コメント(私見)
基幹病院に勤務する産科医が著減し、日本全国で産科空白地帯が広がっています。もはや、近くの病院にこだわるほど産科勤務医は残ってません。
産科空白地域となってしまった医療圏では、妊産婦が遠方の医療機関を利用せざるを得ません。交通の便の悪い地域では、出産が近づいたら、医療機関近くのホテルなどを利用せざるを得ない場合もあり得ます。厚生労働省は、その際の宿泊費や交通費を助成する制度を新設する方針を決めたとの報道です。
****** 産経新聞、2006年10月29日
産科医不在地域 妊婦の宿泊・交通費に補助金
厚生労働省は28日、少子化対策の一環として、近くに産婦人科がなく、遠方の医療機関を利用せざるを得ない妊産婦が、出産が近づいて医療機関近くのホテルなどを利用する際の宿泊費や交通費を助成する制度を新設する方針を決めた。地方自治体との共同事業で、負担率や助成対象などは自治体が設定、国は最大半額を負担する。
助成制度は妊産婦の精神的、経済的な負担を軽減するのが目的。
モデルとなったのは、常勤の産婦人科医が不在となった島根・隠岐の島町の隠岐広域連合が、緊急措置として、予定日から4週間以内の妊婦を対象に実施したケース。隠岐広域連合では、松江・出雲両市に月ぎめアパートなどを確保し、妊産婦に無料で提供、交通費を本人1万5000円、家族1人につき1万円(最大3人まで)、滞在雑費などを負担している。
同省では、隠岐広域連合の取り組みを評価し、全国的な離島対策とした制度を新設するため、平成19年度予算で、3000万円を要求していた。
しかし、これでは、山間部など最寄りの医療機関まで1時間以上かかるような「無医地区」の住民は利用できず、与党の一部から「少子化対策事業」として、充実を図るよう求める声が続出。同省は、対象範囲を離島に限らない制度にすることをめざし、追加要求することにした。
近くに産婦人科があるにもかかわらず、遠方の医療機関を選んで出産する場合は認めない。一方、妊婦本人だけでなく、付き添いの家族の宿泊費や交通費は補助対象に加える。
こうしたガイドラインを策定し、それに沿って各自治体が(1)補助の割合(2)宿泊代・交通費などに上限を設けるかどうか(3)出産予定日の何日前からの宿泊を補助対象とするか-などの具体的な利用基準を決める。そのうえで、国が最大半額を負担し、残りは都道府県と自治体が負担する。
(産経新聞、2006年10月29日)