韓国・テグで開催中の「世界陸上2011」は、大会3日目の29日に男子ハンマー投げ、女子100mの決勝が行われました。ハンマー投げでは、日本が誇る鉄人・室伏広治選手がメダルを獲得できるか注目され、決勝では80mを超える投てきを連発しました。
予選で78m56cmを記録し、全体のトップで通過した室伏は、決勝1投目で80mライン手前まで投げ、79m72cmをマーク。一方、室伏のライバルであるコズムス(スロベニア)が77m50cmで2位、ポルシュ(ハンガリー)が77m26cmで3位。2投目で、コズムスが79m39で室伏の記録に迫るが、室伏は80mラインを超えるビッグスローを見せ、81m03で1回目より記録を伸ばします。3投目も80m超の投てきを見せ、81m24とさらに伸ばしてきました。
室伏を追うポルシュは、4投目に79m97を記録してコズムスを抜いて2位に浮上。しかし、わずかに80mにあと数センチ足りず。対するコズムスも80mには届かず。依然として室伏トップが続きます。室伏は5投目に3投目と同じく81m24を記録。そして最終6投目、2位のポルシュがビッグスローを放ち、80mラインを越えたが、記録は81m18cmで室伏の記録をわずかに届かず。この瞬間、室伏の金メダルが確定。室伏は最終6投目でさらなる記録更新を狙ったが、80m83で今季自己ベストならず。それでも、世界陸上で自身初の金メダルを手にしました。
室伏選手やりましたね!2004年のアテネ五輪に次いで国際大会で2つ目の金メダル獲得です。アテネの時は当初銀メダルだったんですが、首位だったアヌシュ(ハンガリー)が薬物違反で失格となり、繰り上がりで金メダルとなりました。それから7年後、今度は実力で世界の頂点を掴みました。室伏選手は世界陸上で3個目のメダル獲得、日本人選手の金メダルは1997年(アテネ大会)の女子マラソンの鈴木博美さん以来14年ぶり史上4人目、男子選手では1991年(東京大会)男子マラソンの谷口博美さん以来20年ぶりの快挙となります。
決勝では予選の勢いがそのまま持続され、1投目で80m近い投てきでライバルにプレッシャーをかけ、3投目と5投目でシーズンベストの81m24cmという記録を叩きだしました。6投中4投で80m越えと完璧な内容でしたなあ。アテネ以降はケガに悩まされ、国際舞台での表彰台から遠ざかっていましたが、テグで完全復活を果たしました。これで来年のロンドン五輪は文句無しで決定。ロンドンでは五輪2度目の金メダルに期待したいです。
このほかの競技
女子100mでは、女子短距離で79年ぶりの準決勝進出を果たした福島千里選手が登場。準決勝3組目の8レーンを走った福島選手は、スタートで好反応を見せ、他の選手たちにくらいついて見せましたが、中盤以降は伸び切れず8着でゴール。決勝の夢は断たれましたが、この大きな経験が来年以降に繋がるはずだと思います。福島選手は女子200mにも出場予定で、そこでも予選突破できるか注目です。今後の走りに期待しましょう。
決勝では、3レーンのシェリー・アン・フレーザー(ジャマイカ)と4レーンのカーメリタ・ジーター(アメリカ)が激しく競り合い、残り十メートルでジーターが抜け出して金メダル。2着争いでは8レーンから猛追したベロニカ・キャンベル(ジャマイカ)が銀メダル、ケリー・パブティステ(トリニダード・トバゴ)が銅メダル獲得。アメリカが最速女王の座を奪い返しました。
男子400m準決勝では、金丸祐三選手と義足ランナー・ピストリウス(南アフリカ)が登場しましたが、結果は両者とも敗退。
女子400m決勝は、4冠を狙うアリソン・フェリックス(米国)、前回女王サンヤ・リチャーズ(米国)、アマントル・モンショー(ボツワナ)が出場。レースはモンショーが逃げる、フェリックスが追う展開となり、残り100mでフェリックスが並びかけ、モンショーが粘り、最後は両者並んでゴール。最後まで粘ったモンショーが僅差で優勝。フェリックスは早くも4冠の道が断たれてしまいました。前回王者のリチャーズは出遅れて7着でした。
男子110メートルハードルは、劉翔(中国)、ロブレス(キューバ)、オリバー(米国)の3強が激突しましたが、ゴール後に意外な結末が待っていました。好スタートを見せたロブレスが先頭に立ったのに対し、オリバーは中盤で伸び切れず。後半になりリチャードソン(米国)、劉翔、ロブレスの3人が並んだが、最後のハードルで劉翔がバランスを崩し失速。ロブレス抜け出して1着。
しかし、ゴール後の審議で、ロブレスが劉翔の進路を妨害したとして失格が下され、2位でゴールしたリチャードソンが繰り上がり金メダル。被害を受けた劉翔は銀メダルでした。妨害されなかったら金メダルだったのにかわいそうだなあ。