長女が買った中古のダイハツのミラジーノ。
私に似たのか、新しさや機能面よりもデザイン重視で、古くてもジーノかラパンに的を絞って探していた。
どちらも人気があって、入庫してもすぐに売れてしまうのでなかなか巡り合わなかった。
ある時、長女が職場近くのリサイクルショップの前を通った時
何となく視線を感じて、その方向を見るとこのジーノだった。
彼女は「これだ!」と直感して家に電話してきた。
「ジーノが出てるんだけど、すぐ来て!売れてしまう!」
行って見ると、外観はどこも痛んでいないし、ボディはパールホワイトでビューティフル!
内装は木目調でジーノの中でもグレードが高そうだった。
だけど、年式はかなり古い。
お店の人の話では、前の持ち主は一人だけで、その人が大事に乗っていたのだろう、と言うことだった。
ライトカバーの中に水滴がついていたのが気になったが、35万円の値段で納得して彼女の物になった。
免許取得から10年以上もペーパードライバーだったのだから、初めて乗るならこの程度で充分だった。
そして、彼女とジーノの生活が始まった。
心配性の彼女と古い車はいいコンビ。
40キロ制限の道を30キロくらいでトロトロと走って行く姿はまるで長女そのものだった。
その彼女が東京の職場に移るという時に、このジーノを置いて行った。
「お母さん、この子を可愛がってあげてね」
そんないきさつで我が家のセカンドカーになり、彼女が名付けたように「マロ」と呼んで可愛がっていた。
そのクラッシックなデザインを家族も愛していたが、寄る年波には勝てなかったようで、毎年のように
修理が必要になってきてしまった。
修理し続けて骨董品と云われるまでも置いてあげたいが、息子が車を買うことになって置く場所がなくなった。
今までに普通乗用車を三台乗り継いで来て、それぞれに思い出があって手放す時は辛かったが、この「マロ」は
今までにない辛さなのだ。
中古車センターの人に連れて行かれる時には、可哀想な気持ちでいっぱいだった。
古いけれど、まだきれいなボディー、、どうか廃車にしないでオークションに出してあげてね。
センターの人に、くれぐれもよろしく!とお願いした。
どこかで、またこのジーノを愛する人に巡り合えますよう祈るばかりである。