ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

連携強化病院への医師重点配置

2008年03月09日 | 地域周産期医療

かつては、小~中規模の産科施設が県内に数多く存在しました。しかし、最近では産科施設数が激減しているため、稼動している少数の産科施設に地域の妊婦さん達が集中するようになってきて、1施設当たりの分娩件数は従来と比べて明らかに増加傾向にあります。

施設の分娩件数を増やすためには、産科医や助産師などの増員が必要です。例えば、施設の分娩件数が倍増するのであれば、産科医や助産師の数も倍増させる必要があります。施設で請け負う仕事量だけがどんどん増えて、スタッフの増員が不十分であれば、当然、その施設の運営に破綻が生じます。

県全体の産科医療体制が完全に破綻し機能停止してしまう前に、産科医の連携強化病院への重点配置(集約化)を早急に完了させる必要があると考えます。

****** 中国新聞、2008年3月8日

6病院に医師重点配置 山口県が産科・小児科対策計画

24時間体制を確保 具体策は圏域で協議へ

 山口県は、勤務医不足の深刻な小児科、産科の医療体制を確保するため、医師を基幹病院に集める「集約化・重点化」の計画をまとめた。小児科、産科ともに六病院を基幹の「連携強化病院」に指定して優先的に医師を配置する。他の公的な病院からの医師の振り向けや機能移転など具体策は今後、地域ごとに協議する。

 集約化・重点化は厚生労働省の方針を受け、県、山口大、県医師会などでつくる県医療対策協議会が昨年度から検討を始めていた。勤務医の負担が重くなる中、小児科、産科医療を二十四時間体制で提供するために必要と判断した。

 小児科では、集約化する地域を二次医療圏をベースに五つ設定。連携強化病院は岩国医療センター(岩国市)徳山中央病院(周南市)県立総合医療センター(防府市)山口赤十字病院(山口市)山口大付属病院(宇部市)済生会下関総合病院(下関市)の六病院。それぞれ医師が五、六人と少なく、八人以上を目標にした。

 連携強化病院は、入院が必要な患者の二十四時間の受け入れや新生児医療に加え、地域の診療所や病院に対し外来や研修など支援も担う。他の公的な九病院を「連携病院」とし、場合によっては医師も含め医療機能を強化病院に移転する。

 産科も地域を五つに分け、連携強化病院に周産期母子医療センター機能を持つ、小児科と同じ六病院を指定。医師七人以上の配置を目標にした。他の十一の公的病院への連携病院の指定は、一~三人しかいない医師が移ると正常分娩を取り扱えなくなるため見送った。

(以下略)

(中国新聞、2008年3月8日)