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第96回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)は、3日に後半の復路が行われました。前半の往路は2区から5区まで区間新記録が続出しましたが、青山学院大学が2年ぶりの往路優勝を果たしました。国学院大学が2位、東京国際大学が3位、前回優勝の東海大学は4位で復路を迎えます。青学が復路も逃げ切って王座返り咲き?あるいは東海大の大逆転なるか?そして、シード権争いの行方はどうなった?
山下り区間の6区、往路トップの青学・谷野航平が午前8時ちょうどに芦ノ湖を出発。それから1分33秒後に2位の国学院、3分17秒後に東国大、さらに5秒遅れて東海大と次々とスタートしていきます。
青学の谷野が順調に首位をひた走る中、東海・館澤亨次が猛追。スタート直後に3位に上がると、小涌園前(9.1Km)でスタート時から1分近く差を詰める。
一方、往路11位の東洋大は今西駿介が力走。小涌園前を9位で通過すると、15.6キロ過ぎに創価大を抜いて8位に浮上。
小田原中継所、先頭の青学・谷野が2位に2分16秒差をつけて7区の中村友哉にタスキ渡し。国学院が死守し、東海・館澤は3位でタスキリレー。首位青学との差は2分21秒。館澤は57分17秒のタイムで駆け抜け、区間新記録を達成。
この後、東国大、明治、駒澤と続き、東洋・今西が4人を抜いて7位で通過。シード争いでは、中央学院が9位、創価が10位。往路10位の拓殖が11位、往路9位の早稲田が12位と順位を落とした。
7区、国学院・木付琳と東海・松崎咲人が激しい2位争いを繰り広げる。1キロ手前で松崎が木付に追いつくと、2.2Kmで松崎が前に出るが、木付も並ぶ。しかし、12キロ過ぎに松崎が突き放して東海大が単独2位浮上。
後方では、5位でタスキを受けた明治の阿部弘輝が、青学・中村、東海・松崎を上回るペースで走り、11.6Kmで東国大を抜いて4位に浮上。
先頭の青学・中村は、終始安定した走りを続け、平塚中継所で8区・岩見秀哉にタスキをつなぐ。それから2分1秒遅れて東海・松崎が2番手で通過。東海の8区は区間記録保持者の小松陽平だ。国学院が3位のあと、明大・阿部が4位でタスキ渡し。1時間01分40秒の区間新を打ち立てました。
シード権争いはここでも変動があり、早稲田が3つ順位を上げて9位、中央学院も10位。創価は県外の11位に落ちる。中央学院まで37秒、早大まで41秒差。拓殖はまた順位を1つ下げて12位。
8区、逃げる青学・岩見に対し、東海・小松が追いかけるが、茅ケ崎のところで2分10秒差と開き、遊行寺坂のところで2分5秒差。
一方、シード争いでは9位の早稲田が10位の中央学院との差を拡げ、11位の創価・鈴木大海が追い上げ、13.2キロで創価が10位に浮上。しかし、中央学院・藤井雄大も食らいつき、両者のデッドヒートが続く。
平塚中継所も青学がトップで通過し、東海大は2分差の2位。帝京が6位に浮上。中央学院が10番手で通過し、創価は7秒遅れの11位。
復路エース区間の9区、青学は神林勇太が区間新ペースの好走を続け、2位・東海大との差を拡げ続け、生麦のところで約3分の差をつけた。
中央学院VS創価の争いでは、権太坂で中央学院が10秒リードすると、横浜駅前で22秒差、生麦で37秒まで開く。
アンカーの待つ鶴見中継所。青学・神林は終盤ペースが落ちたが、それでも区間トップの好走で、10区の湯原慶吾にタスキリレー。東海大は3分42秒遅れの2位。さらに東国大・相沢悠斗が2人抜いて3位に返り咲き。明治が4位、国学院は5位に後退。中央学院は創価に1分19秒の差をつけてシード圏内の10位。11位の創価は初シードが厳しくなったか?
