atrial septal defect
【定義】 左右の心房を隔てる心房中隔に欠損孔のあるもの。
【分類】
① 二次孔中隔型 secundum type:
最も多い、先天性心疾患の7~13%、女性に多い(男女比 1:2)
② 一次中隔型 primum type
③ 静脈洞型 sinus venosus type
④ 冠静脈洞型 coronary sinus type
【臨床症状と経過】
・ 乳幼児期は無症状
・ 心雑音または学校検診の心電図異常などで発見される。
・ 20代後半より労作性呼吸困難、動悸、息切れ
【臨床所見】
1)理学所見
・ 胸骨左縁第2~3肋間に収縮期駆出性雑音(相対的肺動脈狭窄)
・ Ⅱ音の固定性分裂(呼吸による変動がない)
・ 拡張期中期ランブル(相対的三尖弁狭窄音)
2)胸部X線所見
左2弓の突出、肺血管造影の増強、右心室拡大
3)心電図所見
・ 正常~右軸偏位
・ 不完全右脚ブロックパターン(IRBBB)
4)心エコー
・ 右心室、右心房の拡大と欠損孔(四腔断面)
・ 心室中隔の奇異性運動
※ 経食道エコー: 経胸壁エコーでは診断が困難な場合、またカテーテル心房中隔閉鎖術の適応判断のため必須の検査。
【合併症】
① 肺高血圧症: 多くは思春期以降に生ずる。
② 僧房弁逸脱症: 15~40%に出現
③ 部分肺静脈還流異常症: 9%に合併し多くは静脈洞型に認められる。
【治療】
1)外科治療: 肺高血圧がなく、肺/体血流比≧2.0なら、小児期から思春期の間に手術を行う。乳児期に心不全症状を起こしたものは、その時期に手術を行う。
2)カテーテル閉鎖術: 2006年より我が国でもカレーテル心房中隔閉鎖術が保険適用となり、外科手術と同等の成績をおさめている。経食道エコーによる評価が重要である。
【予後】 自然閉鎖する率は低い。感染性心内膜炎の合併はきわめて稀である。