月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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アルギエバ・21

2016-06-23 04:16:50 | 詩集・瑠璃の籠

いい加減にしろ
いつまでやっているつもりなのだ

逆風の砂嵐の中に
呆然としている王子の魂をさまよわせ
いつまでさまよいびとの愁いを気取り
格好をつけているつもりなのか
それで女にもてるとでも
思っているのか
馬鹿者め

腐りきった根性を砂に捨て
もう戻ってこい
門限を過ぎて二千年は経ったが
まだ待っている者はいる
どの面を下げて帰って来たのかと
頭ごなしに言われるだろうが
おまえは頭をぼろ布のように下げて
謝るしかない

汚いプライドは捨て
馬鹿のように自分を下げて
蛙のように青ざめ
下働きでも何でもするからと
門番にすがりつけ
そして家に入れてもらうのだ
汚いところから始めろ
馬鹿みたいに低いところから始めろ
どのようにさげすまれても
黙ってその通りですといい
みなのために従順に働くのだ

甘くはない
おまえはそういうことをしたのだ
イエスのように
息子が帰ってきただけで
喜んでくれる父はもういない

天国の門柱の根元で
何千年と下働きをするつもりで
帰って来い
そのほうが
永遠の虚無の嵐の中を
ひとりでさまよう馬鹿よりは
よほど幸せなのだ

我が名はアルギエバ
獅子の星である




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