ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

貴重な助産師パワーの活用

2007年11月05日 | 地域周産期医療

ある地域の産科医療が崩壊の危機に陥って、産婦人科医を緊急避難的に増員しなければならない事態に陥った場合には、地域ごとの産婦人科医数のバランスを考えて、産婦人科医数に多少とも余裕があるように見える地域の医師を引き揚げて、不足地域に人員を投入するような調整も当然行なわれます。

従って、各施設で産婦人科医数を増やそうといくら努力しても、結局は施設の産婦人科医数は不足した状態のままで一進一退を繰り返し、施設の産婦人科医数に余裕を作ることはなかなか難しい状況にあります。

地域の産科医療を存続させるためには、地域の助産師を総動員して多くの助産師に地域の産科医療に積極的にかかわっていただき、従来以上に助産師パワーを有効活用するように病院のシステムを変えていくことも重要だと思います。

****** 朝日新聞、長野、2007年11月3日

助産師に超音波診断の研修 県が来年

 医師不足で分娩(ぶんべん)を扱えなくなる病院が相次ぐなか、院内で働く助産師が主体的に産前産後のケアを受け持つ「助産師外来」の導入を促そうと、県が年明けに研修会を開く。柱になるのが、胎児の位置や大きさを把握する超音波診断装置(エコー)の取り扱い実習だ。助産師や医師からなる県「助産師支援検討会」が2日、松本市で開かれ、研修の骨格が固まった。(田中洋一)

 県医療政策課によれば、昨年の県内での分娩は約1万9千件。病院などの施設分娩が99%を占めるが、産科医の引き揚げや退職で、産婦人科の廃休止・縮小が相次いでいる。そこで県は、助産師が妊婦健診などをする助産師外来を開設し、産科医の負担を軽減できないかと考えた。先月行った助産師外来についての調査で、県内医療機関の2割が開設済みで、ほかの2割が開設を希望していることがわかった。

 助産師外来で求められるのが、まず超音波診断装置の取り扱い。従来は習わない助産師が多いので、研修で使えるように指導し、病院で実習を積んでもらう。対象は、助産師外来開設を検討中の医療機関の助産師ら約100人を見込み、来年1~2月に3日程度の研修会を開く方向で調整している。超音波診断のほかに、助産師外来を運営するノウハウや課題も学ぶことになる。

(以下略)

(朝日新聞、長野、2007年11月3日)