全国的に4年制看護大学の中で助産教育を行うようになって、各地で助産師養成校の多くが閉鎖されました。つまり、従来は看護師教育を受けたことが助産師養成校への入学条件であったのに、助産教育の中心が4年制看護大学にシフトされたことに伴って、従来からの助産師養成校の多くが閉鎖されてしまい、看護師から助産師に転身する道がほとんど閉ざされてしまいました。
昭和61年には全国に80校あった助産師学校および短大専攻科が、平成16年には33校と激減し、しかも47都道府県中23県にしか設置されていません。
現実の出産の現場で助産師数が圧倒的に不足しているのに、現場で経験を積んだ看護師が助産師に転身しようとしても、道がほとんど閉ざされてしまっている現在の状況には大きな問題があります。
そこで、厚生労働省は、産科の看護師が働きながら助産師の資格を取れるよう、夜間の助産師学校を全国に整備する方針を決めたとの報道です。
****** 中日新聞、2006年10月28日
夜学で助産師資格 看護師向け厚労省方針
厚生労働省は産科の看護師が働きながら助産師の資格を取れるよう、夜間の助産師学校を全国に整備する方針を決めた。看護師による無資格助産をめぐって現場が混乱する中、速やかに助産師の数を確保し、安心して産める環境づくりにつなげたい考えだ。
同省は2002年、分娩の進行具合をみる「内診」は医師か助産師しかできない「助産行為」に当たるとの解釈を示した。このため、助産師不足で看護師が内診をしていた診療所や中小病院に深刻な影響が生じ、日本産婦人科医会などは看護師の内診を認めるよう強く要望。こうした中、今月18日には愛知県豊橋市の産婦人科院長や看護師らが保健師助産師看護師法違反(無資格助産)容疑で同県警から書類送検される事態も起きている。
現在の助産師学校はいずれも全日制で、現役の看護師が通うには休職するか退職するしかない。このため、各地の医師会立看護学校を活用し、新たに平日午後6時から9時までの助産師養成コースを設定。1年間で国家試験の受験資格が得られるカリキュラムとする。
(以下略)
(中日新聞、2006年10月28日)