アメリカ大リーグ・シアトルマリナーズのイチロー選手(本名・鈴木一朗)が、21日に東京ドームで行われたオークランド・アスレチックス戦で現役引退を表明しました。日本とアメリカで数多くの伝説と記録を残した野球界のスーパースターが、28年間のプロ野球人生に幕を下ろします。
選手として28年目のシーズンを迎えていたイチロー選手は、オープン戦で24打席連続ノーヒット。20日のレギュラーシーズン開幕戦では9番ライトで出場するも2打席無安打に終わり、4回の守備で交代。イチローがベンチに戻る最中にスタンディングオベーションが発生し、ベンチでチームメイトと抱擁を交わしました。
一夜明けたこの日の試合も9番・ライトでスタメン出場。まず2回の第1打席、アスレチックス先発・エストラーダの2球目を打ち上げて三塁ファウルフライ。4回の第2打席では、4球目を1,2塁間に弾き返しますが、二塁手の好守に阻まれてセカンドゴロに倒れます。7回、無死2塁の場面でイチローが3度目の打席に立ちますが、外角の球に手が出ず見逃し三振。イチローの快音を待ち望んでいた観客たちも大きな溜息がこぼれます。
3打席連続ノーヒットで迎えた第4打席、8回2死2塁の場面でイチローが登場。2球続けてファウルで粘った後の6球目、真ん中のボールを叩くもショートゴロ。イチローも全力疾走で1塁を駆け抜けるもあと一歩及ばず。その裏、イチローがライトの守備に就いたが、監督に交代を告げられてグラウンドを後に。イチローは大歓声を受けながらベンチに戻りました。
試合は延長12回にマリナーズが勝ち越し点を挙げ、5-4で勝利。試合が終わった後にイチロー選手がグラウンドに姿を現し、場内を一周してファンに別れを告げました。マリナーズの公式ツイッターでも「この試合を最後に現役引退する」と正式に発表しました。
イチロー選手は1992年にオリックス・ブルーウェーブからドラフト4位で入団。プロ3年目の1994年にプロ野球史上初のシーズン200本安打を達成(最終的に216本)すると、95年にはパリーグ優勝、96年には日本一に貢献。2000年まで7年連続でパリーグ首位打者を獲得し、その年のオフにメジャー挑戦を表明。
2001年にマリナーズに入団し、1年目にアメリカンリーグの最多安打(242安打)、首位打者(打率.350)、盗塁王(56盗塁)を獲得し、その年の新人王&MVPを獲得。2004年にはシーズン262本のメジャー最多安打記録を樹立。シーズン200本安打を2010年まで続け、2012年シーズン途中からはニューヨーク・ヤンキースでプレーし、8月に日米通算4000本安打を達成します。
マイアミ・マーリンズ時代の2016年、6月に日米通算4257安打を達成し、ピート・ローズ氏が持っていたメジャー通算4256安打の記録を破る。8月のロッキーズ戦でメジャー通算3000本安打を達成。
2018年にシアトル・マリナーズに復帰しますが、5月4日にシーズン残り全試合に出場せず、「球団会長付球団特別補佐」に就任。今年2月に「キャンプ招待選手」としてマイナー契約を結び、日本開幕戦を前にメジャー昇格。
侍ジャパンでも圧倒的な存在感を放ち、2006年の第1回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で日本代表の優勝に貢献。2009年の第2回大会も出場し、決勝戦の韓国戦で、延長10回に韓国の守護神・イム・チャンヨン投手(当時ヤクルト所属)から決勝タイムリーヒットを放ち、2連覇に導きました。
メジャー19年間で2653試合に出場し、プロ28年間で日米通算4367安打(日本:1278安打、米国:3089安打)、235本塁打、1309打点、打率.322の成績を残しました。
40代を過ぎても第一線で活躍し、いつまで現役を続けるのだろうと思っていましたが、「第一線を退く意向」のニュースが流れて、「とうとうこの時が来るのか」って思いました。足もよく動いてるし、巨人戦でレーザービームも見せたけど、バッティングではオープン戦から30打席連続でノーヒット。呆気なく見逃し三振を喫した時は、正直寂しい気持ちになりました。
阪神淡路大震災の年に「がんばろうKOBE」を掲げたオリックスが優勝を果たし、その翌年にイチロー選手が優勝を決めるサヨナラヒットを放ったとき、めちゃくちゃ飛び跳ねていたのは記憶に残っています。仰木彬監督時代のオリックスは、イチローの他に田口壮選手、トロイ・ニール選手、星野伸之投手、平井正史投手などがいて、Aクラス常連の強いチームでした。
メジャーで新人王、MVP、首位打者といった個人タイトルを獲得し、日本人の野手でも活躍できることを大きく証明。その一方で、メジャー19年間で一度もワールドシリーズに出場できず。1年目の時にマリナーズがア・リーグの優勝決定戦に進みながらも、優勝決定戦でヤンキースに敗戦。マリナーズは2002年以降ポストシーズンに出場できていません。
日本とアメリカで実績を残したから、両国の野球殿堂入りもあり得ると思います。今後は不透明で、指導者転身は「監督は絶対無理。人望がない」と現時点では否定的。マリナーズのフロントに入るか、野球からかけ離れた生活を送るかでしょうねぇ。イチロー選手、28年間の現役生活本当にお疲れ様でした!そして、たくさんの感動をありがとう!