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海外ドラマや映画の感想いろいろ書いてます。

シャーロックとアイリーンの情熱の夜

2015-06-16 21:31:58 | Sherlock Topics 2015

正典の「ボヘミアの醜聞」はアイリーン・アドラーとともにとても人気があるそうですね。
ボヘミア王の依頼でアイリーンを追っていたシャーロックが結局出し抜かれてしまう話ですが、
シャーロックを手玉に取りつつ最後は愛する人と逃げていく、とても鮮やかで潔い女性だなーと思いました。

BBC版のベルグレービアの醜聞もラストこそ違いますが、
ララさんのアイリーンも美しく賢く、そしてやはり潔い女性でした。
最後にシャーロックが「The woman」ザ・ウーマン(あの女)から敬意を込めたジ・ウーマン(最高のとか高貴なとかそんな意味だそうです。)
に変えたのも、ボヘミアのラストを踏まえているのだなと思ったりもしました。

なのに・・・なのに・・・

ベネディクトが「シャーロックとアイリーンはカラチで一夜を共にしたに決まってるんだよ!」
と頑なに言うもんですから、かなりトホホでしたよ。
御大たちでさえボカしている事をなぜ君が言いきっちゃうかなー。
そもそもカラチに言った事も明確にはしていないのに・・・
カラチに関してはマイクロフトの「自分を欺けるのはシャーロックだけ」のセリフが裏付けていると思いますが。

とにかく、シャーロック・ホームズとあろう男がそんな俗っぽい感情で流されてほしくないんです。
と、ファンはいつも勝手な事を言っちゃうのですが、これだけは譲れません。
関係があった後にThe womanて言われても何かちょっと…な感じなんです。

なので少し前にシャーロックコンでモファットさんが明らかにしたカラチの顛末が
Sherlockologyさんのところに掲載されていると知って読むのがちょっと怖いんですけど、
とコメントでMistyさんに愚痴ったら、「ベネさんの無駄な抵抗だったから大丈夫」と教えていただいて、
Yam Yam さんにも「軌道修正だと思う。」と言っていただいたので、すごく安心して読んじゃいました。

ひとまず訳してみました。
わからなかった部分もありまして、そこはいい加減にやっちゃってます。


SHERLOCKED: WHAT HAPPENED AFTER SHERLOCK RESCUED IRENE?



今まで解明されていなかった驚くべき新事実がシャーロックコンでモファットさんが明らかにした、
という前文から始まりますがこの部分は省略します。

2011年8月に撮影、2012年のお正月に放送された当初は880万人が視聴したS2のそのエピソードは
サー・アーサー・コナンドイルのシャーロック・ホームズの短編「ボヘミアの醜聞」の、
別名「The Woman」で知られるアイリーン・アドラーを中心にしたストーリーだが
「彼を鞭打つ女性」としての悪名が高いのも特徴だ。

ドイルバージョンではボヘミアの国王が自身とアドラーが一緒に写った
不利な証拠になり得る写真を取り戻すためホームズを雇った。
しかしホームズが写真を探すために綿密な計画を立てたにもかかわらず、アドラーに完敗した。
彼女は逃げるだけではなく身を隠すために男装し、ホームズに別れを告げた。
結局ホームズが気づいたときには手遅れだった。

ステーヴン・モファットによるBBCシャーロックは、
携帯に保存している英国王室の女性と彼女自身が写っているスキャンダラスな写真が切り札となる前に
シャーロックとの見事なゲームの末マイクロフト・ホームズによって没収され捕えられることになり、
テロリストによってカラチで断頭の刑を受ける事になる。



モファットはララ・パルヴァーのアイリーン・アドラーがベネディクト・カンバーバッチのシャーロックを
SM用の乗馬ムチで彼を打ち「あなたに覚えていて欲しいからよ。あなたを打ち負かした女を。」と彼女に言わせ、
ジョン・ワトソンとホームズの長男に気づかれずにシャーロックがアドラーを助けに行き処刑から救った。
このようにドイルの原作同様、アイリーンは結局シャーロックに負けていなかったようだ。

しかしスティーヴン・モファットは彼女を救出した夜のシナリオでイアン・フレミングのジェームズ・ボンドのような
ヒロイックな登場人物を彷彿させていた事とはまったく別の意図があることが発覚した。
実際、ベネディクトさえ2012年10月のチェルトンムリテラシーフェスティバルにおいて2000人の観衆の前で
「彼は彼女に打たれたと言うけどイスラマバードでふたりに何があったか知ってるの?
ただムチで打ったんじゃなくて深い愛があったんだよ。」と自分の見解を述べていた。

ベレグレービアの醜聞のラストのフラッシュバックシーンではシャーロックはカラチには行っておらず、
マインドパレスで起きた想像でしかないことも示唆されていた。

では事実はどうだったのか?



