ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

飯田下伊那医療圏の産婦人科医療 里帰り分娩と他地域在住者の分娩の受け入れを中止

2007年11月06日 | 飯田下伊那地域の産科問題

飯田下伊那医療圏の産婦人科医療にかかわっている産婦人科医師数は、最近まで計13人程度(市立病院:常勤5人非常勤3~4人、下伊那日赤:1人、西沢病院:1人、3診療所:計3人)でした。しかし、それが来年4月には計6~7人(市立病院:3~4人、3診療所:計3人)にまで減る見込みとなり、医療圏全体で担う産婦人科医療の業務量を縮小する方向で調整しています。

****** 南信州新聞、2007年11月6日

飯田市立病院 里帰り出産を中止 来年4月から 産科維持へ苦渋の選択

 飯田下伊那地域の産科医療について考える「第6回産科問題懇談会」(会長・牧野光朗南信州広域連合長)が4日飯田市役所で開かれ、飯田市立病院の産婦人科医が1人減る来年4月から、市立病院の里帰り出産と他地域在住者の出産を中止することを決めた。牧野連合長は「産科医療体制を守るためやむを得ない措置」とし、苦渋の選択に理解を求めた。

 飯伊地域は市立病院と椎名レディースクリニック、羽場医院が連携し、昨年度は約1600件のお産を扱った。ところが来年4月以降、市立病院の産婦人科医が現在の5人から4人に減員。もう1人減る可能性もあることから、出産制限に踏み切った。

 同じく昨年度中に4人いたパート医師も、現時点ではゼロとなっている。

 産婦人科医が増員するまでの間は、出産件数を1300程度に抑える。昨年度の里帰り出産と他地域在住者の出産約300件を差し引いたもので、「若干無理をすれば維持できる」(椎名一雄産婦人科医)という。

 今後、市立病院での出産を希望する場合は、連携する診療所で検診を受けた後、予約を取ることが必要になる。

 また、信州大学から派遣予定だった産婦人科医1人については、昭和伊南病院(駒ヶ根市)の産科休止に伴い、伊那中央病院(伊那市)に派遣された。増員を前提に協議していた、市立病院と下伊那赤十字病院(松川町)との連携は難しくなった。

 赤十字病院は来年3月で常勤の産婦人科医1人が退職。今後は非常勤の産婦人科医1人が木、金曜日の妊婦検診とがん検診に対応していくことになる。

 牧野連合長は厳しい現状を踏まえ、「改めて国や県に対して一層の支援を求める。地域の産婦人科医療を守るため最大限の取り組みをしていく」と強調した。

 懇談会には南信州広域連合をはじめ、下伊那郡町村会、飯田医師会、産婦人科医会など25人が参加した。

(南信州新聞、2007年11月6日)