4CATS

この平穏退屈な日々にもそれなりに感動って在るもの。

レモンの実、パールストリートのクレイジー女たち、

2023-06-18 08:56:17 | 私の読書日記
バラの花が終わったと思ったら、また新しい葉が育ち、そこにまた小さな蕾を発見。
嬉しくなる。
去年は実をつけなかったオリーブも今年は実をつけているし、レモンもご覧の通り。
去年は出来なかったのに、今年は。う、嬉しい😂




2021年11月末に実をつけていたのを買ってきて以来、花が咲いて、こうして実になっていったのを見たのは今回が初めて。
日々、ベランダグリーンの成長に一人ほっこりする私です。

ところで、スウェーデンの推理小説「氷姫」に続き、今度は「パールストリートのクレイジー女たち」トレヴェニアン著、江國香織訳を読み始めている。

第二次対戦前のニューヨークパールストリートに暮らす人々を少年の目線で描いた半自伝的小説のようだけど、これがもう、とても面白い。はじめ、時代背景が古いからどうかな?と躊躇したが、読み始めたら、返ってそこが興味深く、江國香織の訳も素晴らしくいい。多分、彼女の訳だから、より一層面白く読めているのだと思う。おススメです。


人生に、いつか辿り着く理想の島なんてないんだというお話。

2022-11-17 20:52:32 | 私の読書日記
先日、図書館に寄ったら、10月の月間おすすめ図書が、マインドフルネス的なテーマで、マインドフルネスという言葉にともかく弱い私。もうすっかり読み飽きたはずのドミニック ローホーの本を懲りずに借り、もう1冊、リフォーム会社を経営するリブコンテンツという会社の代表、田原由紀子さんが書いた「愛せるキッチン 愛する暮らし 50代からの私らしい住まいと暮らし方」という本を借りてみたのです。

その、軽くパラっとするだけくらいの気持ちで手に取った田原さんの本が今回結構目から鱗で、その文章を思わずノートに書き留めたのです。

それは、田原さんが必死で仕事に家庭にと頑張っていた時期、その当時おそらく50代くらいの人生にもお金にも余裕のありそうな田原さんの顧客のマダム達が田原さんに言い放った言葉。

当時、田原さんの目にはそのマダム達がもうすっかり満たされて毎日が南の島で寛いで過ごせるような人生を送っているように見えたという。でも、そのマダム達に言わせると、田原さんが想像しているようなそんな理想の島なんて人生に存在しないという。人間幾つになっても、そんな理想の島に辿り着けることを目指して舟を漕ぎ続けるだけなのだという。実際、そのだいぶ余裕のありそうなマダム達も、未だに必死に漕ぎ続けているというのだ。

40代も半ばに近づきつつある私、ままならない思春期息子にヒーヒーしている日々で、50代は何だか、いろいろ終わって、余裕も生まれて、案外いいものなんじゃないかな、と私も多分その頃の田原さんと同じような気持ちでいたのだけど、そんな島なんて存在しないんだよ、と言われてみて、そうだったのかあ、、と妙に納得してしまった。そして、実際田原さんもそんな50代を迎えてみて、改めて島なんてないんだということに気付いたという。田原さんが言うには、だからこそ、自分の乗っている舟をなるべくなら、心地よくメンテナンスして、これから先も気持ちよく漕ぎ続けていこうじゃないか、と。死ぬまでずっとえっちらおっちら小舟を漕ぎ続ける人生。理想の島にたどり着くことを夢見て。



かいつまんで言ったら、そう言うことが書いてあって、意外なほど、為になる本だった。なので、おすすめです。ほんとに。



もう本屋さん大賞は信じない

2022-08-26 22:19:33 | 私の読書日記
「ベルリンは晴れているか」に続いて、めちゃくちゃ読むのが苦痛だった作品、勝手に期待していただけに脱力。「そして、バトンは渡された」・・・・・。

娘が読んでる少女漫画の世界なら、百歩譲って許せるような内容。内容がないのにページ数は無駄にある。おいおい、いい加減にしろよ、、が結局最後まで続いた。
そもそも、これよく出版できたなあ。。。そして、よく映画化までしたなあ。


本屋大賞って書店員さんが選んだその年のベスト10的な賞なんだよね??書店員さん、ふだん一体どんな本を読んでるのよ??