「シャーロックのマインドパレスでの出来事ではないし、そうすることも出来なかった。
彼はアイリーンの行先はうそを教えられていたから想像上で彼女をテロリストから救うことはできなかったし、
そうしなければいけない理由もない。そう、彼は本当に彼女を救いに行ったんだよ。」とスティーヴンは確証する。

「彼は本当にやってのけたんだ。
ストーリーのもっと早い段階でアイリーンが『私は自分で道を切り拓いてきたの。
欲しい時に欲しいものがどこにあるのか人々から手に入れることが私のやり方よ。
それが特別な力なの。それが私のやり方なの。』と言い、
シャーロックがいくつかのやりとりの後でこう言うんだ。
『僕に首輪はつけられない。』
そして最後の最後に・・・そう、彼はアラビアンナイトの衣装でテロリストたちをめった切りにし、
座っていたアイリーンのところに行き『Oh yes! Talk to me momma!』と言う。
だが、それだけじゃ物足りないから「最後の誓い」を書いている時に
彼らが逃れた後に起こったことを書いたんだ」と、スティーヴンは説明を続ける。

「実は、何が起こったのか気になっていたからそのシーンを書いたんだ。
シャーロックがテロリストたちを切りつけたあとに振り向くと
『僕が多少なりとも君に興味を持っているという事を考えて欲しくないとでも?』と言った。
アイリーンは既に床に落ちていた銃を拾い上げ彼に向けていた。
『そんな事はないけど、私はここから抜け出すためには男装しなければならないの。』
そしてシャーロックは裸にされ、アイリーンは彼の服を着て逃げて行った。
これがあの後に起きた事だよ。」

なぜ、この素晴らしい場面をエピソードに入れなかったのか?

「わりと最近書いたものなんだ。自分でもかなり気になってたからね。
あの夜に起きた事というよりもお互いどんな会話をしたかって事なんだけど。
シャーロックはまたしても負けたわけだからすごく怒ったって事は想像つくよね。」

最後にここではっきりさせておこう・・・シャーロックは本当にアイリーンに打ち負かされたのか?

「一部の人たちは彼は勝ったと言っているが、負けたんだよ。彼女に関心があると認めたからね。
切られたテロリストたちの身体が床に転がっていて彼も血まみれでなんだけど威厳を保とうとするんだ。
『ちょっと近くまで来たからついでにテロリストを切っておこうと思ったんだ・・・君、いたんだね。知らなかった。
別に君が好きだってわけじゃないよ・・・おい、銃を向けるのはやめてくれ・・』
『脱ぎなさい!』
『不公平じゃないか。僕は君を助けたのに!』
それから6か月ごとにこんな事がシャーロックとアイリーンに起きるんだよ。
これが彼らの情熱の夜のアイデアだ。」

以上です。
確かに無駄な抵抗でした(笑)
何だかガイ・リッチー版を彷彿させるふたりですね。ルパンと不二子ちゃんか(笑)
それにしてもさすがモファットさんです。
S4もこの調子で、どうか・・どうか・・・

Stuart: A Life Backwards その10

2015-06-14 18:08:45 | Stuart: A Life Backwards

2007 UK
Director: David Attwood
Writer: Alexander Masters

ラストです。

アレクサンダーはラジオを聞きながらキャンペーンの後片付けをしています。

Tシャツを袋に詰め外に出し部屋に戻るとラジオからスチュアートの名前が聞こえてきます。
「今朝、ケンブリッジ近くで電車にはねられた男性の死亡を警察が明らかにしました。
男性はスチュアート・ショーター、33歳。ウォータービーチ出身です。」
検死官の情報によると検死が行われるということです。」

アレクサンダーは急いでスチュアートの母親に電話をします。

後日、スチュアートの葬儀が営まれました。

自殺だったのか?
わからない。遺書はなかったし。
わかっているのは彼が11時15分にケンブリッジからキングズ・リンに向かう電車の前に踏み出したことだけだ。


神父様が聖書を読んでいます。
「あなたは世に打ち勝ったと神は言いました。
スチュアートのこの世での人生が終わり、彼の遺体を地に委ねます。
土は土に、灰は灰に、塵は塵に。
永遠の命への復活を信じつつ。To our Lord Jesus Christ, Amen.」

