月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
コメントはゲスト・ルームにのみお書きください。

アルタイル・18

2014-12-21 07:05:54 | 詩集・瑠璃の籠

嵐の海を泳ぎ
炎の森をくぐり
氷の山に挑み
命を三度かけて
闘っても
それを自ら誇ってはならない
男よ

そんなことなど
男なら当たり前だと
無視されても
確かにそのとおりと
目を閉じて認めるのだ
なぜなら
それが男だからだ

だれにも見てもらえない
命と命の闘いを
千度くぐろうとも
勲章などもらってはならない
そんなものはいらぬと
ちぎって糞の中に捨てよ

あらゆる愛のために
命と熱い男の血を
たぎらせ 地獄の中に捨ててみよ
それですべてを救っても
だれにも自分を誇ってはならない
犬のように黙し
誰も知らぬ町の片隅で
鏡の孤独に笑いかけるのだ

何が勲章か
何が栄誉か
それはこの自分自身が
それをやることができたのだという
真の美しさなのだ

どんなに愛に尽くそうと
返ってあざけられることもあろう
犬め と石を投げられることもあろう
だが何も言ってはならない
神の前に
確かにそのとおりだと
笑って頭を下げるのだ

メダルを下げて
笑って表彰台に上る男など
赤っ恥の糞餓鬼だ

本当の男は
誰も知らないところで
みなのために命を尽くして戦い
犬のように 死ぬ



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シリウス・7

2014-12-20 07:04:20 | 詩集・瑠璃の籠

新しい朝日が
羊を抱いて昇ると
枝に残っていた
最後の金のりんごが
熟して落ちてくる

りんごは 地に落ちるなり
熱い光の湯となって
世界を濡らし始めるのだ
だれにも見えない
それは愛の化学変化だ

透明な風の中を
白いタリルが泳いでいる
幻のように
果たせなかった約束を
沈黙に飲み込んで
見せつけてゆくように

もはや二度と
元に戻ることはない
愛 は
元の愛ではないのだ
人よ

幽霊ばかりが生きている世界に
神が真実の命を突き刺してゆく
太陽が昇り切る頃
神は砂時計の中に
ひとひらの薔薇の花びらを落とす

薔薇の砂時計が
時間を計り切ると
青い空に塗りこめられていた
アフラ・マズダーが目を覚ます

豚小屋の中で 糞にまみれて
うれしそうに糞を食っている人間よ
まだ気づかぬか
まだわからないのか

白金の翼を広げた
マズダーの使いよ
闇のように黒く
雪よりも白いその剣を
今こそ抜きはらえ





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

セギン・8

2014-12-19 07:11:27 | 詩集・瑠璃の籠

ジーザス・クライストと
月のための復讐を

よく肥えた豚の形をした
巨大なトロイの木馬を町に置くと
それが愛だと勘違いした
人間が 蠅のようにたかってくる

アンドロマクは死んだ
カサンドラも死んだ
いい女はみんな
男が殺した

その木馬はあまりにもよくできている
狸が天使に化ける時の方法を使って
透き通るように白く塗りあげた
技術の粋を尽くして
本物そっくりの微笑みを作った

馬鹿が それが愛だと言ったがために
それが愛になった
かわいそうな人間よ
だれも それを食べてはならないと
言ってくれる者がいない
言える者は全部 
みなで殺してしまったのだ

豚の木馬にしがみつき
だれかが泣きながら言う
これこそがジーザス・クライストの愛
白くも甘い月の飴
氷の風が 雲を呼び
神の灰色の声を運んでくる

愛を豚にしたものは
豚を愛にするがいい

海峡の砂浜に ヒナゲシの旗と
刃の十字架を立て
者どもよ あざ笑え
今こそ

ジーザス・クライストと
月のための復讐を







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アルギエバ・9

2014-12-18 07:19:31 | 詩集・瑠璃の籠

泥の闇の中に隠れていた星を掘り出し
空に放り投げよう
ナイフのようなその光が
空を切り裂いてゆく

ああ 不思議な雲の輪が
中天の月を囲んでいる
愛の貧しい家に住んでいた少女が
約束の手紙を読み始めた時
かなうはずのなかった夢が
動き始めた

わたしは やるだろう
最後まで あきらめないだろう
それ以上歩くことができなくなるまで
歩き続けるだろう
それがわたしというものだ

それがあなたというものだ
白くも悲しい 月よ

たとえ結果が無残なものになるだろうと
わかっていても
すべての星はやらねばならなかった
マイナスの可能性を
十字架のように胸に刻みながら
あらゆる準備を整えて
糞の海に飛び込んで行った

それは頭のいいやつが考えた
計略などではありはしない
すべては体当たりでやってゆく
真実の魂でぶつかってゆく
そこに現れる光の変化が
未来を新しく創っていくだろう
なにもかも 初めから決まっているわけがない

