私的美遊空間

美しく愛しいものたちへのつぶやき

ゆずくんの恩返し

2016年07月19日 | 思うこと


このゆずくんというのは、我が家の三人姉弟の末っ子、
のんびり、おっとり、ゆっくりの甘えん坊大将軍の息子のことである。

二人の姉の元で可愛がられ、物心ついた時に遊ぶ友達は
隣家の女の子二人のみ、という環境で育ったためか
今でも男らしさに欠け
決断力、実行力共に同年齢の人達に遠く及ばないのである。



そんな彼を見ていて主人が嘆いたことがあった。
「なんであの子はいつまでも何も出来ないんだろう」と。

そこでよく言われる「桃栗三年柿八年」のあとにつく
「柚子(ゆず)の大馬鹿十六年」
を思い出した。
それは
別に柚子が他の果樹に劣っているわけではなく、ただ実がなるのに
桃や栗の五倍、柿の二倍はかかるということなのだ。

だから息子は ゆずであって
気長に育つのを見ているしかないのである。
私たち夫婦はこの時に、そう思い至った。



そして現在、当の息子は
一応会社に行っているし、給料から生活費も入れている。
だけど、まだまだひよっこみたいで頼りなく、
親はいつまでも生きていて、いつまでも甘えられると思っている。

ところが、その彼が、この連休の前に言うのである。
「ボーナスが入ったから飯でも食いに行こうか」と。

その一言は、どんな一言よりも私たち夫婦にとっては嬉しい一言だった。
もちろん反対することなどなく、有難く、嬉しく、その申し出を受けた。
当日は彼の車に乗せてもらい御馳走になって来た。

会計をする彼の後ろ姿が、ちょっぴり頼もしく見えて
「ゆずの花の蕾がようやく出来た」
そんな気分が味わえたのであった。
なによりの御馳走だった。

コメント (14)
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