
夏休み最後の日曜日となった28日は、日本と韓国で大一番でのフライングスタートという悲劇が相次ぎました。日本では競艇のSG競走の優勝戦で2艇フライングを犯し、韓国・テグ世界陸上では、男子100m決勝で人類最速男がやってしまいました…。
福岡競艇場にて開催されていた競艇のSGレース「総務大臣杯争奪 モーターボート記念競走」は、最終日の28日に優勝戦が行われました。優勝戦には地元・福岡勢から5人(①出畑孝典、②藤丸光一、③岡崎恭裕、④瓜生正義、⑥篠崎仁志)がファイナルに進出し、佐賀1人(⑤峰竜太)も含め九州勢が独占しました。
オール九州の優勝戦は、枠なり進入(内から①②③④⑤⑥)で始まり、1コースから出畑、3コース・岡崎が好スタートを切るが、わずかに早く飛び出してしまったか。1周第1ターンマークで瓜生が4コースからマクリ一閃。ズバッと決まると瓜生が一気に独走態勢。岡崎が2番手で追走するも、スタート判定の結果、①出畑と③岡崎がフライングでアウト。2艇返還欠場により、レースは4艇での競走となりました。その後は瓜生が2周目以降も2位以下を大きく引き離し、ぶっちぎりでゴール。MB記念初優勝&SG競走5度目の優勝を果たしました。
MB記念は福岡のエース・瓜生選手が地元ファンの声援に見事に応えましたが、2選手がフライングを切って返還欠場という大波乱で幕を閉じました。このフライングにより、優勝戦の売上金額12億2469万100円のうち、10億6466万2500円が返還され、返還率は86.9%。売り上げの約9割が返還となり、福岡競艇側にとっては大打撃といえるでしょう。
ちなみに、過去のSG優勝戦でのフライングを調べたところ、2002年のグランドチャンピオン決定戦では、2艇フライングで約24億円(返還率92.8%)の返還額が発生すれば、2007年の総理大臣杯では、「艇王」と呼ばれていた植木通彦選手がフライングを犯し、返還額が17億円に達しました。植木選手は総理杯のフライングが影響したのかその年の7月に突然現役引退を表明。
今回のレースでは、出畑選手が0.04秒、岡崎選手が0.02秒早くスタート。優勝した瓜生選手は0.00秒のタッチスタートで間一髪セーフ。瓜生さん危なかったですねえ。SG競走の優勝戦でスタート事故をした選手は、1年間SG競走の選出除外というペナルティがあるため、出畑選手と中島選手は次回のSGレース・第58回全日本選手権(10月5日~10日・平和島競艇場)には出場できません。しばらく大舞台には出られませんが、今回の失態をしっかり反省し、また復活できる事を願っています。
27日から開幕した「世界陸上韓国テグ大会」は、大会2日目に男子100mの決勝戦がありました。前回のベルリン大会で9秒58の驚異的世界新記録を樹立したウサイン・ボルトが、この種目の大会2連覇&2大会連続世界新記録に期待が集まりましたが、まさかの展開が待っていました…。
決勝戦はジャマイカ勢が3選手、ウォルター・ディックス(米国)、クリストフ・ルメートル(フランス)、ティム・コリンズ(セントクリストファー・ネイビス)などが出場。注目のボルトは5レーンを走ります。全選手がクラウチングスタートの構えの後、号砲と同時にボルトが飛び出してフライング!今大会からフライング→即失格とルールが変更されたため、ボルトはこの時点で失格。100m連覇&世界新更新は幻に。
王者不在のレースは、好スタートを切ったコリンズが中盤まで先頭を走るが、ヨハン・ブレーク(ジャマイカ)が中盤以降に伸び、残り10m近くでコリンズをかわして1着ゴール。9秒92のタイムで金メダルを獲得。2着にはディックスが最後にコリンズを捉えて銀メダル、前半逃げたコリンズは銅メダルでした。
ボルト選手がフライングを犯した瞬間、ユニフォームを脱いで悔しさをあらわにし、会場も大きくどよめきました。今大会はアサファ・パウエル、タイソン・ゲイが欠場し、ライバル不在で「ボルト1強モード」、予選や準決勝は軽々と流して通過し、決勝で本気モードのボルトが見られるかと思われましたが、フライング一発アウト。王者の走りを楽しみにしていた人たちも、まさかのフライング失格に驚きを隠せなかったり、ショックを抱いた人も多かったと思います。
ジャマイカ勢はこの種目2連覇を達成しましたが、なんとも後味の悪いものとなりました。優勝したブレーク選手は、普段はボルト選手の練習パートナーである選手。レース後のインタビューでは「複雑です」と素直に喜べませんでした。とはいえ世界タイトルを獲得したことで、来年のロンドン五輪ではボルトのライバル候補に挙がる事でしょう。ジャマイカにはボルト、ブレイクの他にも元世界記録保持者のパウエル、ネスタ・カーターと短距離選手の層が厚いです。短距離界は今後もジャマイカの天下が続きます。
ボルトの一発アウトで、フライングスタートの議論がまた過熱するかもしれません。決勝を走れなかったボルトが本当にかわいそうで、正直今でも信じられません。この悔しさは次の200mで晴らしてくれると思います。




