Patrick Melrose Episode 3 "Some Hope"
Based on Patrick Melrose by Edward St Aubyn
Written by David Nicholls
Directed by Edward Berger
リストはこちらから。
パトリック・メルローズ 「Bad News」
パトリック・メルローズ 「Never Mind」
パトリック・メルローズ 「Some Hope」
Previous → パトリック・メルローズ 「Some Hope」その10
キャスト/文中表記です。
Patrick Melrose:PM(パトリック・メルローズ)
David Melrose:DM(デイヴィッド・メルローズ パトリックの父)
Eleanor Melrose:EM(エレノア・メルローズ パトリックの母)
Nicholas Pratt:NP(ニコラス・プラット デイヴィッドの親友)
Sonny Gravesend:SG(ソニー・グレーブセンド)
Bridget Watson-Scott/Lady Gravesend:BG(ブリジット グレーブセンド夫人)
Belinda Gravesend:Be(ベリンダ ブリジットの娘)
Virginia Watson-Scott:VS(バージニア・ワトソン・スコット ブリジットの母)
Johnny Hall:JH(ジョニー・ホール パトリックの友人)
Julia:J(ジュリア)
Mary:Ma(メアリー ブリジットのいとこ)
Jacques D'Alantour:JD(ジャック・アラントゥール)フランス大使
Jacqueline D'Alantour:JA(ジャクリーヌ フランス大使夫人)
Cindy Smith:CS(シンディ・スミス ソニーの浮気相手)
George Watford:GW(ジョージ・ワットフォード デイヴィッドの友人)
David Windfall:DW(デイヴィッド・ウィンドフォール)
Debbie Hickman:DH(パトリックのガールフレンド)
Amanda Pratt:AP(アマンダ・プラット ニコラスの娘)
二人は手をつなぎ2階に続く階段に向かうと
階段の前で警備している男に阻まれます。
男:申し訳ございませんが上はプライベートで・・
J:私たちはここに滞在してるのよ。
男はふたりを通します。
J:Thank you!
PM:最悪のアイデアとしか思えないよ。
2階に上がるとブリジットとソニーの争う声が聞こえてきました。
BG:屈辱だと言ってるのよ!
SG:この話はまた朝にでもしよう。
BG:はぐらかさないで!
SG:私たちが姿を消すとゲストたちが変に思うだろう。
BG:あなたの客なんかどうでもいいわ。言いなさいよ、最初は・・・
その様子をじっと窺っているふたり。
J:知ってるわよね。
PM:不倫の事?
J:不倫じゃなくなるわね。
シンディは重要な男の子を妊娠してるの。
ソニーは後継者が欲しいからシンディを次のグレーブセンド夫人にするつもりよ。
PM:かわいそうなブリジット。
J:価値のないヘンリー8世のようにね。
ここは笑うところよ。
PM:君も笑ってないじゃないか。
J:私は偽善的じゃないの。彼女は自業自得よ。
PM:なんで?
J:わかってるでしょう。
身分不相応なのよ。
彼女が疲れてきているのも不思議じゃないわ。
PM:僕は君に予約を入れてるんだけど。
そうね、早くいきましょう。
ジュリアとパトリックは奥の部屋に行きます。
BG:ここで彼女とヤッたのね?
違うよ、いやそうだけど寝室には入れてないよ。
ブリジットが部屋から出てきます。
ジュリアとパトリックは激しく愛し合います。
パトリックがジュリアを壁に押し付けた反動で手に持っていたグラスが床に落ちて割れます。
J:私、最近誰と浮気していると思う?
PM:それ今話すこと?
J:あなたの友だちのジョニーよ。
その言葉を聞いて動きを止めるパトリック。
PM:すっかりやる気を失ったよ。
J:私を奪い返したくなるんじゃないかと思ったの。
ジョニーは完璧だけどそれが問題なのよ。
あなたが今日ここに来ると知って嬉しかった。
パトリック・メルローズ。
自分でも驚きだけどあなたが恋しかったのよ。
PM:僕もだ。でも僕はジョニーと友だちでいたいんだ。
J:うそでしょう?
PM:僕はもう皮肉も緊張もほしくない。
J:あなたは皮肉も緊張も大好きじゃない。
PM:君は誰もが自分と同じだと思ってるんだな。
J:Fuck off, Patrick.
身支度をするパトリック。
PM:確かにそろそろ下に降りたほうがよさそうだ。口論になる前にね。君からどうぞ。
J:うんざりよ。
ジュリアが出ていきます。
ジャケットを羽織り深呼吸していると割れたグラスが目に入ります。
子どものころ、初めて父に虐待された日を思い出すパトリック。
PM:グラスを割っちゃったんだ。お父さんには言わないで。
AM:お母さんは?お母さんと話したい?
EM:パトリック、どうしたの?
マリアンヌ:お父さんに何を言おうとしたの?