埋葬のあと、ホームレスの仲間たちが賑やかにスチュアートを送ります。
翌朝、お母さんが散らかったゴミを片付けています。

そして。

冒頭の場面に戻り、車の中でアレクサンダーがカセットテープを聞きます。
スチュアートが遺したテープでした。

S:「ハロー、アレクサンダー。スチュアートだ。」
A:「ハロー、スチュアート。」
S:「いろいろ飲んだりしたことは認めるけど俺の兄ちゃんや仲間のことを考えずにはいられなかった。
俺を信用していなかったし、気にもかけていなかった。
虐待。
11歳に要求することなど誰も思っていないような事をやるように言われた。
だから頭突きをしただけだ。

あんたがどれだけ話してもみんなはさらに疑うだけだ。
誰も俺の話に耳を傾けない。
俺の中に酒を流し込んでから俺自身と変な会話をしながらここに座ってる。
自分を切断したり、自殺したり、張本人たちを追い詰めたりそんな話だ。
横になって死にたいだけだ。
俺はすごく汚くて恐ろしくて憎くて、俺が近くづとみんな攻撃してくる。
一度でいいからこの狂気から脱出したいと思うよ。」



そして3年後。

2005年4月にようやく本が出版された。
本屋のショーケースに並んでいるのはダン・ブラウンの「ダ・ヴィンチ・コード」ですが、
アレクサンダーはこっそりとケースの中に忍び込み真ん中の一番目立つところに自分の本を置きます。
「Stuart a Life Backwards 」というタイトルでした。


スチュアートもこの本を気に入ったと思う。

The End



拙訳どころか誤訳ばかりで本当にすみません。
せめてもう少しちゃんとした日本語で訳せる事が出来ればもっときちんと伝わったのかもしれませんが・・・
原作を読めばもっと詳しく書かれていると思います。が、残念ながら日本語訳では出ていないようです。

スチュアートは自殺だったのか事故だったのか今でもわからないそうです。
アレクサンダーと出会って少しでも救われたように思うのですが、
それ故にこんな結末を選んだのかもしれませんね。

それにしても、
性的虐待は本当に残酷です。
レイプなんて、殺人と同等の重罪にしてほしいとさえ思っています。
力づくでねじ伏せられるほど人間の尊厳を傷つける行為はないです。

そんな経験をわずか9歳で受ける事になったスチュアート。
力でねじ伏せられた経験がねじ伏せる側にまわってしまう事も多々あるようです。
兄弟に対する怒り、家族に対する怒り、そして世間に対する怒り。
怒りにまかせて暴力をふるったあとに部屋ごと自分を焼こうとしてしまうのは、
自分でもどうにもできない事がわかってるんでしょうね。
最後にアレクサンダーと出会ってほんの少しでも幸せを感じてくれていた事を祈るばかりです。

話は変わりますが日本でもおなじみのビッグイシューという雑誌は英国が発祥ですが、
スチュアートはビッグイシュー販売の最初のメンバーのひとりなんだそうです。
ビッグイシューの背景
http://www.bigissue.jp/about/background.html

と、こちらは英語ですが実物のアレクサンダーとスチュアートのお話が写真入りで掲載されています。
妹さんのお話もあります。
http://www.bigissue.com/features/2861/stuart-life-backwards-staging-compelling-story
こちらがアレクサンダーさん。


DVDには特典映像もついていますがインタビューは既にYoutubeにたくさんありますよね。
特にトムハとベネディクトのインタビューはかわいくて大好きです。
Tom Hardy & Benedict Cumberbatch about Stuart a life backwards
内容がハードだっただけにこの笑顔がすごく和みます。



内容が重すぎて終わったあとは何だかちょっと私もどよーんとしてしまったので
気分を変えようと可愛くて面白し場面を集めたダイジェスト版を作っちゃいました。
我ながら思いついたらやらずにはいられないこの性格を何とかしたいです・・・
生意気にも字幕なんぞをつけてみましたが、なかなか難しいですね字幕合わせるのって。
しかもスチュアートが「僕」って言ったりアレクサンダーが「あんた」とかになってます。すみません。。。
画面とともに字幕つけると訳の間違いもあからさまになってしまいますが気にしなーい気にしなーい(ヤケ)
かわいい場面だけ、と思ったのですがラストだけまるっと入れちゃったので、笑いあり涙ありの動画になりました。
約10分ありますのでご覧になる方は覚悟してください。
Digest of Stuart A Life Backwards

