遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

器局兼用煎茶盆

2023年02月17日 | 漆器・木製品

ガラクタ集めの最初の頃、煎茶に凝っていました。毎日のように何かゲットしないと落ち着かない病的状態(^^;

今となっては誰も振り向かない物ばかりですが、エンディング記録代わりにブログアップします。

48.7㎝x32.8㎝、高 12.4㎝。明治ー戦前。

木の細工で作られた煎茶盆です。

青空骨董市で、野口英世さん一人と交換しました(^^;

塗りの剥げがあちこちにあり、本当は補修せねばならないのですが、さぼって今日に至りました。値段に関係なく品物を慈しむ精神を忘れていますね(^^; 

この品の面白いのは、下部が引き出しになっているところです。

後ろへ押せば、反対方向にも出ます。でもまあ、手前の縁が切れ込んでいるので、手前に引いて使うのでしょう。

引き出しには、

小物がたっぷりと入ります。器局の役目も果たせるのですね。

上には、急須たちをのせて、

煎茶ディスプレイの出来上がり(^.^)

コメント (8)
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面白古文書 『浮世かしこの番付』(下)

2023年02月15日 | 面白古文書

先回に引き続き、面白古文書『浮世かしこの番付』(文政年間)です。

今回は、残り半分、西の方(下)です。

西の方:

 

大関 たたかれてきて高いびきでねる人
  (叩かれてきて高いびき寝る人)
関脇 粋がつて銭つかわぬもの
  (粋がって銭使わぬ者)
小結 めぶんりやうのきいた人
  (目分量の利いた人)
前頭 男にくどかれてふじやうがあるとぬける(男に口説かれて不浄(不祥)があるとぬける女)
  【不祥】不吉、不運 【ぬける】言い逃れる

前頭 〇〇〇の虫だしをくバるおいしや
   (〇〇〇の虫出しを配るお医者)
前頭 あしき子もかんどうハせぬおや
  (悪しき子も勘当はせぬ親)
前頭 事をしらずにしつた顔する上手もの
  (事を知らずに知った顔をする上手者)
前頭 こねずとりくつわかる人
  (こねずと理屈わかる人)
  【こねる】筋の通らない主張を繰り返し言う
前頭 ばんたのめしを鉢できわめるもの
 (番太の飯を鉢で極める者)
 【番太飯】2種以上の飯を同櫃に盛ったもの
前頭 むつかしいさいくものをめつたニほめて頭でもらふ人
 (難しい細工物を滅多に褒めて頭でもらう人)
    【滅多】滅茶苦茶 
前頭 あしばやにあるいてぜうだんをするでつち
  (足早に歩いて笑談をする丁稚)
前頭 口くるまに人をのせるもの
  (口車に人を乗せる者)

 

前頭 人をにんぎよにつかうもの 
前頭 だんほうをもてなしてきんたのむぼんさま
  (檀方をもてなして金頼むぼん様)
         【檀方】檀家
前頭 おやまになじミこしらへぬきやく
  (女形に馴染み拵えぬ客)
       【拵える】愛人をつくる
前頭 ひをりにもいいまげる
  (非を理にも言い曲げる)
    【理を非に曲げる】理を破る 
前頭 るすことにつけこんでわりださぬ人

前頭 ぼうずもちしてあとへまわる人
 (坊主持ちして後へまわる人)
 【坊主持ち】 同行者の荷物を一人で持ち、道で坊主に会うたびに持ち役を交代すること。
前頭 月夜もてうちんともす人
  (月夜も提灯灯す人)

前頭 いお/\わつてつかう人
前頭 かほでも〇わりしらすあんなへ

前頭 はらをたてたりたてんかしれん人
  (腹を立てたか立てんか知れん人)
前頭 銭てう面にあまる人
  (銭、帳面に余る人)

行司 
げんぎんにかいものしてきんじかけニする商人
(現銀に買い物して金仕掛けにする商人)
【現銀】かね。上方では主に銀貨を使った。 【仕掛け】金貨・銀貨・銅貨の換算相場をごまかすこと。
人の仕だしうつむけるもの
(人の仕出しに俯むける者) 【仕出し】新趣向、【うつむける】ばかにする 

 

角力番付ですから、東西対抗の意味で分けているのでしょう。東方に粋な洒落、一方、西方にひねったユーモアや金銭がらみの事柄が多く見られれば、東西対抗ががぜん面白くなるのですが、そこまで精選されているかどうかわかりません。

また、大関の項目はなるほどと納得しやすいもの、前頭になるとどうでもいいようなものなどの番付による違いもあれば、流石!😁🙌となるのですが・・・・お遊びですから、やはり、そこまで期待するのは無理?😓

 

コメント (2)
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面白古文書 『浮世かしこの番付』(上)

2023年02月13日 | 面白古文書

角力番付の体裁をとった面白古文書『浮世かしこの番付』です。

46.6㎝x34.1㎝。江戸後期(文政年間)。

瓦版様の木版刷ですが、かなり大版で紙質も上等です。

東の方(上)と西の方(下)の2回に分けて、ブログアップします。

これまでの品に比べて大きく見やすいです。しかし、相変わらず不明の項目()が結構残りました。読者諸氏、ご援助のほどをよろしく(^.^)

東の方:

 

