ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

新生児科医の分娩立会いについて

2006年02月03日 | 出産・育児

『全世界で毎年死亡する5百万の新生児のうち約19%は出生時仮死による(WHO、1995)。』と言われています。

アプガールスコア6点以下の新生児仮死は約10%で、その場合は出生時に呼吸を開始するのに何らかの手助けを必要とします。

アプガールスコア3点以下の重症新生児仮死は約1%で、その場合は心臓マッサージ、気管内挿管、血管確保、投薬治療などの積極的な心肺蘇生を出生直後に必要とします。

妊娠分娩経過には何ら異常がなくても、出生時に新生児仮死である確率は約10%、重症新生児仮死である確率は約1%であり、これは単なる確率の問題で、どこの施設で産んでも自宅分娩でも同じです。

分娩時に母児の救命処置が同時に必要となった場合は、産科医は母体の救命処置を最優先しますから、産科医1人の分娩立会いでは新生児仮死の蘇生処置までは絶対に手が回りません。

新生児科医(小児科医)の分娩立会い(あるいは院内常駐)があるかどうか?は児の予後にとって非常に重要なファクターです。