それでは、この辺で終わります。
下手な訳を最後まで読んでくださって本当に本当にありがとうございました。

大英帝国勲章ですよー

2015-06-13 12:33:35 | BC_2015・2016
「大英帝国勲章だよー」のタイトルでUPしたのですがあまりにもバカっぽいので「ですよー」に変えました。
いや、あまり変わってないんですけど(汗)

(何となくこの画像を貼ってみました)

最近ずっとこの話題でざわざわしていたベネディクト界隈ですが、
エリザベス女王のお誕生日に合わせてリストが公表されたので決定って事ですね。

何となくざわついていたのは本来なら女王のお誕生日に発表されるのにザ・サン紙が
結果的には抜け駆けしちゃってるんですよね。

それはおいといて。
今日は朝から大変賑わっていました。久しぶりのベネディクトの明るいニュースなので嬉しいですね。

ベネディクトがCBE、エディくんがOBE、そしてモファットさんにもOBEが!これは嬉しいです。
ここにマーティンがいないのがちょっと不思議なんですけど・・・・批判してるから?

Royal Centralの記事です。
Benedict Cumberbatch, Eddie Redmayne and Jonny Wilkinson among Queen’s Birthday Honours

BBCの記事にはリストがあります。
Cumberbatch, Ejiofor and Redmayne named in birthday honours
リストはこちら。ベネディクトは13ページ目に名前がありました。PDFです。
LIST

追加です。BBCのこちらの記事にすっきりまとまっていました。
12名だけですが授与の理由も書いてありますがベネディクトは演技とチャリティってありました。
Birthday Honours 2015: Twelve famous faces

CBEは他にキウィテルさん、ケヴィン・スペイシーはKnight Bachelor、サーの称号が与えられるそうです。
ナイトもいろいろ階級があってよくわかりませんが、Knight Bachelorは最下級だそうです。でもすごい事です。
ナイトの下がコマンダー、CBEですがベネディクトは若すぎるという反応も多々あったそうです。
英国への貢献の他にチャリティへの貢献度も重要視されるそうなので、そういった部分でも評価されたんでしょうか。

日本人もかなりKBEを頂いているんですよね。
トヨタの2代目社長はソニーの盛田さんの名前もあります。
ベネディクトと同じCBEには佐々淳行の名前も。

みなさんとっくに既読だとは思いますがウィキの大英帝国勲章です。
さっき覗いたらもうベネディクトやエディの名前があってびっくりです。
大英帝国勲章

こちらがナイト。
ナイト

RadioTimesの記事はベネディクトとモファットさんです。
Benedict Cumberbatch and Steven Moffat among stars named in the Queen's Birthday Honours List
RadioTimesの見出しの画像が相変わらずこれですよ(笑)


スーさんも喜びのツイート。


本当にざっくりなまとめでしたが久しぶりなのでその他の話題も。って、あまり無いんですけどね・・・
ベネディクトがBBCラジオのランポールシリーズに出演とありました。7月3日ですって。
ジョン・モーティマー原作の弁護士ランポールです。
Rumpole And The Portia Of Our Chambers

少し前のお話ですがクリストファー・リーさんがお亡くなりになったんですね。93歳でした。
最近だとドゥークー伯爵とサルマンなイメージですが、ご高齢とは思えない動きにびっくりです。
この方にもナイトの称号を授けてほしいです(涙)
ドゥークー伯爵なリーさんの追悼記事です。
SIR CHRISTOPHER LEE PASSES AWAY
Vanity Fairです。
Christopher Lee, Horror Icon, Has Died at Age 93

最後にハンニバルS3の First Look動画。出演者のインタビューも含まれています。
そしてリチャード・アーミテージのダラハイドも初お目見えです。
Hannibal Season 3 First Look
リチャードさんのツイートにもレッドドラゴンが!

