私的美遊空間

美しく愛しいものたちへのつぶやき

レトロモダン神戸市立博物館とギヤマン展

2014年08月30日 | 美術工芸

                             神戸市立博物館

                  ここはかつて神戸にやって来た外国人が暮らした旧居留地
                  レトロとモダンが融合した静かで美しい街
                  近代的な建物が立ち並ぶところでも、どこかクラッシックな香りがする。

                  この風格ある建物は、博物館のパンフレットによると「昭和11年に
                  建築された旧横浜正金銀行神戸支店を増改築し、昭和57年に開館
                  正面に6本のドリス式半円柱が並び、御影石の外装を施した古典
                  主義様式の建物で、平成10年に国の登録文化財になった」とある。

                  今回の特別展は「ギヤマン展 あこがれの輸入ガラスと日本」
                  展示品も素晴らしいが、まずはこの建物そのものを楽しみたい。

                                                                               
                   



        二階の展示室横にあるステンドグラス

    階段を上がると、暗い空間に宝石を散りばめたように輝く
    ステンドグラスが出迎えてくれる。

    喫茶室もレトロな設えで、古きよき時代の雰囲気に浸れる。
    ご主人が集めた世界の陶器やガラスのコレクションは立派な
    ガラスケースに飾られており、これも一見の価値あり。
       




             美しいギヤマン展のポスター

       このポスターは、今までに見たポスターの中で一番
       美しいと思える。このポスターに惹かれて会場に
       足を運んだ人は私だけではないだろう。

       この器は「グラビュール紋章文蓋付きガラス大杯」
       当館の所蔵品で、輸入ギヤマンの同類の中で特に
       優れているとのこと。 納得である!

       制作は1760年頃、イギリスかオランダ製
       脚付きで蓋を伴う酒杯(ポカールと呼ばれる)

       ギヤマン展ポスターより (展示品の一部)    



       



     作品 1)輸入ギヤマンの黎明 桃山~江戸前期 17世紀~18世紀中期  
         2)輸入ギヤマンの華  18世紀半~19世紀の輸入ガラス  
            グラビュール
            金彩 
            吹きガラス
            カットガラス
            プレスガラス
            エナメル彩
            日本で加飾
         3)日本のびいどろへの影響
         4)和製ギヤマンの誕生
         5)文献資料
         6)近代のギヤマン

     重量感があり、しかも気品あるギヤマンの数々に圧倒されながら観ていると
     中には「切子の雛道具」のような小さくて可愛らしい作品があったり
     弦朝顔盃や鉄砲形ガラス瓶など、遊び心いっぱいの作品があったり、また
     「黄色ガラス箱入りカットガラス酒気揃一式」には、そのガラス箱の大きさに
     びっくりさせられたりと、豊かなバリエーションは想像以上であった。

     また、シーボルトが諫早藩主に贈ったと言われる「金彩花卉文栓付きガラス瓶と
     脚付きガラス杯のセット」や「切子ガラス文房具一式」などのセットものが
     これほどきちんと揃った状態で伝えられていたことは驚きであり、また素晴らしい
     ことである。

     「骨董品は自分の物ではなく、預かりものである」と聞いたことがある。
     新しい物はまた作ることが出来るが、古い物は二度と作ることが出来ない。
     伝えられた物は、大事に未来へ繋いでいかなければならない。
     そう感じさせる素晴らしい展覧会であった。

                                 * では、また明日お会いしましょう。

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