第96回東京箱根間往復大学駅伝競走は、2日に前半の往路(5区間 107.5Km)が行われました。今年は前回王者・東海大学、王座奪還を狙う青山学院大学、出雲大学駅伝優勝の国学院大学、東洋大学、駒沢大学の「5強」が優勝候補として挙げられ、さらに予選会トップの東京国際大学、26年ぶりの筑波大学、創価大学、早稲田大学ら、20校+関東学生連合の21チームが出場しました。
午前8時に東京・大手町の読売新聞本社前を21チームが一斉にスタートし、最初の5キロを14分23秒、10キロを28分48秒で通過で通過。後半に入ると先頭集団のふるい落としが始まり、東洋・西山和弥、駒澤・中村大聖が集団から遅れてしまう。
18キロ過ぎに国学院・藤木宏太が集団から抜け出す。しかし、創価・米満怜が20キロで2位に上がると、21キロ手前で藤木を捕らえて首位に浮上。そのまま鶴見中継所を創価大が先頭でタスキリレー。国学院は5秒差の2位、3位・日体大、東海は10秒差の4位、青学大・吉田圭太は18秒遅れの7位。駒澤は9位、東京国際大は13位、東洋は14位と出遅れた。
各校のエースが集う華の2区、創価・ムイル、東海大・塩澤稀夕、国学院・土方英和、青学・岸本大紀、早稲田、中央学院、日体大の7チームが先頭集団を形成。
一方後方では、東洋・相澤晃と東国大・伊藤達彦が並走し、前のチームを追いかける。15キロまでに相澤は6人抜き、伊藤は4人を抜いた。
16キロ手前で早稲田・太田智樹が前に出るが、東海・塩澤、青学・岸本も離れない。戸塚中継所まで残り500mのところで岸本がラストスパートを仕掛けると、早稲田・東海・国学院の追撃を振り切り、戸塚中継所をトップで通過。1秒差で早稲田が2位、さらに東海、国学院と続く。1区トップだった創価は6位に下がり、東洋・相澤が7番手で通過。14位から7人抜きの力走、1時間5分57秒の区間新記録を樹立!さらに東国大・伊藤も8位でタスキを渡した。優勝候補の一角である駒大は13位。
3区、8位でタスキを受け取った東国大・ヴィンセントが驚異の走りを披露。最初の2キロで2人を抜くと、9キロ地点で3位、10キロで国学院を抜いて2位に浮上。そして11.3キロで青学・鈴木塁人をかわして首位に躍り出た。鈴木も笑顔で譲っていました。
後方では駒大の1年生・田澤廉がごぼう抜き。戸塚13位スタートから、13.33キロで7位に浮上すると、18キロで早稲田を抜いて6位までジャンプアップ。19キロ手前、国学院・青木祐人と青学・鈴木が2位争いを繰り広げる。
首位をひた走るヴィンセントは、後続との差をさらに広げ、平塚中継所をトップでタスキ渡し。21.4キロを59分25秒で走り切り、区間新記録。青学と国学院の2位争いは、青学が2位を死守し、国学院は5秒遅れの3位。このあと、帝京・遠藤大地が4位、東海は首位から2分11秒差の5位、駒澤・田澤は6位。東洋は10位に下がった。
4区、2位の青学・吉田祐也が、先頭の東国大・佐伯涼を猛追。平塚中継所での1分21秒差から、9キロ過ぎに33秒差まで縮める。13キロ過ぎに吉田祐が佐伯に追いつき、13.8キロで吉田祐が首位に立つ。終盤になってもペースは落ちず、佐伯との差を大きく拡げ、小田原中継所で往路アンカー・飯田貴之にタスキを渡した。1時間00分30秒とこれもまた区間新記録だ!
