コメンタリ―続きです。
Previous → A Study in Pink Audio Commentary その6
Next → A Study in Pink Audio Commentary その8
モ:気に入っているシーン。
意地悪なシャーロックの温かさが垣間見える。支配的だが優しい笑顔を見せる。
ゲ:パイロット版の頃、メールで議論した。
問題はシャーロックという男が人好きのするタイプなのかということだ。
僕らの描くシャーロックは原作より人間味があると思う。
ゲ:彼のような人物に僕らが興味を持つのは普通とは違う部分があるからだ。
彼に「友達のジョンだ」と言わせてみたいし「豆を買っとく」と言わせたりした。
そのくらいなら問題ないと思う。だがそれを超えると彼の魅力がなくなってしまう。
モ:キャラクターを壊さないようセリフひとつひとつを検討しないと。
スー:第2話でカードを貸す場面があった。ふたりはカードを共有している。
モ:アンダーソン役のジョナサン・アリス。髭が無い。
本人もこれを聞くだろうから髭を剃らせた理由を言う。
パイロット版を見た人が付け髭をしてるから彼を悪者だと思ったんだ。
ジョナサン、ごめん。
ゲ:もう生やすな。
モ:このシーンから彼が過去にドラッグを使っていたと分かる。
ゲ:レストレードは知っている。
スー:様々な要素が・・・・ここにあるのよね?
ゲ:思い出した。「Waiting for Guffman」という映画がある。
クリストファー・ゲスト演じる監督のコーキーが言うんだ。
「ワトソンが言ったように要素は・・・続いてくるのだ。」
モ:大事なのはこのシーンにモリー以外の全員が揃っていることだ。
レストレードはずる賢い方法で威厳を保とうとしている。
シャーロックにとってはありがたいことじゃない。
レストレードはシャーロックが事件を解くと分かっている。だから頼んだ。
ゲ:だがシャーロックが主導権を握っていても警察は捜査を続ける。
裁判所に行くとか面倒な仕事があるから。
ゲ:出来上がった3つの脚本の中からたくさんの見事で印象的な名シーンが生まれた。
ラボのシーンもこのシーンも演技が最高だ。めったに見られる芝居じゃない。
型にはまらない柔軟性を持って声の高さやペースを変えれば演技に入り込めるものだ。
モ:ある夜、このシーンのことを考えていた。
登場人物たちが出てきて何かを話しシーンから消える。
「ドクター・フー」ではできなかった事だ。ひとりの話が5~6分の長さだからね。
スー:細かいけど素晴らしいと思ったのはコートが1階に置いてあるという設定よ。
シャーロックは2階でコートを着なくて済む。
モ:こっそり出かけるからね。
モ:「mephone」は僕が考えた。
ゲ:おかしな話だけどこうするしかない。
特定の有名なウェブブラウザや映画などを参考にして,
他人が考えたステキなデザインを訴えられない程度にマネて作り替える。
ゲ:ユニオンジャックのクッションは僕も持ってる。
ポールはクッションを見て聖アンデレ十字に替えたがった。
スー:スコットランド人だから。
モ:がっかりさせる事実だがこの運転手はフィル( フィル・デイヴィス)じゃない。
ゲ:ベネディクト?
モ:まさか。
ゲ:君は脚本でこの場面を怪談みたいに不気味に書いた。
それが映像にうまく再現されている。帽子と眼鏡だけがうかび幽霊が立っているみたいで恐ろしい。
スー:フィルは別のドラマを。
ゲ:「ホワイトチャペル」だ。
帽子がタクシー運転手すぎるとパイロット版で言っていたが君はフィルがいないなら帽子は残そうと。
スー:ある日曜日、またロンドンで撮影していたら隣で「ホワイトチャペル」を撮影していた。
制作者と話したら「すべて順調」だと言うの。嫉妬したわ。
ゲ:こっちはフィルがいなくて困った。
ゲ:「緋色の研究」と明らかに異なっているのは辻馬車の御者がふたつの丸薬を使う点だ。
モ:原作の目的は復讐だ。アメリカで妻を殺したひとたちに犯人は復讐をしている。
だから殺す相手は悪い奴らだ。だが彼は信心深いからチャンスを与える。
どっちが生き残るべきか神に決めてもらう。
ゲ:神が味方する。
モ:だが動機に関する回想が長すぎるのが原作の欠点だ。
だから彼にもっと単純な動機を与えた。動脈瘤を持っている設定は同じだけど。
原作ではジェファーソン・ホープ、僕らの犯人はジェフだ。
ホープ(希望)に殺されされるなんて最悪だ。
僕らの話と逆で原作では犯人がベイカー街に呼ばれる。
ゲ:種明かしのためだ。
モ:かばんを取りに来た彼にホームズは手錠をかける。
僕らは話したよね。コナン・ドイルのミスはホームズに薬を選ばせなかったことだ。
ふたつの薬からひとつを相手に選ばせてひとつは自分が飲むと言う発想は画期的だよ。
モ:コナン・ドイルはその見事さに気づいていなかった。
ゲ:君はラストに加えた。
スー:これがシャーロックの「中毒症」ね。
ゲ:危険だ。
モ:彼はこの高揚感を味わうため若いころはドラッグをやっていた。
ここで事件を終わらせることができるのに好奇心に勝てずに誘いに乗る。
シャーロックの荒っぽさについて一度こう書いたけどぎこちないからカットした。
「ルールがあり複雑だから正義の味方をする」
ゲ:ハードルを上げる
