演劇やまと塾公式ブログ

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一期一会

2009年09月17日 00時04分26秒 | Weblog
長純です

道を歩いていたらばったり、
もう何年も前に私の職場を定年退職されたKさんに会いました。

以前私の職場の、隣の課の係長をしていらした方です。
2年前にも、偶然お会いしたことがあって、
そのときにも、声をかけて下さいました。

以前からユーモアたっぷりの紳士でしたが、
今日も、ニコニコ笑いながら「すっかり、地方の痴呆老人になっちゃって・・・」
と冗談とも本気ともつかないことを言われました。

お歳を聞くと、冗談のように
「もう90過ぎたかと思うんだけど、痴呆だからそれも数えられなくて・・・」
(まだ90歳にはなっていらっしゃらないと思うけど・・・)、
とおっしゃって
「毎日、新聞の日付と曜日を何度も見て、今日は何月何日か確かめないとね。
 本当は、何月何日なんていう、そんなことに煩わされたくないんだけど、
 でも、そうも言ってられないからね。頑張っているんだよ・・・」
 と寂しそうに笑いました。

どこかに、寄贈すると言うことで、
油絵を50枚描き貯めているということなので、
どんな絵なのかうかがうと、
少し震える手で、ポケットから手帳を取り出して、
そこに挟んであった「時計台」や「海」の油絵の写真を見せてくださいました。
一緒に、もうひとりの老紳士と写っている写真を見せてくださって、
「この人はね、高校時代甲子園に一緒に行ったときのキャプテンだよ。でも、亡くなってしまってね・・・」
「友達も近所の人たちも、この間会ったと思うと、亡くなっていく。
自分もいつどうなるかわからないし、
だから、出会ったときにはできるだけ声をかけて挨拶をして、
入院したと聞いたらお見舞いに行きたいと思っているんだ」
と言われました。

別れるときに、「お元気で」と言うと
「君は大丈夫。立派に仕事しているからね。ボクは、もう痴呆老人だからね・・」
と寂しそうににっこりすると、杖をついてゆっくり歩いて、行かれました。
「どうぞ、お体大切に。お元気で・・・」と、もう一度心の中で言いながら、
後姿を見送りました。


どうか、また、道でばったり、お目にかかることができますように・・・