勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

ぺんぺん草のうた

2006-04-04 23:05:23 | Weblog
 想像してみてください、口に咥えた絵筆で絵や字を描くことを。

 星野富弘さんは、中学校教師として赴任後2ヶ月足らずで、クラブ活動で指導中鉄棒から落ち、頚椎損傷を負った。
首から下の運動機能を失いながら、母の手を借りて口に咥えた筆で詩を書き絵を描く。

 手が動かないので、三度の食事も母に口に入れてもらっていた。
「産んでくれなけりゃよかったんだ。チクショウ!」そう言って母親を責め、自殺まで考えたという。

 それでも星野さんは、手足は動かずとも口が動くと、前向きな考えを持つようになり、絶望の淵から立ち上がり、絵と詩を描きつづけている。

 「目が回り、咥えた筆のガーゼは、よだれでぐしょぐしょに濡れ、ほっぺたを伝わって枕に浸みる。そして吐き気がしてきた」 

 そんな星野富弘さんの詩集には、弱いものへの優しさに溢れた詩が、宝石のように輝いてぎっしりと詰っている。

<
-なずな-

神様がたった一度だけ
この腕を動かして下さるとしたら
母の肩をたたかせてもらおう
風に揺れるぺんぺん草の実を見ていたら
そんな日が
本当に来るような気がした

星野富弘
2006.04.04