映画版はレイフ・ファインズが演じていましたgリチャードさんはどんなダラハイドになるのか超期待です。

それではこの辺で。

Stuart: A Life Backwards その9

2015-06-12 21:51:35 | Stuart: A Life Backwards

2007 UK
Director: David Attwood
Writer: Alexander Masters

続きです。
今回でいろいろな事実が明らかになります。


スチュアートの祖父母のところでワインを預かりパップワース病院へ。

スチュアートの病室を捜し当て、ドアを開けるとまずはジンを見せるアレクサンダー。
スチュアートはワインを飲まないからなんでしょうね。いや、そういう問題ではないですけど・・・


Oh, you fucking star.と歓迎するスチュアート。
アレクサンダーはお水のポットを空にし、そこにジンを投入。
スチュアートのベッドに「CLEAR FLUIDS ONLY」とあるのは、お水かお茶だけって事ですかね。

S:「ルースとジョンはどうしてる?」
A:「ジョンはよくない。仕事ができないんだ。
睡眠中に泣きだすと奥さんが言ってたよ。」
S:「ルースは?」
A:「癌なんだ。」
S:「サイテーだな。俺が言ってたシステムの意味わかった?」
A:「システムはな、そのシステムが彼女を生かすんだよ。
君に5000ポンドのペースメーカーを無料で与えてるのがそのシステムなんだ。」
(※このシステムの話はその6のふたりの会話に出てきます。
システムで保釈金出るのに何で君がそれを嫌うのかわかんないよってアレクサンダーが言ってるのですが、
システムがよくわからなくて端折っちゃっていました。まさかここで出てくるとは・・・すみません。
この会話はそんな経緯なんだと思います。)


その時、車いすの男性がトイレの場所を聞きに部屋に入ってきたので、
ふたりは外に移動します。

S:「全体が街みたいだろう。みんな障がい者だ。
俺はこういう学校に6年いたんだ。
いつか俺はこんな場所で終わる。死ぬ時は。」
A:「学校もこんな感じ?」
S:「いや、Spagie schoolだよ。」
(Spagie schoolを検索したのですがわかりませんでしたが養護学校のようなところでしょうか。)

筋ジストロフィーだったからそこに送られた。普通の学校に行くのはダメだと言われた。
70年代だった。皮肉な事にその段階ではどこも悪いところはなかった。
ちょっとぎこちなかったけどあんただったらほとんど気づかないよ。


子どもたちから苛められ、追いかけられているスチュアート。

A:「ひどく蹴られたのか?」
S:「毎日ね。放課後になるとやられる。ギャビーが慰めてくれた。」

退院してからわずか1ヶ月、隣人の首を切り落とそうとした裁判のスチュアートの法廷出頭日がついにきた。
ルースとジョンの時と同じ年老いた裁判官だった事が僕たちを不安にさせた。


ハウワースじゃありませんように、と祈っていたスチュアートでしたが名前を見て怒っています。

「ハウワース裁判官です。みなさん立ち上がってください。」

現段階でスチュアートは無期懲役だと見られていた。

「開廷します。
この事件はスチュアート・クライブ・ショーターが関与しています。
公共の場での騒動、治安紊乱行為、逮捕への抵抗が被告人のフラットでの事件です。」


結局スチュアートは告発されませんでした。

何て言っていいかよくわからないけど、ラッキー野郎は法律の解釈によって罪を免れた。

シャンパンを振り回し、はしゃぎながら「彼は自由の身だ!」とみんなでお祝いをしています。


それからスチュアートの家でも楽しそうにじゃれ合っています。
そして朝、アレクサンダーの顔が大変なことに(笑)

「朝だよ、起きろって。」とスチュアートに起こされるアレクサンダー。
「俺、妹の結婚式に着ていくスーツを決めないといけないから車で乗せっていってくれ。」

アレクサンダーの運転で外出するふたり。
車の中で、スチュアートが「テープ聞いたか?」と言います。

アレクサンダーはスチュアートの顔をじっと見ますがそれには答えず黙って運転します。
S:「9歳だったんだ、アレクサンダー。3年虐待を受けた。俺の兄ちゃんに。
それから仲間も加わった。
抵抗できなかった。やられるままだったよ。」
スチュアートは静かに告白すると缶ビールを飲み干します。

子どもたちに追いかけられギャビーのところに泣きつくスチュアートですが、
ギャビーの仲間たちが部屋に入り、ギャビーはそのままスチュアートを押さえつけます。
スチュアートはギャビーたちから性的虐待を受けていました。

妹のインタビュー。
「母はギャビーの事で罪悪感があるから今でもずっとスチュアートを甘やかしてるんだと思う。
でも彼は私にも同じことをしたの。私はスチュアートと同じなのよ。」
その瞬間、スチュアートの今までの言動が妹たちの証言と共に再生されます。


