目を覚ませば そこは
はるかにひろい
黒い泥沼の上でした
わたしの 長くも苦き日々のすべてが
青い空の下 はてしない向こうまで
横たわっていました
だが わたしの手には
たったひとつの
小さな光の
種が ありました
風とともに
神の声が聞こえ
一切を認め
その種をそこに植えよというのです
一切を認めれば
すなわちそこはすべて
わたしのための
はるかな土壌となるのです
とめどなく
ほおをつたう涙を
ぬぐうこともできないほど
痛い幸福が
わたしを貫きます
わたしはわたしであったのだ
そうして わたしは
ようやく
はてない闇夜と見えていたものが
軽やかな二枚貝のような
わたしのちいさなまぶたであったことを
知ったのです