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海外ドラマや映画の感想いろいろ書いてます。

フロントランナー

2019-02-08 07:06:20 | 映画+その他
The Front Runner

Directed by Jason Reitman
Produced by Helen Estabrook Aaron L. Gilbert Jason Reitman
Screenplay by Matt Bai Jason Reitman Jay Carson
Based on All the Truth Is Out: The Week Politics Went Tabloid by Matt Bai
2018 USA


実はあまり期待していなかったのだけど、予想に反して結構面白かったです。
でもこれは好き嫌いが顕著な作品かも。


ネタばれがありますのでご注意ください。



上院議員のゲイリー・ハート氏が1988年アメリカ合衆国大統領選挙に出馬し、
最有力候補(フロントランナー)でしたがスキャンダルによって撤退したという伝記映画でした。

ゲイリー・ハートさんについてwikiでは以下のことが書かれていました。

1936年生まれのアメリカ合衆国の政治家。民主党の元・大統領候補
1987年初頭の時点では、上院議員のゲイリー・ハートが出馬を表明していた候補の中では明らかな先行候補であった。
(民主党はこのほか、ニューヨーク州知事のマリオ・クオモも候補として考えていた。)
ハートには、1984年の大統領選挙の際に民主党の予備選挙を戦った経験がありそのことも彼を有利にしていた。
しかしハートは、マイアミ・ヘラルド紙に女性スキャンダルをスクープされたことにより世論調査での支持率が急落、
1987年5月には選挙キャンペーンからの撤退を迫られている。この後ハートは、1987年12月に電撃的に予備選レースに復帰したものの、
スキャンダルによるイメージ失墜は致命的であり、結局再撤退を余儀なくされた。
(via 1988年アメリカ合衆国大統領選挙)

ブッシュさんが圧勝した選挙でした。

でもこの映画は政治ネタでも選挙を勝ち抜く感動ストーリーでもありませんでした。
ヒューさんがインタビューで「正解のない映画」と仰っていて
結論は視聴者に丸投げ・・・・ではなく考えてみてねってことなんだと思いました。



ヒュー・ジャックマンasゲイリー・ハート



大統領選出馬を表明し、実直な演説とカリスマ性で順調に支持率を伸ばしていたゲイリー・ハートさん。
ある日、「モンキー・ビジネス」という名のクルーザーでドナ・ライスと出会い、
ハート氏のタウンハウスに出入りしたことをマイアミ・ヘラルド紙にスクープされていまいます。

「モンキービジネス」は「いんちき」という意味があるのでこれもネタにされていました。


でも当時は政治家の女性スキャンダルなど取るに足らないと軽く考え何も手を打たなかったため
マスコミが殺到しドナやハート氏の家族まで巻き込むことになり撤退に追い込まれて行きます。


選挙でハート氏の参謀をつとめたビルに J・K・シモンズ。
大好きなおじさまです。




当時、ワシントンポスト紙はマイアミ・ヘラルドのようなゴシップを扱うメディアを三流扱いし
一流を自負するハート氏のゴシップを追いませんでしたが最終的には民衆の要望に応えざるを得なくなっていきます。

メディアの誇りはどこにいってしまったんでしょうね。
某N〇〇が芸能人のゴシップをトップニュースで流しているのを見るとゲンナリします。
民放のバラエティやワイドショーならともかく・・・


あらさがしをするために張り込みをしプライベートを暴き立てるのが本当に正義なんでしょうか。

でもマスコミをそうさせているのは外ならぬ私たちなのかもしれません。
私たちがゴシップに飛びつき炎上させるとマスコミは喜んで次のゴシップを探します。


劇中ではドナ・ライスにも焦点を当てていました。
重罪を犯したわけではないのに追いかけまわされ
髪がブロンドというだけで頭の軽い女とレッテルをはられ人生を壊されてしまいます。


不倫や浮気は決してやって良いことではありませんが犯罪ではないですよね。
それは夫婦の問題であり相手を含め当事者が解決すべきことのひとつだと思います。
なのにまるで犯罪者のように不倫の相手はもちろんのこと、
自分の家族までも犯罪者のように追いかけまわされ責め立てられます。

ハート氏の奥様はヴェラ・ファーミガが演じていました。



ハート氏を擁護しているわけではないんです。
大事な時期に何をやってるのかと説教したいです。
奥さんや娘さんと別居しているからこそもっと慎重にならないといけませんし、
何より家族を傷つける行為はやはりダメだと思います。


ハート氏も挽回しようと頑張りますが
マスコミに追いかけられた娘が負傷し撤退を決意します。
ほんのわずかな油断と慢心が取り返しのつかない結果となりました。



ハート氏は自分の今までの実績を見てほしいと言います。
国を良くしようとずっと尽くしてきたのに女性関係のスキャンダルで転落します。
それまでハート氏を支持してきた国民も一瞬で背を向けました。



民主主義って恐ろしいと感じました。
大げさに言えばこれで国の運命が変わってしまうわけです。
今は不寛容の時代だと言われていますが、
ゴシップにばかり目がいってしまい物事の本質がおざなりになっているように思いました。


世の中に一度も間違いを犯したことない清廉潔白な人間がどれほどいるのでしょう。
問題を起こさない、イコール優秀な人だとは限りません。


自分の国のリーダーに求める資質はなんでしょうね。


誰が正しいのか、何が正しいのか、
正解がないというのはこの事かもしれません。




ハート氏を擁護しているわけではないと書きましたが
どう見ても擁護してますね、私。

これヒューさんではなくジャバ・ザ・ハットみたいなおっさんが演じていたら
全然違う感想になっていた可能性は否定できません。。。。



昔は芸能人もプライベートはベールに包まれていましたよね。
だからこそ雲の上の人感もあり夢を見れたんだと思います。

役者だったら舞台の上や映画で魅せてくれれば良いだけで
プライベートはどうでもいいし知りたくもないかな。