嵐の海を泳ぎ
炎の森をくぐり
氷の山に挑み
命を三度かけて
闘っても
それを自ら誇ってはならない
男よ
そんなことなど
男なら当たり前だと
無視されても
確かにそのとおりと
目を閉じて認めるのだ
なぜなら
それが男だからだ
だれにも見てもらえない
命と命の闘いを
千度くぐろうとも
勲章などもらってはならない
そんなものはいらぬと
ちぎって糞の中に捨てよ
あらゆる愛のために
命と熱い男の血を
たぎらせ 地獄の中に捨ててみよ
それですべてを救っても
だれにも自分を誇ってはならない
犬のように黙し
誰も知らぬ町の片隅で
鏡の孤独に笑いかけるのだ
何が勲章か
何が栄誉か
それはこの自分自身が
それをやることができたのだという
真の美しさなのだ
どんなに愛に尽くそうと
返ってあざけられることもあろう
犬め と石を投げられることもあろう
だが何も言ってはならない
神の前に
確かにそのとおりだと
笑って頭を下げるのだ
メダルを下げて
笑って表彰台に上る男など
赤っ恥の糞餓鬼だ
本当の男は
誰も知らないところで
みなのために命を尽くして戦い
犬のように 死ぬ