ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

産科崩壊に対する緊急支援策

2008年03月28日 | 地域周産期医療

私が母校の産婦人科に入局した二十数年前は、県内に1人医長体制の病院がまだ多く存在してました。当時の大学医局の目標は1人医長体制の関連病院の常勤医数を2人以上の体制にすることでした。3人以上常勤医がいる病院は別格の存在でした。ましてや、常勤医4人体制とか5人体制など夢のまた夢の世界でした。

従って、当時の社会情勢であれば、医師が足りなくなって困っている病院に、教授のツルの一声で産婦人科医を1人派遣すれば、産科診療体制を何とか維持することが可能でした。

しかし、今では社会情勢が大きく変化し、病院の産科診療を継続していくためには、常勤の産婦人科医が少なくとも4~5人は必要な時代になってきました。実際問題としては、5人体制であっても十分とは言えません。小児科医や麻酔科医のサポートも絶対に必要です。

ですから、現在の産科医不足の問題を解決するためには、どこかから1人の産婦人科医を調達してくるような一時しのぎの対応だけでは全く不十分です。産婦人科医の総数がすぐには増えそうにない現状では、当面の緊急避難的な対策として、『全県的な視野で病院を集約化(重点化)し、医師を適正に再配置する』以外には問題は解決しないと思われます。しかも、手遅れになる前に早急に実行に移す必要があります。それには、地域住民の理解と協力が不可欠です。