スチュアート:
「俺はどうしてこんなふうになったんだ?
何が子どもだった俺を殺したんだ。」

妹:
「警察がギャビーを発見した時、ギャビーはすごく苦しんだと言っていたわ。」

祖母、祖父:
「あの子は苦しんだ。」
「のん気な子どもだったよ。」

妹:
「Mr.ラベラック。」




Mr.ラベラック:
「かわいそうな子だ。」

妹:
「一難去ってまた一難よ。」

スチュアート:
「俺を施設に入れろ!」

子どもたち:
「うざい奴!うざい奴!」

妹:
「死ぬ前に飲んだ錠剤が腎臓と肝臓を食い破ったのよ。」

祖母、祖父:
「いつも思いやりのある子だった。のん気な子どもだったよ。」

妹:
「嬉しかったわ。ギャビーが苦しんで嬉しかったのよ。」



現在に戻ってスチュアートの部屋。
スチュアートがスーツを試着しています。

S:「ギャビーだよ。」
そう言ってスチュアートは写真をアレクサンダーに見せます。
S:「俺とギャビー。」
A:「子どもだった君を殺したんだな。これが君を変わらせた。」
S:「そうじゃないよ。」
A:「じゃあ、何なんだ。」
S:「みんな小さいころに経験するんだよ。それを受け入れてうまく対処することを学んで生きていくんだ。
競争社会でね。すごく哲学的だな。」
A:「もし人生で何かひとつ変えられるとしたらどうする?」
S:「筋ジストロフィーかな?幼児性愛者?ギャビー?俺を変えるなんて簡単だな。」
A:「ひとつだけだよ。」
S:「暴力があるって事に気づいた日かな。」


俺の継父が、自分で外に出てやり返さないとまたやられるぞって言ったんだ。

スチュアートは外にいる子どもたちのところに行くとおもむろに頭突きをします。
逃げていく子どもたち。
弱者が強者になったんだ。

S:「暴力だとわかった日、俺は50倍も強くなったと感じた。
いじめられ、命令され、どんくさい奴と言われてから暴力の恐怖を学び、みんなを怖がらせることに熱狂した。
俺はわざと怒りにまかせていた。6ヶ月後には怒りを止められないと気づいた。
もう狂気から抜け出せることは出来なかった。
時々、俺は自分が悪魔の子じゃないかと思う。俺の中に悪魔がいて、もう追い出すことはできない。
燃やしたり、切りつけたりして追い出そうとしたけど、悪魔は取り合わなかった。
何でだろう?悪魔もホームレスになりたくないのかな。」

A:「まだ質問がひとつ残ってるんだ。」
S:「何?」
A:「当てろよ。」
うーんと考えるスチュアートに、
「僕たちは本を書いているわけだけど、必要な情報がもうひとつだけあるんだ。何だと思う?」とアレクサンダー。
A:「君の誕生日だよ。」
S:「あー、そっか。
俺はスチュアート・クライヴ・ショーター。1968年9月19日に生まれた。」
A:「じゃあ君は・・・33歳か。」
S:「33歳だ。もう若くないって言われる。」

アレクサンダーにジャケットを着せてもらい、
「俺はずっと論争の的になって嫌な人生を送ってきた。」と言ってから、
「どうだ?ベストマンだろ?」とちょっとポーズ。



ずっと行き当たりばったりで進めてきたので辻褄の合わない訳になってる部分もあるんじゃないかと・・・
なので、スチュアートに起こった事を簡単に時系列にきてみました。

9歳から3年間ギャビーから虐待。
12歳のときにナイフを振り回しながら「施設に入れろ。」と叫ぶ。
しかしラベラックも小児性愛者。
それから家に戻らずホームレスになったり刑務所に入ったり。
刑務所でも暴行や苛めが横行。

ギャビーが自殺。自殺前に祖母にスチュアートを性的虐待をしていたと告白。

奥さん?と赤ちゃんと立てこもったあと、部屋に火をつける。
ギャビーの命日に油に火をつけ身体中切り傷だらけにし、裸で叫ぶ。
この2件がつまり、自分の中の悪魔を追い出そうとしている場面なんですね。

次で終わります。

Stuart: A Life Backwards その8

2015-06-09 22:25:43 | Stuart: A Life Backwards

2007 UK
Director: David Attwood
Writer: Alexander Masters

スチュアートの姉妹はお姉さんだと仮定していましたが、ウィキに妹って書いてありました。
なので今回から妹にします。


翌日、車に乗り込むふたり。
S:「ここで過ごせてよかったよ、アレクサンダー。サンキューな。マジで楽しかった。」

S:「実は俺かなりびっくりしたんだぜ、アレクサンダー。
中流のひとたちは変わってると思ってた。
だけど普通の人たちだった。
ホントの事を言っちゃうと俺はちょっとショックだったよ。」
スチュアートの話に笑顔のアレクサンダーです。


