今回は、和紙に木版刷り、和綴じの落款印譜集2種です。
古筆了悦、狩野素川『本朝 画家落款印譜』大倉書店、明治27年。
和紙に木版刷り、上中下、3冊です。
家にあった物です。祖父が使っていたのでしょう。相当に使いこまれています。綴じ糸がほとんど切れていて、バラバラです。
索引は、画数によります。画数ごとに、画数の小さい漢字から順にならんでいます。河鍋暁斎なら、曉斎の「曉」は16画ですから、下巻、16画の所を見ます。
現在の類書では、このような配列の索引は見かけませんが、慣れれば、案外便利です。
武士(大石良雄)の花押や芭蕉の落款、印章まで載っています。現在の類書とは、少し趣が違いますね。
杉原子幸『日本 書画落款印譜』松山堂書店、大正4年。
この落款印譜集は、古本屋で買いました。
5分冊になっているので、データ量が豊富です。
やはり、画数順の索引ですが、いろは順の索引もついています。
例えば、「白隠」は、1巻、5画の「白」をみます。
今回の2種の和綴本『本朝 画家落款印譜』、『日本 書画落款印譜』はよく似た本です。
では、中味はどうなのでしょうか。
池大雅の項を較べてみます。
『本朝 画家落款印譜』
『日本 書画落款印譜』
どうやら、別個に編まれ、印章の使いまわしは無いようです。
池大雅の妻、池玉瀾についても同様です。
『本朝 画家落款印譜』
『日本 書画落款印譜』
2種の和綴本、やはり、ソースは異なるようです。
さらに、『日本 書画落款印譜』には、貴重な落款が載っています。
池玉瀾の母、「百合」です。祇園で茶店を営み、絶世の美女と言われた百合は、和歌を詠みました。玉瀾との合作も残されています。
このように、明治、大正に発行された和綴本には、現在の落款印譜集とは少し毛色の異なる人物が載っているので面白いです。掲載された落款、印章は、画家が描いたものですから、その精度は、写真版(次回のブログ)には及びません。しかし、和紙に木版刷りの物には、独特の味わいがあり、私は今回の和綴じ本を愛用しています(^.^)
花押にも驚きましたが、
「百合」
京都の、、云々って
個人まで詳しく説明までされていて、、、
このような本は見たことがありません^^
すごいです!
この3女の歌集が出版されているのです。
いずれまた、ブログで紹介します。
お祖父様は、活花に造形が深かっただけでなく、活花に関連しての書画にも造形が深かったのですね(^_^)
『日本 書画落款印譜』には、落款と印譜だけではなく、作者の履歴まで載っているのですね。
普通の落款印譜集は、何かを調べる際に紐解くだけになりますが、作者の履歴まで載っていますと、読み物としても面白いですよね。
ついつい、このような本を愛用してしまいますよね(^_^)
和紙の質感と昔の人の落款、印章とが妙にしっくりきます。
同じ調べものをしていても、自分がワンランク上のことをやっているかのような錯覚にとらわれます(^^;
もともと一人よがりの骨董が、さらにさらに独りよがりなものになっていきますね。傍からみればお笑いぐさ(^.^)
門外漢なので分からないのですがこういった本って多く現存するものなのでしょうか??
明治大正頃の本で落款の資料集だなんてそれだけで価値がありそうな気がします(⌒-⌒; )
読みごたえというか調べごたえは抜群ですね!
遅生さんの持っていらっしゃるものは面白いものばかりです。(^^)
今回の品は、1万円でした。
ゆっくり探せば、もっと値打ちに買えると思います。
私はいろんな物に手を出してきましたが、書画が一番後でした。
なんせ、あまりにも広大で、どこから入っていいか皆目見当がつきませんでした。とにかく、藁にもすがるつもりで資料をあつめました。
その結果、今は書画専科(^.^)
昔からこういった鑑定本が大きな意味を持っていたんですね~。
最も落款や印だけで鑑定できるわけではないでしょうから
こういった鑑定本があっても普通の人には無理なのは間違いありませんが・・・。