今年の夏休みもあとちょっと。



本当に奇跡も魔法も感じられたよ。伊坂幸太郎の「アイネクライネナハトムジーク」

2022-07-19 21:35:42 | 私の読書日記
伊坂幸太郎は若い頃、友達にすすめられてたのに、今の今まで読んだことがなく、愛鳥に出ていかれて、落ち込んでいた時に図書館で、「アイネクライネナハトムジーク」をたまたま手にし、奇跡、魔法のような短編集との裏書きに半ばすがるような思いで読み始めた。

そしてこれが、めーーっちゃくちゃ面白くて通勤を魔法の時間に変えてくれた。

ささくれだってた心にぽっと灯がともる。そんな小説だった。
読み終わって、早速斎藤さんを聴いちゃったよ♪

絶対他のも読んでみる〜。あとがきによると、毛色が違うらしいけど。
男の人なのに、かなり上手に女性を描けるんだなあと思った。

大好きな江國香織の雑多な登場人物が出る話を読んだ後だから、特にそう思った。
江國さんには、自分の世界のままに作品を描いてほしいなあ。やっぱりちょっと浮世離れしてるから、普通の人たちを描くことにはちょっと違和感しかなくて残念だった。






『ミカンの味』を読んで

2022-06-19 10:21:51 | 私の読書日記
チョ・ナムジュさんの「ミカンの味」を読み終えた。

思春期の女の子4人の物語だ。どうやら、著者の娘さんも思春期。うちの息子も思春期。思春期って特別なんだ〜と反抗真っ盛りの息子に手を焼く毎日に、この物語がちょうど刺さった。

終わり方も秀逸だし、タイトルが「ミカンの味」となった場面もみずみずしく美しい。

韓国の進学状況がわかるように、解説も丁寧にされていて、同じく高校受験を考える母親としては格別興味深い。

作者のあとがきも素晴らしくて、ちょっと電車の中で泣きそうになったんだけど、そこに以下の文章があって、

成長はときに手に負えなくて、孤独なことのようです。「誰でもみんな経験することだよ」「あなたは一体何が不満でそんなふうなの?」という言葉に、そうは言っても大変なものは大変なのだと、そういうこともあるんだと答えたかったのです。
                   ミカンの味 作者あとがきより

成長はときに手に負えなくて、孤独なことのようです」この言葉こそが私が探していた思春期についての答えのように思えて、ポストイットに書きつけてトイレの壁に貼り付けた。






「ルワンダでタイ料理屋をひらく」を読んで

2022-04-03 10:09:02 | 私の読書日記
普段はいつも予約した本をカウンターで受け渡ししてもらうだけで、特に忙しくもないくせに、忙しく図書館を出ていた私だけど、たまにぐるりとゆっくり一周すると、そりゃあ素晴らしい本に出会うことができる。

それがこの本、「ルワンダでタイ料理屋をひらく」だ。
著者の唐渡千紗さん(ステキな苗字だなあ)は30歳くらいまで日本の大手企業で働いていたシングルマザーで、脱サラをして、ルワンダでなぜかタイ料理屋を開こうと、その奮闘の日々を描いた本だ。

作家としては素人なのに、文章が上手い。そして、知る機会のなかったアフリカの内陸国ルワンダのこと、中身が新鮮で実に面白い。
勿体無いので、大事に大事に読んでいる。
こんな素敵な本に出会えるんだから、やっぱり図書館は一周してみるもんだ、とつくづく思った。

いつかルワンダに行って、アジアンキッチン(著者の店)でパッタイ食べてビール飲みたい!!!!

それにしても、この著者の経営力、人間力、頑張りがすごくって、大手企業でバリバリ働いた人って、30歳でこんなにしっかりしちゃうもんなんだなあと、ただただ感心してしまう。私なら、すぐに逃げ出して日本に飛んで帰ってる、著者の根性はとんでもなく逞しい。



「長いお別れ」〜ロンググッバイ〜を読んで・・

2022-03-24 21:20:22 | 私の読書日記
最近どハマりしている中島京子さんの「長いお別れ」を読んだ。
通勤時間を楽しみに変えてくれる作家さん。

物語は、認知症を発症した元中学校校長の昇平とその妻、3人の娘たちそれぞれの暮らし、共に歩んだ10年間(その間に3.11が挟まれる)が描かれている。
ともすれば、暗くなりがちな話なのに、根っから明るい妻陽子を軸にしんみりさせすぎることのない、当たり前の(実際壮絶とも言える日々だが)日常がそこには広がっている。

終わり方がまた秀逸で、作者の筆致の見事さに電車の中で涙を堪えるのに必死だった。

タイトルの長いお別れ、10年間の日々を想うとその通りだなあと思ってたんだけど、実際アメリカで、認知症のことを文字通り、ゆっくりお別れをするという意味で、ロンググッバイと呼ぶらしい。