モ:だが荒っぽいシャーロックは話が進むにつれ「死んでもモリアーティを阻止する」と言う。
彼は単なる正義の味方ではなくもはや正義になった。
ゲ:正義そのもの。
モ:やんちゃなタイプかもしれないけど。でも大きな前進だ。すてきな話だよ。
タクシーの中
ゲ:だからワトソンを通して語られている。
原作にはホームズが語っているストーリーが2作品ありそれらも新鮮で魅力がある。
だけど第三者を通したほうがワクワク感が高まって面白い。
嫌な男である彼が愛すべき男になる瞬間を僕らは拾っている。人間味を持つ彼を見たいから。
モ:人間らしさは必要だ。
彼をずっと冷徹なイカれ野郎にはしておけない。
ゲ:ドラマの冒頭からシャーロックが危険を好む人間だと言うのは明らかだ。
サリーは「退屈に耐えられずそのうち人を殺す」と。だが突然ジョンが現れ2人は意気投合する。
ゲ:つまり感情がないわけじゃ・・・・
実際のシーンはないけど落ち込むと4日間口を利かずソファに寝そべってる男だ。
スー:このセリフは何かの引用?「善良な男」
モ:いや「善良な男」は僕が考えた。
ゲ:「壁紙のない」映画から「善良で偉大な男」って作品さ。
続きます。
「善良な男」のセリフの原文です。
「Sherlock Holmes is a great man.
And I think one day, if we’re very, very lucky, he might even be a good one.」
冒頭の場面は誰もが認める名場面、好きな場面の上位に入る今更説明不要な場面です。
S3のStag Nightのふたりも仲良しで可愛かったけど、でもやっぱりこっちの方が好きだなあ。
「Not good?」の場面にも萌え死にました。
「喋るなアンダーソン、IQが下がる」(でしたっけ?)も名セリフだと思うし。
以前も書いたことなのですが、シャーロックが推理を披露するところはひとり舞台のようでした。
でも観客はみんなシャーロックについていけずただ遠巻きに見ているだけなので
「なんでわからないんだ。」と言うシャーロックが滑稽で、そして孤独でちょっと切なくなります。
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モ:気に入っているシーン。
意地悪なシャーロックの温かさが垣間見える。支配的だが優しい笑顔を見せる。
ゲ:パイロット版の頃、メールで議論した。
問題はシャーロックという男が人好きのするタイプなのかということだ。
僕らの描くシャーロックは原作より人間味があると思う。
ゲ:彼のような人物に僕らが興味を持つのは普通とは違う部分があるからだ。
彼に「友達のジョンだ」と言わせてみたいし「豆を買っとく」と言わせたりした。
そのくらいなら問題ないと思う。だがそれを超えると彼の魅力がなくなってしまう。
モ:キャラクターを壊さないようセリフひとつひとつを検討しないと。
スー:第2話でカードを貸す場面があった。ふたりはカードを共有している。
モ:アンダーソン役のジョナサン・アリス。髭が無い。
本人もこれを聞くだろうから髭を剃らせた理由を言う。
パイロット版を見た人が付け髭をしてるから彼を悪者だと思ったんだ。
ジョナサン、ごめん。
ゲ:もう生やすな。
モ:このシーンから彼が過去にドラッグを使っていたと分かる。
ゲ:レストレードは知っている。
スー:様々な要素が・・・・ここにあるのよね?
ゲ:思い出した。「Waiting for Guffman」という映画がある。
クリストファー・ゲスト演じる監督のコーキーが言うんだ。
「ワトソンが言ったように要素は・・・続いてくるのだ。」
モ:大事なのはこのシーンにモリー以外の全員が揃っていることだ。
レストレードはずる賢い方法で威厳を保とうとしている。
シャーロックにとってはありがたいことじゃない。
レストレードはシャーロックが事件を解くと分かっている。だから頼んだ。
ゲ:だがシャーロックが主導権を握っていても警察は捜査を続ける。
裁判所に行くとか面倒な仕事があるから。
ゲ:出来上がった3つの脚本の中からたくさんの見事で印象的な名シーンが生まれた。
ラボのシーンもこのシーンも演技が最高だ。めったに見られる芝居じゃない。
型にはまらない柔軟性を持って声の高さやペースを変えれば演技に入り込めるものだ。
モ:ある夜、このシーンのことを考えていた。
登場人物たちが出てきて何かを話しシーンから消える。
「ドクター・フー」ではできなかった事だ。ひとりの話が5~6分の長さだからね。
スー:細かいけど素晴らしいと思ったのはコートが1階に置いてあるという設定よ。
シャーロックは2階でコートを着なくて済む。
モ:こっそり出かけるからね。
モ:「mephone」は僕が考えた。
ゲ:おかしな話だけどこうするしかない。
特定の有名なウェブブラウザや映画などを参考にして,
他人が考えたステキなデザインを訴えられない程度にマネて作り替える。
ゲ:ユニオンジャックのクッションは僕も持ってる。
ポールはクッションを見て聖アンデレ十字に替えたがった。
スー:スコットランド人だから。
モ:がっかりさせる事実だがこの運転手はフィル( フィル・デイヴィス)じゃない。
ゲ:ベネディクト?