エイ/\/\ ヲンハ
   浮世かしこの番付  
 
 東ノ方
大関 人のちやうちんについてあるく者 
       (人の提灯について歩く者)
関脇 うそでとくしんさす女郎
  (嘘で得心さす女郎) 
小結 まんぢうやつて灸をすへるおや
   (饅頭やって灸をすえる親) 
前頭 ひくうきて人のにざかる者

前頭 口うつしで銭もふけするひと
        (口うつしで銭儲けする人)
前頭 おや共とさうだんしやうとぬける人
   (親共と相談しようと抜ける人)【ぬける】言い逃れる       

前頭 事をしりてしらぬかほでゐる者
        (事を知りて知らぬ顔でいる者)
前頭 いぬにもさんばそふますもの
   (犬にも三番叟踏ます者)
前頭 かうりやくのたのもしかけずてにのく人
        (高利益の頼母子掛け捨てに退く人)
前頭 客をつれて茶やてたのみまた口銭とるもの
        (客を連れて茶屋で頼みまた口銭を取る者)
前頭 かヽにまかれたよふにミへてしんだひにものいれぬ人 
 (かかに巻かれたように見えて身代に物入れぬ人)

前頭 さんくわいに本ぜんきりにもどる人
   (参会に本膳きりに戻る人)          【参会】寄り合い 【きり】だけ

 

前頭 しうとめを上手につかうよめ 
        (姑を上手に使う嫁)
前頭 でしにあやまつているおししやう 
        (弟子に謝っているお師匠)
前頭 七十過たいんきよに手かけになる女
  (七十過ぎた隠居に手掛けになる女) 
        【手掛け】愛人  
前頭 しゃくせんにるすつかうもの
    (借銭に留守につかう者)
前頭 やぼのよふなかほしてそのせきをのがれる人
 (野暮のような顔をしてその責(or席)を逃れる人)
前頭 ふろやでひせんかきのまねをする者
      (風呂屋で皮癬掻きの真似をする人)
前頭 日よりでも夜るハ下たはいてある人
   (日和でも夜は下駄はいて歩く人)
前頭 物うりあるいて右?にてんじひらふ人
  (物売り歩いて右?に転じ拾う人)
前頭 酒のまねどはなしで商ひする人
  (酒飲まねど話しで商いする人) 
前頭 きしん物すこしもつていて酒によふてもどる人
      (寄進物少し持って行て酒に酔うて戻る人)
前頭 ばん付かふてしばい見たかほしているおかた 
  (番付買うて芝居見た顔しているお方)    

行司 うつくしいかヽを見せニおいてげんぎん商いをする  
  (美しいかかを店に置いて現銀商いをする)  【現銀】現金
   あほうにみたてたばんずけのさくしや
  (阿呆に見立てた番付の作者) 

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琉球漆器漆絵龍図木鉢

2023年02月11日 | 漆器・木製品

先回と同じような箱に入っています。

表に、「御木鉢」とだけ書かれています。

径 30.2㎝、高 5.8㎝。江戸後期ー明治。

大きな木製の鉢です。

鮮やかな色漆で龍と縁模様が描かれています。

中央には、少しマンガチックな龍が、ダイナミックに描かれています。

その周囲を可憐な装飾模様が囲んでいます。

このように、大きな龍を器いっぱいに描いた品は、琉球漆器で多く見られます。また、色漆の色や品物の作風からしても、琉球漆器と考えてよいと思います。

先回の琉球漆器と同じく、今回の品も、使用された痕跡は全くありません。

どのような人が持っていたのでしょうか?

箱の底に古い書類が入っていました。

「互融講」の名称で滋賀県の某寺に置かれた頼母子講の会則のようです。

明治23年11月21日付けで、それまでの講則を変更するための草稿と思われます。生命保険のような内容です。普段から皆でお金を積み立てて、いざというときに備えるためのものでしょう。

今回の品は、個人の持ち物にしては少し多きすぎます。やはり、お寺で人が寄った時に飾った物ではないでしょうか。

ps.

やっとブログを書き上げ、ふと外を見ると、久しぶりに快晴。雪の伊吹山が光っています。さほど高くない山(1377m)なのに、地形の関係で雪が多い。日本の最高積雪記録もここなのだそうです。

 

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琉球漆器山水楼閣人物図箔絵丸盆(5枚)

2023年02月09日 | 漆器・木製品

今回も古箱に入った品です。

 

出てきたのは、琉球漆器の丸盆5枚です。

 

径 24.6㎝、高 2.5㎝。江戸時代後期。

豚血下地とよばれる朱色の地に、箔絵で太湖石、楼閣と人物、山などが描かれています。

この図柄は、以前に紹介した琉球漆器角盆とよく似ています。

また、縁が籐編みで作られ、裏底が黒漆塗りなのも同じです。

徳川美術館の図録に、今回の品とよく似た琉球漆器が載っていました。

『徳川美術館名品集2 唐物漆器』(平成9年)

琉球漆器類が、唐物漆器の図録の最後に載っています。その多くは、琉球王朝から幕府への献上品です。徳川家では、琉球漆器が、唐物に準ずる品として珍重されていたことが伺えます。

今回の品が入っていた箱にも、「唐盆五枚」と書かれています。江戸時代、日本では唐物への憧れが強く、この琉球漆器は唐物として扱われていたのだと思います。伊万里焼の初期色絵磁器に、「南京」の箱書きが見られる事があるのに似ていますね。

 

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