どっと屋Mの續・鼓腹撃壌

引き続き⋯フリーCG屋のショーモナイ日常(笑)

シン・ゴジラ、感想っぽいことを...(3)

2016年08月12日 21時30分00秒 | 映画
gooブログ「思い出を振り返ってみる」機能により、ちょうど1年前の記事見て考えさせられました。

「今も昔も変わらぬ“あいまい”な国柄」として、BSフジ『戦後70年と“失敗の本質”』という番組を見ての感想と、原発再稼働のニュースを合わせて、この国の無責任さと、喉元すぎれば熱さ忘れるを嘆いておりまして(^_^;

タイトルの矢口というのは「シン・ゴジラ」の主人公である国会議員(官房副長官)の事なんですけど、閣僚の中でいち早く巨大不明生物を察知して、その危機を訴えるわけです。

当然ながら「バカなこと言うんじゃない」「ここは閣議の場だ、口を慎め」と諫められてしまう。

想定外の事は「無い」ものとしか受け入れられず、多様で柔軟な意見を聞きいれようとしないし、端っから相手にもしない。

挙げ句に裏で先輩議員である赤坂から「ヤンチャも良いが、お前を推した(官房)長官のお立場も考えろ」と保身第一的に忠告されちゃう...。

巨大不明生物発覚後、自衛隊の出動も決まり、そうなったらそうなったで「これで安心だ」「駆除後の活用も考えて見るか」と一転ノンキな軽口を言い出す国交相と防災担当相。

その場に居合わせた矢口は臆すること無く「先の大戦では、現実に目を背け楽観視する事により300万人もの尊い命が失われたのです」と話すのですが、現実にこういうことを言える人がどれだけいるんだろうと考えてしまいます。

思っていたとしても大半の人は口を噤み、赤坂のような事なかれで場の空気優先思考の持ち主ばかりなんですよね><

それによって後々責任逃れもできるし、目立つ事を避けるワケです。

矢口は真逆な行動をとる。

映画作品として、為政者をヒーローとしているのも新しく、非常にカッコ良いです。

幸か不幸か...閣僚メンバーの大半はゴジラの火炎に巻き込まれて命を落とし、臨時政府の特命担当大臣に昇格したために動きやすくはなる。

大きな権限を手にしたワケで、その立場を活かして存分に立ち回ることになるんですが...。

でも...現実にはそんな人は現れないんだよなぁと。

それでもね、政治家ってのは身命を賭して、志を貫くっていうのがある筈でしょ?それこそ本懐ですよね?

我々庶民はそこに期待するワケだし、選挙の時だって、まさにその言動を頼りに票を投じるんですよ。

過去、大きな事件や災害が起きる度に、その時々の政権が試され、なんども裏切られ続けてきて...結局は戦前から変わること無い官僚主義と、改善されない縦割りな構造でギクシャクとして何もまとまらず、誰も責任取らない内に、ただ嵐が過ぎ去るのを待ってるみたいな体質。

反省もなければ、学ぶこともない...「シン・ゴジラ」は岡本喜八の監督作「日本のいちばん長い日」をベースにしてますが、その内容は終戦時ギリギリになっても陸海軍は対立し、陸主海従だの海主陸従だのプライドに拘るばかりで意見がまとまらず、時の鈴木首相が意表を突く作戦で聖断という形でバラバラな対立状態を収束させ、最悪の事態(国民総動員による本土決戦)を回避する様を描いています。「シン・ゴジラ」は半ばパロディ的にその推移をドキュメンタリータッチでシニカルに描いているワケです。

矢口がいなければ、国連や米国の思惑をそのまま受け入れ、日本の頭上に3発目の核爆弾が炸裂する最悪の事態を招くことになったんでしょう...赤坂の言う「同情と援助」を第一に期待してね。

残念だけど、その方が現実感がありますよね(´д`)

「シン・ゴジラ」はSFだし、娯楽作品ですけど、その辺の即席で作ったような安っぽい反戦映画や政治サスペンス作品もビックリな、「傀儡」「属国」とバンバン言いまくってますし、この国の本質を突く、そして真実を炙り出そうと試みる一級の社会派のドラマだと思っています。

もう既に同作を4回も観ちゃってるんですが(^_^;、政治・行政を描く本編が堪らなく面白いんですよ。何度も観てるとゴジラのシーンはオマケみたいな妙な気分になってきてます...それだけクオリティが高いんだよなぁ...庵野さん今回は本当に素晴らしい仕事をしてくれたと。

お見事 d(^_^)



8月11日(木)のつぶやき

2016年08月12日 04時58分32秒 | 日記