。
右回りに、四分の一ずつ。
皿面全体に、赤絵が驚くほどの細かさでビッシリと描かれています。線描きの一部には、金彩が使われています。
幕末の九谷焼宮本窯の赤絵九谷を思わせます。もちろん、この品の方が相当に古いです。九谷赤絵は、中国のこういった品を手本にしたのでしょうか。
中央の三賢人を中心に、放射状に絵が広がっています。
三賢人を囲む四角枠には、なにやら文字らしきものが書かれています。
三賢人の横にも、意味ありげな文が書かれていますが、よくわかりません。
四角枠の外側には、鬼面が4つ配置されています。
さらにその外側には、いろいろな模様がビッシリと描かれています。
古伊万里に見られるような地紋です。その外側には、帯状に鳥さん?
最外周には、奇妙な魚(鳥?)が向かい合って2匹。その間にも文字。
そして、花紋。
皿の底をみると、鉄味をおびた灰白色の土に、白化粧が施されています。これまで見てきた呉須赤絵大皿と一緒です。
異なる点は、くっ付きを防ぐための砂が付着していないのと高台内に放射状に削った跡がみられることです。
裏側の赤絵も、呉須赤絵に時々みられる模様です。
爪で弾くと、ざっくりとした土からは想像できない良い音が、キーンと響きます。
このように見てくると、この品は、中国南部、広州、広東の呉須赤絵が焼かれた窯の近隣で作られたと考えるのが妥当でしょう。
呉須赤絵は大量に造られた輸出品です。大皿を効率的に生産するため、絵付けは簡略化され、陶工がものすごいスピードで筆を走らせました。その結果生まれた奔放な絵を、日本の茶人たちが愛した訳です。
それに対して、今回の皿は、一枚仕上げるのに、相当な手間を要します。輸出品では、割が合いません。中国国内向けの品だったのでしょうか。景徳鎮金襴手の地方版(^.^)
この品が日本へ渡ってきた経緯は不明ですが、使われた痕跡は全くありません。金彩の擦れも無し。
我々には、景徳鎮金蘭手の本物、ましてや大皿なぞ望むべくもありません。もし、この皿が、彼の地で本歌にあやかろうと試験的に造られた地方窯の物なら、それこそニッチの神髄。ビンボーコレクターにふさわしい品ではないかと、新年早々、悦に入っている次第であります(^.^)
既に発見されて定着したものを後追いするとなると、金持ちにはかないませんよね(~_~;)
私も貧乏コレクターの一人ですから、やはりニッチ狙いが本命です。
でも、長いことやっていますと、たまには、王道を歩んでいたのに傷付いて見捨てられた物を拾い上げたりとか、目こぼされて王道を歩めなかった物を落ち穂拾いよろしく拾い上げることができるようですよね(^_^)
これも、そんな可能性を秘めていますね(^_^)
国内では見かけませんし、国内で発行された本などにも登場してきませんよね。
中国本土には残存しているのかもしれませんね。
それこそ、美の新たな発見、新分野の開拓につながるのかもしれませんね(^_^)
初夢に登場しそうですね(^-^*)
相場より格安で品物を得るのが掘り出しではないですよね。骨董業者が素人相手に安く買いたたいて品物を集めるのは、掘り出しではなく、商売人の利ザヤ稼ぎ(^^;
Drの美、「新たな発見であり、創造」が伴ってこそ、本当の掘り出しといえますね。この時の醍醐味と満足感は何物にも代え難い。一種の麻薬みたいな魔力をもってます。で、また性懲りもなく、地べたを這うようにガラクタ集めを再開することになります(^^;
Drの場合、蒐集が、伊万里陶磁器の見直し、特に色絵磁器の評価が激変した時期でもあり、新たな発見や創造が数多くなされたのではないかと思います。手ごたえ十分、納得のいく、充実したコレクター人生ではないでしょうか。うらやましい限りです(^.^)
そのため、それまでは高嶺の花だった古九谷や柿右衛門に手が届くようになりました。
でも、鍋島は、後期鍋島には手が届くようになりましたが、盛期鍋島には手が届きません。
それに、そうは言っても、やはり、貧乏コレクターですから、集まったものは、数も少ないですし、一級品ではないですよね(~_~;)
遅生さんのコレクションの仕方は間口が広いですから、中には、既に、新たな美の発見をしているジャンルがあるのではないでしょうか(^-^*)
他の追従を許さないで独走している分野があるのではないかと思っています(^-^*)
素晴らしい大皿ですね。
我が家にも大皿があるらしいのですが、昨年も本土蔵に入らずでした。
お掃除は??
いえいえ、もうそこまで手が回りません。本宅だけで手一杯で、こちらもまた春に修理工事です。
外仕事なければいいのですが・・・こちらも一人で奮闘で(;^_^A
とはいえ、またロマン一杯のお部屋にお邪魔させて頂きます(^^♪
大皿は、写真ではなかなかピンときませんが、実際の物に接すると、迫力が普通の皿とはけた違いです。
ぜひとも、蔵から出してやってください。
家の補修も大変ですね。故玩館も大改修の前は、数年おきに何かかんかの工事をしていました。ところが、大改修でほとんどそっくり変えることになり、その数年前に吹き替えた屋根瓦が全部パーになりました(^^;
「ロマンの部屋」と言っていただけるとうれしいです(^.^)
素晴らしいですねぇ(^^)/~~~
年初を飾るにピッタリで、良いものを見せていただき心が軽く弾みます。
寡聞にして、私はまだ図録なので、この手の品を見たことがありません。200年位後の幕末九谷には、よく似た品があります。俗に、八郎手といわれる九谷です。
図柄は、何か意味がありそうです。解明できると面白いですね。
金蘭手ですから。お正月飾りから大きく外れてはいないと思います(^.^)