遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

漆絵くす玉紋中皿(5枚)

2021年11月12日 | 漆器・木製品

今回も、漆絵の木皿、5枚です。

 

径 16.5㎝、底 径10.1㎝、高 1.8㎝。重 55g。明治。

縁が1㎜、底が少しぶ厚い(2㎜)皿です。菓子皿でしょうか、軽いです。

作られたのは明治だと思います。ざっと削った木地に、さっと絵を描いています。こういった類の皿は、当時、非常に多く作られました。漆器や金工の技術は、明治時代にピークを迎えました。それからすると、今回の品はBC級品です。しかし、漆器全体のレベルが高いので、普及品でも、今となってみればそこそこの物になります。骨董市で気に入った物をさがすと良いです。非常に安価なので、鼻歌まじりで使えます(^.^)

今回の品ですが、上下をどちらにすべきか、迷いました。

この向きでも、けっこう様になります。

しかし、絵はやっぱりくす玉でしょう。上に、吊りの部分が描かれていますから。

くす玉から四方八方に広がる細糸の描写が見所ですね。

よく見ると、細線は、縁から内側へ向かって引かれていることがわかります。人間の目線とは逆です。陶磁器の絵付けも、このような筆運びが多く見られます。たくさんの線をすばやく引くには、この方法が良いのでしょう。

繊細な線が縦横に引かれていますが、よく見ると、全部の皿に、細い金線を横切る、黒く丸い部分があります。円のようです。これは何?

この5枚の皿を重ねてみると、低い高台が、この黒部とぴたりと一致します。使用、保管を繰り返すうちに、上の皿の底が表面の細線を擦りとったのだと思われます。わずか50gほどの軽い木皿なのですが、やはり、上絵は消えやすいのですね(^^;

最後に、恒例の違い探しです。

違いはいっぱいあるので、難易度は低。

多く見つけた人が勝ち。但し、頭がぐらぐらします(^.^)


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2 コメント

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遅生さんへ (Dr.K)
2021-11-12 17:25:44
>漆器や金工の技術は、明治時代にピークを迎えました。
外貨獲得に貢献した結果でしょうか(^-^*)

それにしても見事ですね!
細い金線はフリーハンドで描くのでしょうけれど、よくもまぁ、もれほどまでに見事に描けるものですね(゚◇゚)

おおよその構図があって、あとは自由に描いている感じで、5枚は、それぞれ、皆、違いますね。
むしろ、5枚は、それぞれ別物という感じですね(^-^*)
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Dr.kさんへ (遅生)
2021-11-12 19:10:58
明治政府の振興策もあって工芸品が多く作られ、外貨獲得に貢献したと思います。江戸後期までに蓄積された技術が、明治に花開いたということでしょう。
私は漆絵を描いたことはないのですが、粘度が高いので細線を描くのは難しいと思います。流れるような曲線は、本当に大したものだと思います。
絵は、くす玉の構図イメージが職人の中にあって、それを木皿の上に展開しているのでしょうね。いちいち手本を見ていては仕事にならないですから(^.^)
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