階段から落ちる瞬間現在に戻ります。
グラスをゴミ箱に捨て部屋を出るパトリック。
音楽鳴り響くフロアにジョニーがいました。
JH:探したんだぞ。
PM:君こそどこにいたんだ。まあいいさ。どこか話ができるところ探そう。
静かなところで話を始めます。
PM:声を大にして何かを言ったことはないしこれからもないって君に言ったよね。
言葉足らずなのは許してほしい。恥ずかしいからではなく君に負担をかけたくないだけなんだ。
JH:つづけて。
PM:僕の両親のアルコール依存症や暴力の話はしたよね。でも僕が避けてきたのは・・・
パトリックが話していると後ろからウェイターがシャンパンを持って来ました。
JH:ちょっと待って。
パトリックはすぐに断ります。
PM:結構だ。
ウェイター:もうすぐ花火が上がりますのでそのお知らせです。
PM:Thank you.
ウェイターの姿が見えなくなり再び話し始めます。
PM:8歳の時から数年にかけて、僕は父から最近の言い方をすれば「虐待」を受けてきた。
JH:「虐待」って?
涙をこらえようと言葉に詰まるパトリック。
PM:それは・・・・
誰にもそんなことをしてはダメなんだ。
最初は・・・・
その時、再びウェイターがやってきます。
ウェイター:花火ですが・・・
PM:君はたった1分でも僕たちをそっとしておくことができないのか?会話にならないじゃないか。
怒鳴るパトリック。
ウェイター:大変失礼いたしました。
PM:僕たちは子どもじゃないんだ。花火があがって喜ぶように見えるか?
怒鳴り続けるパトリックに黙って立ち去るウェイター。
PM:虐待とは何かって?性的虐待だよ。
JH:なんてことだ。だから君は父親を憎んでいたのか。
PM:これでわかったろう?
最初は罰だったんだ。でもその悪行にカフカ的な魅惑があるなんて知らなかったよ・・・
JH:なんてひどい奴なんだ。
世界がふたつに引き裂かれた思いだったろうな。
PM:うん、そんな感じだった。なぜわかった?
JH:そんなの当たり前だよ。
PM:それをされてる時、変に聞こえそうだけど、壁にトカゲがいた。
鮮やかな緑色のヤモリだよ。
「どうにか僕自身を内側に押し込めてしまえばやり過ごせる」そう思ってた。
逃げ出すことは叶わないとわかってたから。
パトリックは泣きながら手で顔を覆います。
そして顔を上げ話を続けます。
PM:でも僕はもう憎むことに疲れたんだ。それだけじゃないんだけど。
この事だけでなく、社会に出て何かを学び、貢献し、
ただ生き抜くだけでなく生きるのであれば真実を話すべきなんだ。
その時、花火のあがる音がします。
パトリックは少し笑います。
PM:花火は見えないな。もし見たいなら・・・・
JH:いいって。
続きます。
次で最後です。
Based on Patrick Melrose by Edward St Aubyn
Written by David Nicholls
Directed by Edward Berger
リストはこちらから。
パトリック・メルローズ 「Bad News」
パトリック・メルローズ 「Never Mind」
パトリック・メルローズ 「Some Hope」
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キャスト/文中表記です。
Patrick Melrose:PM(パトリック・メルローズ)
David Melrose:DM(デイヴィッド・メルローズ パトリックの父)
Eleanor Melrose:EM(エレノア・メルローズ パトリックの母)
Nicholas Pratt:NP(ニコラス・プラット デイヴィッドの親友)
Sonny Gravesend:SG(ソニー・グレーブセンド)
Bridget Watson-Scott/Lady Gravesend:BG(ブリジット グレーブセンド夫人)
Belinda Gravesend:Be(ベリンダ ブリジットの娘)
Virginia Watson-Scott:VS(バージニア・ワトソン・スコット ブリジットの母)
Johnny Hall:JH(ジョニー・ホール パトリックの友人)
Julia:J(ジュリア)
Mary:Ma(メアリー ブリジットのいとこ)
Jacques D'Alantour:JD(ジャック・アラントゥール)フランス大使
Jacqueline D'Alantour:JA(ジャクリーヌ フランス大使夫人)
Cindy Smith:CS(シンディ・スミス ソニーの浮気相手)
George Watford:GW(ジョージ・ワットフォード デイヴィッドの友人)
David Windfall:DW(デイヴィッド・ウィンドフォール)
Debbie Hickman:DH(パトリックのガールフレンド)
Amanda Pratt:AP(アマンダ・プラット ニコラスの娘)
二人は手をつなぎ2階に続く階段に向かうと
階段の前で警備している男に阻まれます。
男:申し訳ございませんが上はプライベートで・・
J:私たちはここに滞在してるのよ。
男はふたりを通します。
J:Thank you!
PM:最悪のアイデアとしか思えないよ。
2階に上がるとブリジットとソニーの争う声が聞こえてきました。
BG:屈辱だと言ってるのよ!
SG:この話はまた朝にでもしよう。
BG:はぐらかさないで!
SG:私たちが姿を消すとゲストたちが変に思うだろう。
BG:あなたの客なんかどうでもいいわ。言いなさいよ、最初は・・・
その様子をじっと窺っているふたり。
J:知ってるわよね。
PM:不倫の事?