すべては あらゆる存在が
起こす熱い行動が 創っていくのだ
苦悩の涙と汗が 激しい反応を起こすのだ
倒れても立ち上がる鋼鉄の意志が 炎を叫ぶのだ
その結果起こった 新しい世界の嬰児が
どんなものかということは
生まれてみてからわかる

人間よ
見ているがいい
生きるということが
どういうことかを

認知症の飴を
蠅のようになめながら
映画を見る子供のような
馬鹿どものために
われわれが 何をやるかを

我が名は アルギエバ
獅子の星である



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウラヌス・6

2014-12-17 07:07:16 | 詩集・瑠璃の籠

国神が 国を離れた
国神が 国民に与えていた
誇りの衣が 消えた
あれほど 大きく見えた
国の人間たちが 寂しい嘘に見える

最後の真珠と 同じように
消えたものは 二度と帰りはすまい
もう時は来たか
扉は開いたか
ボレアスは笛を吹いたか

十字架の立っていた丘に
ひとり立ち 復讐の刃を磨く者はだれか
おのれの首を 自らとり外し 犬に預け
何千年と馬鹿の仮面をかぶり続けてきた
そのひとの真意は何だったか

孤独の刃の影に隠していた
あなたの本当の魂は何だったのか
ウラヌス 氷の影の星よ

国神が 国を離れた
とうとう 離れた
国の誇りが 萎えた花のように
幻に消えてゆく
あれは 何だったのかと
夢の記憶に すべてが吸い込まれていく
虹が刃のように空を切る

人々が気づくのは
何もかもが終わった後だ
それでも気づかぬ者もいるだろう

主よ ごらんあれ
何千年の間 犬の中に隠していた
その誇りを
すべてかけて行う
わたしの技を

国神が 離れた
国に 背を向けた
とうとう 始まる



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アルマァズ・13

2014-12-16 07:07:52 | 詩集・瑠璃の籠

仏教は 今まで
この世にあるものはみな空しいと
言ってきました
諸行無常 諸法無我 一切行苦
全ては無に等しく この世は苦しいことばかり
生きることには何の意味もない

だとすれば さっさと命を捨てて
この世から逃げればいいものを
だれもそんなことはしなかった
自然 生きることの悦びが
大きかったからです

たとえこの世にあることの一切は虚妄だと言われても
生まれた子どもは愛さずにいられなかった
好きになった人を追いかけずにいられなかった
家族のために働いて稼いできて
みなを食べさせてやれることがうれしかった

そんな幸福が すべて馬鹿なことだと言われるのは
本当は苦しかった
たとえ人生に憂いがなくなることがないとしても
普通に生きていることは 幸せだったから
人は煩悩にまみれた凡夫の服を着て
仏法が吹く冷たい風からずっと身をふせいでいたのです

言いましょう
この世のすべてのものは
すばらしいものです
無駄なものなど一切存在しない
人生はすばらしい魂の旅
あまりにも美しい意義の光を放つ
生命の宝です

何度生まれ 何度死んでも
人生は波のように繰り返しやってくる
そのたびそのたびに
違うことを経験する
その中で 魂は学んでいく
愛のすばらしさを

自分の自分自身の本当の力だけで
なにかできることをして
誰かのために愛をささげることができたら
ああ なんという幸福でしょう
意味のないものなど一切ない
あなたがあなたを生きることによって
すべては輝いてくる
すべてがすばらしく良いものになっていく
いえ 良いものにしていくのです
それが自己存在の創造力です

蛇に血を吸われるように
冷たかった仏法の幻を離れ
生きることに暖かい血を注ぐ
新しい仏教に生まれ変わりなさい

仏教よ 生まれ変わりなさい
そのために 今こそ
全てを捨てて 無一物になってみなさい
自分ひとつの存在になってみなさい
金色の袈裟を脱ぎ 坊主頭のかつらを捨て
ただひとりの自分から
生き直してみなさい