東国大は1分02秒遅れの2位、国学院は浦野雄平が1分28秒差の3位でタスキを受けた。その後、東海と帝京が同時で通過。駒大は6位で通過し、東洋は14位とさらに順位を落としてしまった。
山登り区間の5区、国学院・浦野が函嶺洞門(3.6キロ)のところで東国大を抜いて2位に浮上。小涌園前(11.7キロ)では、青学・飯田に1分09秒差まで詰める。青学・飯田は終盤にその差を拡げ、最後まで首位を守り切ってゴールイン!青山学院大学が5時間21分17秒のタイムで往路優勝を果たしました。
国学院・浦野は1分33秒遅れの2位フィニッシュ。3位争いは東京国際大が制し、東海大は往路4位。その後、明治、帝京、創価、駒澤、早稲田、拓殖と続き、東洋はシード圏外の11位フィニッシュ。
往路成績
1位 青山学院大学 5時間21分16秒
2位 国学院大学 5時間22分49秒
3位 東京国際大学 5時間24分33秒
4位 東海大学 5時間24分38秒
5位 明治大学 5時間27分11秒
6位 帝京大学 5時間27分15秒
7位 創価大学 5時間27分34秒
8位 駒沢大学 5時間27分41秒
9位 早稲田大学 5時間28分48秒
10位 拓殖大学 5時間29分08秒
11位 東洋大学 5時間29分15秒
12位 中央学院大学 5時間29分17秒
13位 中央大学 5時間31分40秒
14位 順天堂大学 5時間31分52秒
15位 日本大学 5時間32分53秒
16位 法政大学 5時間33分00秒
17位 神奈川大学 5時間34分11秒
18位 日本体育大学 5時間34分35秒
19位 筑波大学 5時間37分53秒
20位 国士舘大学 5時間38分37秒
OP 関東学生連合 5時間34分54秒
区間賞
1区 米満怜 (創価大) 1時間01分13秒
2区 相澤晃 (東洋大) 1時間05分57秒
3区 ヴィンセント(東国大) 59分25秒
4区 吉田祐也(青学大) 1時間00分30秒
5区 宮下隼人(東洋大) 1時間10分25秒
令和初の箱根駅伝の往路は、2区から5区まで区間新記録が続出。4位の東海大学まで往路新記録をマークするという空前絶後の「超高速レース」となりました。2区の相澤選手が史上初の1時間5分台を叩き出すと、3区のヴィンセント選手は1時間を切るタイムで走り切り、従来の記録(1時間1分26秒)を2分以上も更新しました。
往路優勝の青山学院大学は、昨年の東洋大の5時間26分31秒の往路記録を5分以上も上回りました。2区で1年生の岸本選手が好走すると、4区の吉田選手が区間新記録の快走。選手として最後のレースで最高の結果を残しました。今大会は「やっぱり大作戦」を掲げていますが、往路の時点で「やっぱり強い」という印象を受けました。復路も首位の座を守り切って王座返り咲きとなるでしょうか?
2位の国学院、3位の東京国際大は往路最高順位。大躍進の東国大は3度目の出場で初めてのシード権獲得となるか?前回王者の東海大は青学から3分22秒差の4位。復路には強力なメンバーが控えていますが、逆転はちょっと厳しいか?
往路3連覇を狙った東洋大学は2区の相澤選手と5区の宮下選手が区間賞を獲得しながらも、往路は11位フィニッシュ。1区の西山選手の出遅れが大誤算だし、3区と4区もダメでした。このチームは総合3位以内が11年も続いていますが、今年はシード権争いの中。もしシード圏外で終わったら、第81回大会以来15年ぶりの屈辱となります。東洋なら間違いなくシード圏内でフィニッシュするだろうと思いますが…。
3日の復路は、往路トップの青山学院大学が朝8時に芦ノ湖を出発。それから1分33秒後に国学院、東京国際大、東海と順番ごとにスタート。トップがスタートしてから10分後に13位の中央大学以下のチームが一斉スタートとなります。総合優勝争い、シード権争いの行方はどうなる?