上橋菜穂子さんの30年前のデビュー作だそうで、30周年を記念してこの文庫本が発売された。
上橋さんは30年も前からやっぱり精霊だったんだなあ。
とても初々しさの感じられる作品。これを書いた時の上橋さんは大学院生。
地球人が移住するために在来民族を虐殺し、それを隠蔽してきれいごとの歴史に書き換えていたのだが、精霊の木の種子を求めて何百年かぶりに在来民族の母たちが異次元からやってくる。
征服者が隠蔽捏造した事実を明らかにしようと立ち向かうのが、在来民族の血を引く若い二人。
地球環境をすっかり壊してしまった地球人、にもかかわらず移住先の星の希少資源を求めてその環境をまた平気で破壊する。
30年前の作品でありながら、最近の問題が満載のようなストーリー。これは環境問題が当時からまったく解決されていないことを意味する。
そろそろ人間も「精霊」を感じて、自然と調和する生活にめざめるべきだなあ。