昨晩のNHKで興味深い番組が放映されました。
「記憶をつなぐ」というようなタイトルだったと思います。
津波で全てを失った市町村に住まう人々の「心と身体と魂」に焦点を当てた大切な番組でした。
京都大学防災研究室が取り組んでいる復興曲線の聴き取り(復興曲線:震災から今日までの自分自身の心と身体の様子を曲線グラフに書いていただく)をし、分析した結果、震災からようやく仮設住宅等に入居し、一旦落ち着くのですが、暫く経つと、また曲線が下降していきます。そして、震災から2年経ち、心と身体の体感は、震災直後よりも落ち込んでいる方が多いという結果が出ました。
私達は、まさしくこの「心と身体と魂に」焦点を当て、山元町でワークショップをさせていただいています。
(この内容は2月初旬に書いたブログを参照してください。)
震災から三年目。
瓦礫は撤去され、だだっ広い山元町の八重垣神社の境内に立った今年の始め。周辺を見渡すと確かに大型トラックは減り、瓦礫の山がほぼ消え、改築した家に日常生活が落ち着きつつある様子も感じられます。でも、ほとんどの家が無いので、家と家との間にある互いの孤立感は、一層私の心を哀しくさせました。
案内してくださったのは、このあたりで生まれ育ち、現在亘理町に住んでいるSさんです。
美しい松林は、なんとか生き残っている数本の松を残すだけで、ただただ荒涼としています。
寄付された小さな社に手を合わせ、参道の様子、路地の様子、家の様子を話してくださるSさん。まるでそこが以前のままであるかのように語られるのです。
ここに、〇さんの家があってね、こっちには私の実家があって、料亭があってね、、、。従妹の〇ちゃんの家はここあたり。。。祭になると立派な御輿を担ぎ、海にも入るんですよ。。。
「まるで、今、その風景を見ているかのように語る」
という現象を、Sさんからお聞きしただけではありません。今回のワークショップで、この現象を多く体験しました。
いきなり、今の気分は?とか今は不安ですか?なんて、聴くことはできません。
いきなり、ストレスを解消するために語りあいましょう、なんてこともできません。
でも、生まれてから今日までの一人一人の生育史をお聴きすることはできます。
それぞれの方々の生育史を語る言霊から、どのように生活し、どのように暮らし、どのようなものを食べてきたか、、、そして、どのような風習があり、どのような習慣で生きてきたか。。。
今年初めの山元町のワークショップは、二十四節気の季節の言葉をモチーフにしました。
語り出すと、皆さんの目は、まるで心の中を見渡しているかのように、リアルな記憶を描きながら言霊にしていかれるのです。
昨晩の番組での京都大学の防災研究室の研究は、まだまだ続くと思います。自分の町の模型を作り、ひとつひとつ家を乗せ、記憶を辿り、自分の心の目で模型を再現していくことによって、生きている証を確認しているように私には映りました。
番組に登場された皆様は、山元町の皆様と色々なことを語り合った時と同じ目をしていました。
瓦礫が撤去され、過去の記憶がまっさらになってしまった風景が、自分の存在を消してしまうような感覚を呼び起こすようです。
不可能なものを可能にすることは難しいと思いますが、心の目は自由です。
人が持ち具えているホメオスターシス(自然治癒力)の一つが、この想像力であるように思います。
五感と体感を使い想像を巡らせ、まず言葉で蘇られていくことは、これからの大切な作業であると、しみじみ思いました。
私達の活動も間違った方向にはいっていないことも立証されたようにも思いました。
今まで関係性を築き上げてきた皆様と長い期間掛けて、じっくりとお付き合いしていくつもりです。
いつしか、山元町が私の故郷のようにも思え、次はいつ行こうか。。。と、心待つ気分になるのが不思議です。
人の御縁は、心の中で結ばれるものです。。。
真摯に丁寧に。。。
流れに任せて。。。
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「記憶をつなぐ」というようなタイトルだったと思います。
津波で全てを失った市町村に住まう人々の「心と身体と魂」に焦点を当てた大切な番組でした。
京都大学防災研究室が取り組んでいる復興曲線の聴き取り(復興曲線:震災から今日までの自分自身の心と身体の様子を曲線グラフに書いていただく)をし、分析した結果、震災からようやく仮設住宅等に入居し、一旦落ち着くのですが、暫く経つと、また曲線が下降していきます。そして、震災から2年経ち、心と身体の体感は、震災直後よりも落ち込んでいる方が多いという結果が出ました。
私達は、まさしくこの「心と身体と魂に」焦点を当て、山元町でワークショップをさせていただいています。
(この内容は2月初旬に書いたブログを参照してください。)
震災から三年目。
瓦礫は撤去され、だだっ広い山元町の八重垣神社の境内に立った今年の始め。周辺を見渡すと確かに大型トラックは減り、瓦礫の山がほぼ消え、改築した家に日常生活が落ち着きつつある様子も感じられます。でも、ほとんどの家が無いので、家と家との間にある互いの孤立感は、一層私の心を哀しくさせました。
案内してくださったのは、このあたりで生まれ育ち、現在亘理町に住んでいるSさんです。
美しい松林は、なんとか生き残っている数本の松を残すだけで、ただただ荒涼としています。
寄付された小さな社に手を合わせ、参道の様子、路地の様子、家の様子を話してくださるSさん。まるでそこが以前のままであるかのように語られるのです。
ここに、〇さんの家があってね、こっちには私の実家があって、料亭があってね、、、。従妹の〇ちゃんの家はここあたり。。。祭になると立派な御輿を担ぎ、海にも入るんですよ。。。
「まるで、今、その風景を見ているかのように語る」
という現象を、Sさんからお聞きしただけではありません。今回のワークショップで、この現象を多く体験しました。
いきなり、今の気分は?とか今は不安ですか?なんて、聴くことはできません。
いきなり、ストレスを解消するために語りあいましょう、なんてこともできません。
でも、生まれてから今日までの一人一人の生育史をお聴きすることはできます。
それぞれの方々の生育史を語る言霊から、どのように生活し、どのように暮らし、どのようなものを食べてきたか、、、そして、どのような風習があり、どのような習慣で生きてきたか。。。
今年初めの山元町のワークショップは、二十四節気の季節の言葉をモチーフにしました。
語り出すと、皆さんの目は、まるで心の中を見渡しているかのように、リアルな記憶を描きながら言霊にしていかれるのです。
昨晩の番組での京都大学の防災研究室の研究は、まだまだ続くと思います。自分の町の模型を作り、ひとつひとつ家を乗せ、記憶を辿り、自分の心の目で模型を再現していくことによって、生きている証を確認しているように私には映りました。
番組に登場された皆様は、山元町の皆様と色々なことを語り合った時と同じ目をしていました。
瓦礫が撤去され、過去の記憶がまっさらになってしまった風景が、自分の存在を消してしまうような感覚を呼び起こすようです。
不可能なものを可能にすることは難しいと思いますが、心の目は自由です。
人が持ち具えているホメオスターシス(自然治癒力)の一つが、この想像力であるように思います。
五感と体感を使い想像を巡らせ、まず言葉で蘇られていくことは、これからの大切な作業であると、しみじみ思いました。
私達の活動も間違った方向にはいっていないことも立証されたようにも思いました。
今まで関係性を築き上げてきた皆様と長い期間掛けて、じっくりとお付き合いしていくつもりです。
いつしか、山元町が私の故郷のようにも思え、次はいつ行こうか。。。と、心待つ気分になるのが不思議です。
人の御縁は、心の中で結ばれるものです。。。
真摯に丁寧に。。。
流れに任せて。。。
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