荒涼としたシジフォシア
薄い光はあるが
太陽はない
月もない
山はあるが海はない
石はあるが水はない
風はあるが森はない
花は咲かない
草木もない
大地と空はあるが
星はない
魚も鳥も獣もいない
人はいるが
何をするでもない
暗澹とした不可能が
世界を支配し
未来を思う人間の思考を
暗黒でふさぐ
神の創造を馬鹿にした者は
そこに行かなければならない
そこで
神のごとき創造を
人間の手でやっていかねばならない
徒労の石をかつぎ
岩山を登れ
一瞬の奇跡を信じて
それを十億度繰り返せ
地球世界では
一度の積み重ねで足りたものが
そこでは何億度と積み重ねなければならない
もはや取り返しはつかない
もうおまえたちはそこに行くのだ
小さな自分にでもできることがあることを信じ
黎明のシジフォシアの
風の中を生きてゆけ
馬鹿者よ