ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

産める病院が1年半で1割減、読売新聞全国調査

2007年11月15日 | 地域周産期医療

コメント(私見):

読売新聞の全国調査の集計によると、最近1年半の間に全国で少なくとも127か所もの病院が分娩の取り扱いを中止しました。今の分娩施設減少の勢いは、今後も当分の間はおさまりそうにありません。

半年後、1年後、2年後に、分娩施設の数がどこまで減少してしまうのか?の予測は非常に難しいと思います。

分娩を取り扱う施設としてこの世の中に生き残っていくのも大変なことですが、生き残ったら生き残ったで、地域の妊婦さんが否応なく集中してしまうので、その施設は大混雑となり、激務のためにそこで勤務する医師の離職が続出することも予想されます。

離職者の補充が非常に難しくなってきていますので、今現在、現場で頑張っている勤務医達の離職を防止する対策(業務負担の軽減、勤務環境や待遇の改善、など)が非常に重要だと思われます。

****** 読売新聞、2007年11月15日

産める病院が1年半で1割減…読売新聞全国調査

 産科医不足の深刻化に伴い、昨年4月以降に出産の取り扱いを休止した病院が、全国で少なくとも127か所に上ることが読売新聞の全国調査でわかった。出産を扱う病院がこの1年半で約1割減ったことになる。休止は、地域医療の中核を担う総合病院にも及び、お産の「空白地帯」が広がっているほか、その近隣の病院に妊婦が集中し、勤務医の労働環境がさらに悪化する事態となっている。

 調査は、各都道府県が休止を把握している病院の数に、ホームページなどで休止を周知している病院への取材結果も加えて集計した。それによると、2006年4月以降にお産の扱いを休止した病院は132病院だったが、このうち5病院は、その後、産科医を確保するなどして再開にこぎつけた。また、来春までに休止方針を打ち出している病院も12か所あった。

 国は3年に一度、出産を扱う病院数を調査しており、直近の05年10月現在では1321病院だった。これを母数とした場合、すでに休止した127病院は全体の9・6%に相当し、来春までの休止予定も含めると、10・5%の病院がお産の扱いをやめることになる。

 都道府県別では、兵庫の10か所が最多。北海道の9か所、福島、東京、新潟の6か所、千葉、神奈川、山梨、長野、大阪の5か所と続く。主な休止理由は、〈1〉医師不足に伴い、大学医局からの派遣医を引き揚げられた〈2〉労働条件の悪化を理由に、勤務医が開業医や(お産を扱わない)婦人科に転身してしまい、その穴埋めができない〈3〉産科医不足対策の一環で、近隣病院に産科医を集約化することになった――など。

(以下略)

(読売新聞、2007年11月15日)