そして首位・青学が通過してから20分後、日体大、日大、筑波の3チームが繰り上げスタートとなりました。
いよいよ最終10区。ここでは3位争いとシード権争いにドラマがありました。3位争いの方は、4位の明治が3位・東国大に追いつくと、さらには5位・国学院と6位の帝京も接近。17.5キロ辺り4チームが一団の状態になった。
シード争いの方は、11位でタスキを受けた創価の嶋津雄大が怒涛の追い上げを見せ、鎌田で18秒差まで詰めると、9.5キロで中央学院をかわして10位に浮上。新八ッ山橋のところで上位陣より速いタイムで走り、区間記録を塗り替える勢いだ。
青学のアンカー・湯原は余裕の走りを見せ、東京・大手町の読売新聞本社前を笑顔でフィニッシュ!青山学院大学が2年ぶりの箱根駅伝総合優勝!東海大・郡司陽大は3分02秒遅れての2位でゴール。
混戦の3位争いは、残り1キロで国学院・殿地琢朗がスパートを仕掛けると、帝京、東国大も追撃。明治はついて行けず。最後は国学院が3位でゴールし、その後に帝京4位、東国大は5位で初シード獲得!
創価・嶋津は終盤になっても勢いは止まらず、東洋大まで抜いて9位でゴール!1時間08分40秒の区間新記録をマークし、チームをシード権獲得に導きました!東洋大はアンカーが苦戦して10位でゴール。そして中央学院が東洋から遅れること1分59秒後に11番目でフィニッシュしました。
第96回箱根駅伝 総合成績
1位 青山学院大学 10:45:23 ※大会新
2位 東海大学 10:48:25 ※大会新
3位 国学院大学 10:54:20
4位 帝京大学 10:54:23
5位 東京国際大学 10:54:27
6位 明治大学 10:54:46
7位 早稲田大学 10:57:43
8位 駒澤大学 10:57:44
9位 創価大学 10:58:17
10位 東洋大学 10:59:11
(※10位までが次回大会のシード権獲得)
11位 中央学院大学 11:01:10
12位 中央大学 11:03:39
13位 拓殖大学 11:04:28
14位 順天堂大学 11:06:45
15位 法政大学 11:07:23
16位 神奈川大学 11:07:26
17位 日本体育大学 11:10:32
18位 日本大学 11:10:37
19位 国士舘大 11:13:33
20位 筑波大学 11:16:13
関東学生連合 11:12:34
復路区間賞
6区20.8キロ 館澤亨次 東海大 57:17 ※区間新
7区21.3キロ 阿部弘輝 明治大 1:01:40 ※区間新
8区21.4キロ 小松陽平 東海大 1:04:24
9区23.1キロ 神林勇太 青山学院大 1:08:13
10区23.0キロ 嶋津雄大 創価大 1:08:40 ※区間新
令和初、東京五輪イヤーの箱根駅伝は、青山学院大学が10時間45分23秒の大会新記録で、2年ぶり5回目の総合優勝を果たしました。前回王者の東海大学は2位に終わり、国学院大が過去最高の総合3位。総合5位の東京国際大学と総合9位の創価大学は初めてのシード権を獲得。早稲田と明治もシードに返り咲き。
往路で出遅れた東洋大学は一時は7位まで順位を上げましたが、アンカーが3人も抜かれて10位。辛くも15年連続でシード権を確保。2区で区間新を出した相澤晃選手が大会MVPに選ばれました。ただ、来シーズン以降が不安な気がします。
6年連続シードを逃した中央学院、法政大学、順天堂、拓殖は予選会に回ることに。
復路の区間賞は、3区間で区間新記録が生まれ、10区の嶋津選手(創価)は、生まれつき「網膜色素変性症」という目の病気を患っていますが、そのハンディキャップを乗り越える激走で、初シードの立役者となりました。
復路で逃げ切って王座奪還を果たした青山学院大学。「やっぱり大作戦」の名の通り、やっぱり強かったです。往路で1分33秒差をつけ、復路でも独走態勢を築いて、3分以上の大差で圧勝しました。区間賞を獲得したのは、4区の吉田祐也選手と9区の神林選手の2人のみ。総合力の高さで優勝を掴みとりました。
昨年の箱根駅伝で優勝を逃し、今季も出雲大学駅伝で5位、全日本大学駅伝で2位に終わりましたが、なんとか無冠は免れました。東国大・創価・国学院といった新興勢力が台頭しても、青学の時代はまだまだ続きそうですね。