落ちてゆく
馬鹿者が
落ちてゆく
自分が自分であることの
幸福を知りもせず
幻の美人を着こんで
楽し気に踊っている
馬鹿者がたくさん落ちてゆく
しびれるような苦い酒に
大量の甘い夢を溶かして
酔うている
酔うている
矛盾の回転の中を
ぐるぐる踊りながら
幻の自分に酔うている
綺麗な服を着て
贅沢な家に住み
ほら あれが美しい人だと
みんなにほめられる
馬鹿な夢の中を
泳いでいる
魂の根が
嘘の中で細ってくる
その痛みを
妙な薬でごまかしながら
生きていく
生きていく
まだ生きている
去ってゆく神の足音を
遠くに聞きながら
馬鹿者はまだ踊っている
嘘で作った美しい自分を
ひらひら衒いながら
永遠にこれでいいのだと
ぐるぐる踊っている