私的美遊空間

美しく愛しいものたちへのつぶやき

作家の私物だった備前焼の宝瓶

2016年05月18日 | 美術工芸
~ 備前焼の宝瓶 ~

この宝瓶は作家さんが自分のために作ったもの。
もう30年も昔のこと
陶房を訪れた時に、この宝瓶で自分でお茶を淹れて使っておられた。

それは、いかにも手びねりらしく、ぽってりとしていて温かみがあった。
もう、初めから私の胸にズキューンと来ていたその魅力は、
話している間中胸の中で増幅していった。




そして、とうとう我慢の限界を迎え
この宝瓶の魅力がどれほど私を虜にしたかを、一生懸命に訴えて
どうか私に譲って下さいとお願いしたのである。




そして、私の熱烈アピールが届いて譲って下さることになった。
越後美人さんには参ったなあ、、いいですよ、お譲りしましょう、と。

冒頭の画像は実物大で、手の中にすっぽりと収まる可愛らしさ。
この宝瓶を自分のためだけに手元に置いてお茶を淹れる、、
これが私のささやかで豊かな気分の源になっている。

こんな気分にさせてくれるものは、一生の内にそうそうあるものではない。
せいぜい80年やそこらの人生、心に響いたものは手に入れないと勿体無い。
ものは言ってみるものだ。
要は、心が通じることが大事なのである。


コメント (8)
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