ここ数か月の間に行われるボイン、ボイン、ヒューベッドのホモじゃない隣人に対する、
未遂の過失致死罪の裁判は1度延期された。

2度目の延期になり

3度目

結局4度も延期された。


スチュアートは少し金が必要だったので僕は彼の車を250ポンドで買い、書類の申請中だった。

一方、キャンペーンは勢いを増していった。
ニュースレターや嘆願書、それに抗議が主な仕事になっていった。


そしてスチュアートの名案で地元の議員に会いに行く事になった。


待合室で待つふたりですがスチュアートが缶ビールの蓋をあけて
思い切り泡を飛ばし、絵画にも飛び散ってしまいます。
S:「くそ!悪いな、俺ちょっとナーバスになってるんだ。」
その時、秘書?の女性がやってきたのでアレクサンダーが慌てて缶ビールを隠します。
秘書「Mr.ショーターはアン議員の選挙区ではありません。」
A:「僕はアン議員の選挙区です。スチュアートを僕のゲストとして同行させたいんです。」
秘書「それでしたら新たな予約が必要です。」
A:「ばかげてる!他には何の予約も入ってないですよね?」


アレクサンダーの踏ん張りで議員と面談が実現し、スチュアートが懸命に議員に訴えます。
「議会はホームレスの冬の緊急避難施設を提供しようとしていない。
だから僕は怖いんです。
冬でもあなたは Fucking・・・失礼、あなたは温かく過ごせます。
だけど今年は更に1ヶ月につきひとりの死人が出そうなんです。」
議員「なぜですか?」
「子犬だから」

議員「あなたの仰っていることがよくわかりません。」
「ストリートの子犬。ホームレスは犬が好きだからです。
しかしホステルはペット用の場所を2~3か所配分するだけです。
それでもし2匹の犬が子ども産んだら犬を飼う人たちの負担が増えますよね?
そうなると外で寝泊まりしなければなりません。
従って・・・・・その結果・・・更に多くの人が死にます。
わかりますか、些細な事でホームレスが殺されるんです。」

スチュアートの持ち込んだ缶ビールをとっさに上着のポケットに押し込んでいたアレクサンダーでしたが
途中で泡が溢れだし、慌ててポケットから出すとテーブルの上に置き、
ここに置いちゃダメじゃんと気がつきどこに置こうか悩んだ挙句床の上に置いています。
スチュアートが真面目な顔で話している横でドタバタしているアレクサンダーでした。


場面は変わりキャンペーンの支援者たちが集うパブ。

7か月後、ルースとジョンは・・・・
ここでテレビのニュースのアナウンスにみんな注目します。
「議員とホームレス支援団体による派手なキャンペーンにより保釈されたました。
さらに禁固刑に対する訴訟の権利も与えられました。」

「これは今朝王立高等法院の階段に立つルース・ワイナーとジョン・ブロックも姿です。
投獄の7か月後、いわゆる「2人のケンブリッジ」が無条件で保釈された事で有罪判決に対する議論を呼んでいます。」
ルースとジョンが釈放されみんなで喜び合い記念撮影をしています。

下が記念撮影の瞬間。カメラをセットしたアレクサンダーは間に合わず。
そしてアレクサンダーがスチュアートに電話をしています。
「非合法な事でなんでもいいからそれをやめてこっちに来いよ。」

場面は病院に変わります。
スチュアートの入院を知り駆けつけるアレクサンダー。
病室にはお母さんと妹もいました。
アレクサンダーの姿をとらえ少し笑顔になるスチュアート。

S:「俺、筋ジストロフィーなんだ。」※(顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーだそうです。)
スチュアートはそう言うといつもの調子でジョークを言いアレクサンダーたちを笑わせます。
「ナースに抱きしめて欲しくて寄っただけなのに唾を吐きかけられたんだ。
俺が筋ジストロフィーだからかも。だけどナニは筋肉じゃないよな?
心臓を始動させたんだよ。
ペースメーカーを入れようとしたけど注射の打ちすぎで血管がボロボロでさ。だから2回もやったんだ。
笑っちゃうよね。」