映画化もされているみたいなので、いつか見てみたいな♡


チョ ナムジュさんの「彼女の名前は」 2021年一番感動した本

2022-01-07 23:28:20 | 私の読書日記
ここ最近どハマりしているのが、韓国フェミニズム文学。

「82年生まれ、キム・ジヨン」がとても面白かったのと、VOGUEで紹介されていたのが始まりだ。

「彼女の名前は」は、「82年生まれ・・」の作者チョ ナムジュさんの作品。
彼女の元に届いた実際の韓国女性たちの声を元に作られた本だ。
そこには、若い女性から壮年女性まで、様々な声が寄せられている。

去年1年間で読んだ本の中で、どれが一番と聞かれたら、迷いなくこの本の名前をあげる。

仕事に行く行き帰りに楽しみに読むんだけど、どの話もウルウルきてしまう。
泣かせようとして書かれたわけではもちろんない。
全編、女たちの哀しみがどうしようもなくそこに横たわっているのに、でも力強い希望もそこには確かにあって。
どの話も胸に染み入る。
それと、外国文学に欠かせないのが翻訳者の仕事ぶり。この本にしてこの訳者あり。素晴らしい。

そこから今度は「ヒョンナムオッパへ 韓国フェミニズム小説集」を読み始めた。
チョ ナムジュさんの作品が「ヒョンナムオッパへ」で、他の作者の話もどれもずっしり重く、だけど面白くて、これからますます追って読んでいくことになると思う。


お正月には、「小さいおうち」や「夢見る帝国図書館」でどハマりした中島京子さんの「ムーンライトイン」を読んだ。こちらは、軽〜い読み物で、主人公の拓海君の年齢が35歳というのが最初から最後までちょっと引っかかった。キャラ的に、28歳くらいが妥当なのでは??

それと同じく中島京子さんの「妻が椎茸だったころ」を今読み始めて、短編集のようだけど、最初の「リズ・イェセンスカのゆるされざる新鮮な出会い」この話、最高!!!!だった。
うわあ、こう来たか〜って。めっちゃ面白かった。
他の話も楽しみ〜。



時折読み返したい1冊 『ワイルドサイドをほっつき歩け』

2021-09-07 10:17:05 | 私の読書日記
ブレイディみかこさんの本はどの本も相当に面白い。

この「ワイルドサイドをほっつき歩け」は著者自身が暮らすイギリスでの友達、とりわけ”オッサン”にスポットを当てて紹介した本だ。
これがどのエピソードも大変面白くてマッチョな労働者階級のオッサンの行動に笑ったり、ほろりとさせられたり。人間味があって、何度でも読み返したい1冊になった。

例えば、こんまり(断捨離の)にハマったおっさんが家中を断捨離するんだけど、その時にこんまりを信望するあまり、日本という国もさぞ断捨離された美しい国なんだろうなと著者に尋ねるんだけど、その著者が日本を評していう言葉にうんうんと深く頷いた。↓

「たとえばあの国は街の景観のプランニングなんかしていないので、色も形も建築様式もバラバラな建物が雑然と並んでいる風景を見ただけで、「整理整頓」の精神などないことがわかると思う。あれほどいろんなことがとっ散らかってる国は世界でも珍しいのではないか。」

オリンピック前に読んだ本だから、こんな思いを抱きながら、日本を訪れる外国人よ、日本の現実を見よ、と思ったら、結局無観客になった・・

それから「女たちのポリティクス」今は「何とかならない時代の幸福論」を読み始め中!!

「死の棘」って、くそやん、

2021-07-07 10:46:00 | 私の読書日記
梯久美子さんの「狂うひと」を読んでからの「死の棘」だったから、やっぱり順番逆のが良かったのかとも思って、(だってやっぱり斜めに見ちゃう)更に間に、島尾敏雄の息子で写真家の伸三が書いたエッセイ「小岩へ」を読んでからの「死の棘」、島尾伸三「小高へ」からの「死の棘日記」、ついでに狂う人である島尾ミホの「海辺の生と死」も読んだ。一体どこまで好きやねん、と自分でも呆れるけど、もうNO MORE 島尾敏雄だと私は思っている。

とにかく、イライラしてしょうがなかった。←なら、やめろよ・・

「狂うひと」は面白かったのに、いざ、その原点となった「死の棘」を読んでみると、まあ、イライラしてストレス溜まって、挙げ句の果てに最後まで全くすっきりしないという、代わりに、これでやっと解放された感だけはありーの、もう、読んでる最中ずっと思ってたのは、最近の息子の口癖でもある「クソやん」ということ。
ミホと敏雄もクソやん、とずっとずっと思ってた。何これ???
こんな恥ずかしい本よく世に出したもんだ・・・・・(それも世界にも翻訳されちゃって、一体どうして???)
そもそも本当に島尾敏雄って作家なの????
面白くもない同じことをただただひたすらに書きつけて、こんなの作家の仕事と違うでしょ?と私は思う。

