ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

地域の産科医療体制を維持していくために

2008年03月04日 | 地域周産期医療

『自科の診療規模(分娩件数、手術件数など)をどの程度に設定するべきなのか?』は非常に難しい問題だと思います。

『診療規模を現状程度に維持してほしい』という地域住民や病院事務方の強い要求(願望)があり、その要求にはできる限り応えたいという思いもある一方で、ここで無理をして常勤医が1人でも減ってしまえば、科閉鎖の危機となってしまい取り返しがつきません。

多くの病院の産婦人科が相次いで休廃止に追い込まれているこの厳しい医療環境の中にあっては、科を存続させることこそが、結局は地域住民の利益に最もつながるのは明らかで、今は『科の存続』を最優先に考えていく必要があります。

冷静に情勢を分析し、慎重かつ臨機応変に事態に対処していく必要があると思います。

****** 信濃毎日新聞、2008年2月29日

上伊那3公立病院 医師不足の影響・・・

伊那中央に患者集中 病床利用率100%超える日も、昭和伊南・辰野は収益悪化

 上伊那地方の3公立病院で医師不足の影響が顕著になっている。昭和伊南総合病院(駒ヶ根市)と辰野総合病院(辰野町)の医師引き揚げで伊那中央病院(伊那市)に患者が集中し、病床利用率が100%を超える日が出始めた。逆に昭和伊南と辰野は医業収益が悪化し、預金を取り崩すなどの対応を迫られている。上伊那広域連合長の小坂樫男伊那市長は、運営の一本化も検討する考えを示している。

 昭和伊南と辰野は2005年度以降、信大医学部の医師引き揚げなどにより、計4診療科で手術や入院を休止。辰野はさらに外科と整形外科の常勤医が1人ずつとなり、大掛かりな手術は困難な状況だ。

 このため、伊那中央に患者が集中している。06年度に85・1%だった病床利用率は、07年4月-08年1月は87・1%に上昇。自宅で過ごす患者が増える年末年始を過ぎ、今年1月28日-2月26日の30日間平均は95・3%に達した。

(以下略)

(信濃毎日新聞、2008年2月29日)