そこから
新しい創造をはじめてみなさい



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アルデバラン・12

2014-12-15 07:27:17 | 詩集・瑠璃の籠

風にひかれて 帰ってゆけ
おまえの 本当の故郷へ

猫の瞳を 宝石のように連ねて
おもしろいものを作り
皆にほめられていたが
それはすべて おまえが馬鹿に頼んだ
嘘芝居なのだ

今あるものは 幻のように
消えて行く いや
いつの間にか なくなっている
気づいたら 何もない所に
おまえはひとり 立っている

いつもそばにいてくれたあの人は
どこに行った
あれだけたくさんあった
宝石のような猫の瞳は
どこに行った

みな なくなった
法則の海に 吸い込まれた
それは 最初から
あるはずの ない
ものだった からだ

どこからか 鬼の声が
聞こえる
おまえを 呼び戻しに来た
鬼の声が

おまえの えりくびをつかみ
神が与えた おまえの
本当の人生に
むりやり引き戻す

悲しみを 裏返し
今まで信じていたものが 
すべて嘘だったことに
せめて死ぬ前に 気づけ

愛してくれていたと
てっきり思っていた
ひとびとが 見る間に
消えてゆく

もう 時間が来たと
白い猫が 通り過ぎざまに
おまえに言う



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ベクルックス・20

2014-12-14 07:07:48 | 詩集・瑠璃の籠

真珠のような歯を見せながら
笑っている
青い目の美しいお嬢さん
それはちょっと おかしいですよ

透明な蝋の仮面に固められて
顔を変えられないのですね
一体何に 魂を売りましたか
売った魂の代わりに
何を使って 生きているのですか

おいしいお茶を入れてあげますから
もう帰っていらっしゃい
仮面は 少しずつお湯で溶かして
とってあげましょう
なくした魂のかわりに
きれいなレースの糸で
心模様の美しい
薔薇のコサージュをこさえてあげましょう

足りないところは 少しずつ
いいことを積み重ねて
補っていきましょう
生き方が下手なのは あなただけではありませんよ
みんな泥だらけ 傷だらけになって
生きている

あなたの 本当の魂が見つかるまで
そっとわたしが 助けてあげましょう
泣かなくていい
今はすべてを失った方が いいのです
だってあれらはすべて
蛇が化けた嘘だったのですから

お茶に 涙をそっと溶かして
さあ飲んでごらんなさい
暖かさの中にほんのひとしずく
苦い痛みがよみがえる
今はつらくても 飲み込みなさい
少しずつ 少しずつ
慣れていきましょう
そして取り戻していきましょう
あなたの あなた自身を

あなたの ほんとうの
美しさを



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヌンキ・7

2014-12-13 07:32:27 | 詩集・瑠璃の籠

みんながいるのに
だれもいない
まるでここは
火星の大気に包まれているようだ
透き通りすぎている

舞台の上で
合唱団が歌っているのに
何も聞こえない
だれかひとりだけが
全然歌っていない
それだけで みなが沈黙しているように
聞こえる

ここはどこだ
昔と同じ場所じゃない
にぎやかに人々は歩いているのに
まるで誰もいないかのようだ
あんなに暖かかったのに
なぜこんなに寒くなった
太陽の光は変わらないのに
どうしてこんなに暗いのか

何かが なくなった
誰かが いなくなった
空気のようにあって当然だと思っていたものが
風を翻して 人間を見捨てていったのだ

魂を失った空の木が
かすかに 傾く
いつまで 立っていなければ
ならないのかと
風に尋ねながら

スーパーに並んだ
銀色の魚たちが
ひそひそと つぶやく
もうそろそろ 終わるだろう



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

メラク・33

2014-12-12 07:13:32 | 詩集・瑠璃の籠

人よ
謙虚になりなさい
今までのように
おごり高ぶった態度で
人を馬鹿にしたり
人を殺したりしてはいけません

傲慢は最も恥ずべき馬鹿です
神のひざの上に座らせてもらって
虎のように吠えていられた
そんな時代はもう過ぎたのです

あなたがたは
地球霊的天然システムが育てていた
最も若い子供
あらゆるものに あらゆることをしてもらい
やっと生きていた 子供
もうそれがわからねばなりません

過去の時代 あんなにも
人間が立派に見えていたのは
立派な愛の存在が
人間を助けてくれていたからです
それがなければ
人間はあまりに貧相に見えてしまい
自分に自信を失ってしまうのです
だからそうならないように
あらゆる存在が
人間を立派なものにしてくれていたのです

傲慢も不遜もその上に生えていた茸のようなもの
そろそろ それを引っこ抜かねばなりません
痛い思いをする人もいるでしょうが
自らちぎり捨て
新たな自分として
あらゆる存在に頭を下げなさい
地球に 頭を下げなさい

自分の小ささ
本当の大きさを知らねば
学びを始めることはできません
つらいでしょうが
真実の前に
おのれの馬鹿を思い知りなさい

今まで 人類は
何でも 天然システムにやってもらっていたのです
見えないところからすべてをやってもらっていたのです
それがもう消えて行く
あなたがたは あまりにも愛に傲慢でありすぎた
腹が空いた時には いつでも食えるものだと思っていた
その報いがやってくるのです

これからあなたがたは
たくさんの愛がひいていった後の
人間世界の真実を見るでしょう
住んでいた世界が突然 
不思議にばかげたものに見えるでしょう
あまりにも面白かったゲームが
とつぜんつまらなくなるように

子供時代に夢中になっていたおもちゃは
もう捨てなさい
いつまでも乳にしがみついている子のように
とっくに期限が過ぎているものを 
未練たらしくやっているのではない
もうそれは捨てなさい

人を愚弄してはいけません
馬鹿にしてはいけません
もうそんなことができるほど
人間は馬鹿にはなれないのです

人よ
慎みなさい
子供のように いつまでも
自分が一番えらいと思っている
その馬鹿の皮を脱ぎ捨てなさい




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする