アーバンライフの愉しみ

北海道札幌近郊の暮らしの様子をお伝えしています。

極上の~宮本輝著「田園発 港行き自転車」

2015年05月13日 | 読書三昧
芥川賞作家、宮本輝氏の最新作「田園発 港行き自転車(上下)」を読み終え、心地よい余韻に浸っている。2012年1月~14年11月北日本新聞(日曜版)連載の大作(1,200枚)。





物語:絵本作家として活躍する賀川真帆。彼女の父は15年前、「出張で九州へ行く」と言い残し、富山県で突然の病死を遂げた。何故、父は家族に内緒でなんの所縁もない富山へ向かったのか・・・・。

ちょっとしたミステリーのようなプロローグだが、その後の大きな広がりと登場人物の強い絆、東京、富山と京都の三都市での展開など、物語は広く深く耕されて行く。

それにしても、宮本氏が綴る物語には悪人が登場しない。心やさしい人々は、それぞれの立場をよく心得ていて余計な口出しはしないが、人生の岐路には必要なアドバイスを欠かさない。

誠意と思いやりに満ちた人々が紡ぎ出す極上の宮本ワールドを満喫できる。
ご一読をお薦めします。(お勧め度:★★★)
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