ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

産婦人科医の急減&高齢化について

2006年02月12日 | 出産・育児

当県では、最近2年間だけで計20人の産婦人科勤務医が職場を去り、県内の産婦人科勤務医数はどんどん減少しています。そのため、分娩取扱いを中止したり、産婦人科そのものの閉鎖を余儀なくされた病院が多く報道されています。今年に入ってからも、その産婦人科医減少の流れは止められず、今年3月までにさらに7人の退職が決定しています。今後も産婦人科医減少の流れはさらに加速される可能性が高く、産婦人科勤務医数の減少、高齢化が急激に進んでいます。

私自身、五十歳代の半ばで今の職場の定年退職まであと十年そこそことなり、老化現象も著しい今日この頃で、いつ健康を害して働けなくなってしまうか全くわからなくなってきましたが、そんなロートルの私でも地域の産婦人科医の中では若手の部類で、当地域の開業の先生で私より年下は一人もいません。

現在、県内の各地域で残り少なくなってしまった現役産婦人科医の平均年齢はどんどん上がっており、5年後、10年後には定年退職などですでに引退している者も多いはずです。やはり、元気いっぱいの医学部卒業したての若者達がどんどん産婦人科に入ってきて、産婦人科医の平均年齢を大幅に下げてもらわないことには、この業界の先行きは非常に厳しいです。

私を含めて今現役で働いている産婦人科医の多くが引退して業界を去ってしまっているであろう、5年後、10年後以降も、当地域の周産期医療・婦人科腫瘍診療などが持続・発展してゆけるように、
 ① 当院の人員・設備を完備させ、地域内の病病連携、病診連携を強化して、当地域の周産期2次医療体制を充実させること。
 ② 魅力ある研修体制(すなわち、学生の臨床実習、卒後初期臨床研修、産婦人科専門医資格の取得をめざした後期研修、周産期専門医や婦人科腫瘍専門医などのサブスペシャリティ専門医資格の取得をめざした研修)を充実させて、次代の産婦人科診療を担う後継者を発掘・育成すること。
などが、絶滅寸前にあるわれわれ現役産婦人科医の最重要課題であると考えています。

しかし、産婦人科医減少の問題は、一個人、一病院、一地域の努力だけでは決して解決できない非常に難しい問題です。上記課題の達成のために、当地域として実行可能なことは着実に実行してゆく必要があると考えていますが、やはり根本的には国レベルの政策でないと解決できない多くの問題があると思います。