モ:まさか。
ゲ:君は脚本でこの場面を怪談みたいに不気味に書いた。
それが映像にうまく再現されている。帽子と眼鏡だけがうかび幽霊が立っているみたいで恐ろしい。
スー:フィルは別のドラマを。
ゲ:「ホワイトチャペル」だ。
帽子がタクシー運転手すぎるとパイロット版で言っていたが君はフィルがいないなら帽子は残そうと。
スー:ある日曜日、またロンドンで撮影していたら隣で「ホワイトチャペル」を撮影していた。
制作者と話したら「すべて順調」だと言うの。嫉妬したわ。
ゲ:こっちはフィルがいなくて困った。
ゲ:「緋色の研究」と明らかに異なっているのは辻馬車の御者がふたつの丸薬を使う点だ。
モ:原作の目的は復讐だ。アメリカで妻を殺したひとたちに犯人は復讐をしている。
だから殺す相手は悪い奴らだ。だが彼は信心深いからチャンスを与える。
どっちが生き残るべきか神に決めてもらう。
ゲ:神が味方する。
モ:だが動機に関する回想が長すぎるのが原作の欠点だ。
だから彼にもっと単純な動機を与えた。動脈瘤を持っている設定は同じだけど。
原作ではジェファーソン・ホープ、僕らの犯人はジェフだ。
ホープ(希望)に殺されされるなんて最悪だ。
僕らの話と逆で原作では犯人がベイカー街に呼ばれる。
ゲ:種明かしのためだ。
モ:かばんを取りに来た彼にホームズは手錠をかける。
僕らは話したよね。コナン・ドイルのミスはホームズに薬を選ばせなかったことだ。
ふたつの薬からひとつを相手に選ばせてひとつは自分が飲むと言う発想は画期的だよ。
モ:コナン・ドイルはその見事さに気づいていなかった。
ゲ:君はラストに加えた。
スー:これがシャーロックの「中毒症」ね。
ゲ:危険だ。
モ:彼はこの高揚感を味わうため若いころはドラッグをやっていた。
ここで事件を終わらせることができるのに好奇心に勝てずに誘いに乗る。
シャーロックの荒っぽさについて一度こう書いたけどぎこちないからカットした。
「ルールがあり複雑だから正義の味方をする」
ゲ:ハードルを上げる
モ:だが荒っぽいシャーロックは話が進むにつれ「死んでもモリアーティを阻止する」と言う。
彼は単なる正義の味方ではなくもはや正義になった。
ゲ:正義そのもの。
モ:やんちゃなタイプかもしれないけど。でも大きな前進だ。すてきな話だよ。
タクシーの中
ゲ:だからワトソンを通して語られている。
原作にはホームズが語っているストーリーが2作品ありそれらも新鮮で魅力がある。
だけど第三者を通したほうがワクワク感が高まって面白い。
嫌な男である彼が愛すべき男になる瞬間を僕らは拾っている。人間味を持つ彼を見たいから。
モ:人間らしさは必要だ。
彼をずっと冷徹なイカれ野郎にはしておけない。
ゲ:ドラマの冒頭からシャーロックが危険を好む人間だと言うのは明らかだ。
サリーは「退屈に耐えられずそのうち人を殺す」と。だが突然ジョンが現れ2人は意気投合する。
ゲ:つまり感情がないわけじゃ・・・・
実際のシーンはないけど落ち込むと4日間口を利かずソファに寝そべってる男だ。
スー:このセリフは何かの引用?「善良な男」
モ:いや「善良な男」は僕が考えた。
ゲ:「壁紙のない」映画から「善良で偉大な男」って作品さ。
続きます。
「善良な男」のセリフの原文です。
「Sherlock Holmes is a great man.
And I think one day, if we’re very, very lucky, he might even be a good one.」
冒頭の場面は誰もが認める名場面、好きな場面の上位に入る今更説明不要な場面です。
S3のStag Nightのふたりも仲良しで可愛かったけど、でもやっぱりこっちの方が好きだなあ。
「Not good?」の場面にも萌え死にました。
「喋るなアンダーソン、IQが下がる」(でしたっけ?)も名セリフだと思うし。
以前も書いたことなのですが、シャーロックが推理を披露するところはひとり舞台のようでした。
でも観客はみんなシャーロックについていけずただ遠巻きに見ているだけなので
「なんでわからないんだ。」と言うシャーロックが滑稽で、そして孤独でちょっと切なくなります。