病室を出た後、お母さんや妹に話を聞きます。

母:「あなたに教えてなかったとは思わなかった。」
妹:「彼は誰にでも何でも話すしね。」
母:「そんな事ないわよ。」
妹:「話すわよ、ママ。彼の対処法なんじゃないかしら。
20年よ。ずっと路上生活。」
A:「20年?僕はギャビーのせいだと思ってた。兄の自殺でホームレスになったのかと。]
妹:「バカ言わないで。12歳の時からスチュアートは時々路上で生活してたのよ。」
母:「それから間もなく、何の前触れも無しに恐ろしい事になった。始まりは12歳だったの。」

「ギャビーはママを連れ出すために走ってきたわ。」

ここから回想になります。
ギャビーがお母さんを呼びにきます。
「きて、スチュアートが。」
スチュアートの部屋に行くとナイフを持ったスチュアートが叫びます。
「施設に入れろ! 聞いてるか?でないと殺すぞ!」

彼はその夜施設に入った。
私たちは3週間会わなかった。


スチュアートを連れた警官が「もうひとり連れてきました、Mr.ラベラック」と言い、
男性にスチュアートを引き渡します。
男性は「かわいそうな子」と頭を撫でます。


しかしラベノックは小児性愛者でした。
彼はこのあと18年の実刑を受けています。

「無防備な子どもたちに向けられた邪悪なネットワーク。」

妹:「Out of the frying pan into the fire.」
(フライパンから脱出したら火の中に飛び込んでしまった。一難去ってまた一難という意味です。)
母:「私たちはフライパンじゃないわよ。」
妹:「わかってるわよ。」
母:「私たちは理解できなかった。」
妹:「みんな彼と縁を切れって言ったわ。」
母:「どうやって自分の子供の手を洗うの?あの子は私の血を分けた子どもなのよ。
息子なの。もっといろいろな事をしてあげたかった。」


場面は変わってアレクサンダーの家。
キャンペーンや文書の作成や手直しが終わったあと本の執筆に取り組んだけど、
スチュアートを正当化したり釈明をすることは出来ない事を実感した。
どんな殺人であれ言葉で彼の無実を証明するのは簡単ではなくなっていた。
僕はホチキスで彼をページにとめることしかできなかった。


そこにスチュアートから電話がかかってきます。
S:「俺、パップワース病院にいるんだ。遊びにこいよ。
で、来る途中で俺のじいちゃんとばあちゃんのところに寄れるか?
俺にプレゼントがあるんだって。
それ病人の匂いがするって言ったんだけど聞く耳持たないんだ。」

自転車でスチュアートの祖父を訪ねるアレクサンダー。
祖母:「もう何年もスチュアートに会ってないよ。」
A:「最近は会いに行くのも簡単じゃないですしね。」
祖母:「母親はバスがあるって言ってたけど。バスは不便でね。」
アレクサンダーは手持無沙汰な感じで部屋を見回し1枚の写真を指して、
「スチュアートですか?」と聞きます。

おばあちゃんが「違うよ。」と答えるとおじいちゃんが紅茶を淹れながら「スチュアートの息子、ローリー。」と答えます。
アレクサンダーは再び目線を泳がせながら違う写真を指して「スチュアート?」と聞きます。
おばあちゃんが「違う」と答えるとおじいちゃんは「スチュアートの父親、レックスだ。」と答えます。
「実の父親は悪い男だったよ。」とおばあちゃんが言い、
「ジプシーだったんだ。」とおじいちゃんが小声でアレクサンダーに教えます。


アレクサンダーはもうどうしていいかわからないという表情をしながら消え入りそうな声で、
また違う写真を指して「スチュアート?」と聞きます。

「スチュアートの兄、ギャビーだよ。」とおじいちゃん。
祖母:「ある日レックスがジュディス(母親)をひどく叩いていた時、ギャビーがほうきでレックスの頭を殴ったんだよ。
ギャビーはまだ5歳だった。」
祖父:「そのあとレックスは出て行ったんだ。」
祖母:「私はスチュアートがどうして変わったか知ってる。
ギャビーが立ち寄ってくれて教えてくれた。誰にも言わないと約束して。
その3日後にギャビーは自殺したよ。」

帰る時におじいちゃんがアレクサンダーにワインを渡します。
祖父:「回復を祝して。赤か白か決められなかったんだけど。」
その時、奥からおばあちゃん。
「私たちに会いに来るよう伝えてね。長い事待ってるんだから。」
そしておじいちゃんも「永遠には待てないからね。」と言います。


そいえばスチュアートは最初の方でワインは病人の匂いがするって言ってましたよね。


続きます。