J:不倫じゃなくなるわね。
シンディは重要な男の子を妊娠してるの。
ソニーは後継者が欲しいからシンディを次のグレーブセンド夫人にするつもりよ。
PM:かわいそうなブリジット。
J:価値のないヘンリー8世のようにね。
ここは笑うところよ。
PM:君も笑ってないじゃないか。
J:私は偽善的じゃないの。彼女は自業自得よ。
PM:なんで?
J:わかってるでしょう。
身分不相応なのよ。
彼女が疲れてきているのも不思議じゃないわ。
PM:僕は君に予約を入れてるんだけど。
そうね、早くいきましょう。
ジュリアとパトリックは奥の部屋に行きます。
BG:ここで彼女とヤッたのね?
違うよ、いやそうだけど寝室には入れてないよ。
ブリジットが部屋から出てきます。
ジュリアとパトリックは激しく愛し合います。
パトリックがジュリアを壁に押し付けた反動で手に持っていたグラスが床に落ちて割れます。
J:私、最近誰と浮気していると思う?
PM:それ今話すこと?
J:あなたの友だちのジョニーよ。
その言葉を聞いて動きを止めるパトリック。
PM:すっかりやる気を失ったよ。
J:私を奪い返したくなるんじゃないかと思ったの。
ジョニーは完璧だけどそれが問題なのよ。
あなたが今日ここに来ると知って嬉しかった。
パトリック・メルローズ。
自分でも驚きだけどあなたが恋しかったのよ。
PM:僕もだ。でも僕はジョニーと友だちでいたいんだ。
J:うそでしょう?
PM:僕はもう皮肉も緊張もほしくない。
J:あなたは皮肉も緊張も大好きじゃない。
PM:君は誰もが自分と同じだと思ってるんだな。
J:Fuck off, Patrick.
身支度をするパトリック。
PM:確かにそろそろ下に降りたほうがよさそうだ。口論になる前にね。君からどうぞ。
J:うんざりよ。
ジュリアが出ていきます。
ジャケットを羽織り深呼吸していると割れたグラスが目に入ります。
子どものころ、初めて父に虐待された日を思い出すパトリック。
PM:グラスを割っちゃったんだ。お父さんには言わないで。
AM:お母さんは?お母さんと話したい?
EM:パトリック、どうしたの?
マリアンヌ:お父さんに何を言おうとしたの?
階段から落ちる瞬間現在に戻ります。
グラスをゴミ箱に捨て部屋を出るパトリック。
音楽鳴り響くフロアにジョニーがいました。
JH:探したんだぞ。
PM:君こそどこにいたんだ。まあいいさ。どこか話ができるところ探そう。
静かなところで話を始めます。
PM:声を大にして何かを言ったことはないしこれからもないって君に言ったよね。
言葉足らずなのは許してほしい。恥ずかしいからではなく君に負担をかけたくないだけなんだ。
JH:つづけて。
PM:僕の両親のアルコール依存症や暴力の話はしたよね。でも僕が避けてきたのは・・・
パトリックが話していると後ろからウェイターがシャンパンを持って来ました。
JH:ちょっと待って。
パトリックはすぐに断ります。
PM:結構だ。
ウェイター:もうすぐ花火が上がりますのでそのお知らせです。
PM:Thank you.
ウェイターの姿が見えなくなり再び話し始めます。
PM:8歳の時から数年にかけて、僕は父から最近の言い方をすれば「虐待」を受けてきた。
JH:「虐待」って?
涙をこらえようと言葉に詰まるパトリック。
PM:それは・・・・
誰にもそんなことをしてはダメなんだ。
最初は・・・・
その時、再びウェイターがやってきます。
ウェイター:花火ですが・・・
PM:君はたった1分でも僕たちをそっとしておくことができないのか?会話にならないじゃないか。
怒鳴るパトリック。
ウェイター:大変失礼いたしました。
PM:僕たちは子どもじゃないんだ。花火があがって喜ぶように見えるか?
怒鳴り続けるパトリックに黙って立ち去るウェイター。
PM:虐待とは何かって?性的虐待だよ。
JH:なんてことだ。だから君は父親を憎んでいたのか。
PM:これでわかったろう?
最初は罰だったんだ。でもその悪行にカフカ的な魅惑があるなんて知らなかったよ・・・
JH:なんてひどい奴なんだ。
世界がふたつに引き裂かれた思いだったろうな。
PM:うん、そんな感じだった。なぜわかった?
JH:そんなの当たり前だよ。
PM:それをされてる時、変に聞こえそうだけど、壁にトカゲがいた。
鮮やかな緑色のヤモリだよ。
「どうにか僕自身を内側に押し込めてしまえばやり過ごせる」そう思ってた。
逃げ出すことは叶わないとわかってたから。
パトリックは泣きながら手で顔を覆います。
そして顔を上げ話を続けます。
PM:でも僕はもう憎むことに疲れたんだ。それだけじゃないんだけど。
この事だけでなく、社会に出て何かを学び、貢献し、
ただ生き抜くだけでなく生きるのであれば真実を話すべきなんだ。
その時、花火のあがる音がします。
パトリックは少し笑います。
PM:花火は見えないな。もし見たいなら・・・・
JH:いいって。
続きます。
次で最後です。