そしてミホは本当に病んでいたの??ただただ生まれ持っての性格の問題かとも思うんだけど、だって第三者がいる前ではきゅうに正常に戻れるんでしょ、それに手紙の捏造までして、絶対に”あいつ”が書いた手紙なんかじゃないと思う。全て妻のペテンだよ、
だって、あんな口調になるわけないやん、ミホ以外。

ミホもしょうもないんだけど、輪をかけて敏雄が酷い。
2人だけで、永遠やっててくれたらまだ救いはあるかと思うんだけど、2人の間には幼い就学前の子供が2人いて、曲がりなりにも親であることをすっかり忘れ惚けて、とっ散らかった毎日を繰り返すのだ。無限のループ。
こんな2人の親のもとで、よく子供が無事(とは言えなかったこともあるけど)大きくなったなと思う。
幼稚園児と2歳児なのに、狂った妻を追いかけるため、電車に置き去りにされたり、毎日あれだけ放置してるにも関わらず、悪いことをしたら、裸で真冬に子供を木に縛りつけたり、奇跡的に犯罪者にならないで済んだけど、やってることは、完全ネグレクト。

そして、この夫婦、数え切れないほどお互い死ぬって言い合っておいて、絶対死なない2人。何度も死んじゃえと思ってしまった・・もしくは、もうお互い一緒に暮らさなきゃよかったのに。結局、敏雄とミホは死ぬまで一緒に暮らすんだけど、それは愛とかじゃなくて、心理学的にいうとなんとか症候群とかに当たるんじゃないだろうか?異常な関係も、長年やってるうちにそれが普通のことのように感じられる感じ??
とにかく、こんなの愛じゃない。


死の棘の当時、伸三は、やっと一年生に上がるところで、小岩の小学校に入学して3日登校したと思ったら、家庭の事情(夫婦は、壮絶な夫婦喧嘩を「家庭の事情」という言葉で子供に擦り込んでいた)で今度は、千葉へ、そこもほんの少し通って、池袋へ転校。息子の伸三曰く、母ミホは

「どうでも良さそうなこまごまとした不愉快を見つけては、しょっちゅう気持ちを曇らせ、周りを不愉快にさせていたけれど、どのようになれば満足できたのでしょうか。行動力があって、どんなことも自分でやってしまうことができた彼女でした。でも、不必要と思える些細な不愉快に気を取られることを死ぬまで繰り返していたのです。」『小岩』へより

と書いている。

どんな性格だったかが端的によく現れているなと思うのが、子供が電車で落とした緑色のベレー帽を駅に通い詰めて拾った人から取り返したエピソード。(これも『小岩へ』から)

不満は到底書ききれるものではないけど、島尾は、当時まだ駆け出しの作家で、(友人には、吉行淳之介や庄野潤三、吉本隆明(ばななの父)など何の縁か、とても恵まれている)夜間高校の教師をしているんだけど、まあ、今の常識からすると信じられないくらい、いい加減に仕事をしていて、一体全体どうなんだろ。。。とただただ驚く。
その夜間の仕事に行くのも不安なミホは(浮気するんじゃなかろうかと)、子供たち引き連れて夫と共に、職場へ送りに行く日々。
そして、無駄に家にいるもんだから、壮絶な夫婦喧嘩を延々繰り返せる日々。
サラリーマンにでもなって、日中は外に働きに行きましょうよ、と思った。

他の本を読んでないからわからないけど、特攻隊だった時期もあるから(それでミホと出会った、夜這いをする特攻隊長)ただただ自分の体験をずらずらと書いて作家となった人なのかな??文章を書くのだけが好きだったんでしょうね〜。

お話的には、ミホの「海辺の生と死」の方が面白かった。才能あり、かと思う。
たとえ、人間失格でも。

最後に、私はやっぱり娘のマヤが気の毒でならない。
ロシア人が島尾ミホを撮った映画?「ドルチェ 」に登場するマヤは当時もう50代のはずなのに、まるで少女。そこではホラー映画よりもホラーな親娘関係が繰り広げられている。ミホはあの頃を取り返そうとしているのか?あの頃おしゃまだった娘は、小学校3年生の頃には言葉を失ってしまった。一番の被害者は、幼かったあの可愛い可愛いマヤなのだ。