( 耶馬溪にて)
耶馬溪に 額田の王kimi も 遊びたく
馬糞 Bafun
秋耶馬溪は荒々しい奇岩片岩の岩山に根付いた黄葉樹林帯
である。
杉植林に適さなかったのだろう、九州本来の広葉樹林の山が残
った。
本来の山の緑も、秋の紅葉もすばらしい。
燃え立つ秋である。深い山なのに、人々が列を成し、都の賑わい
が現れる。
風流を愛する日本人の美意識は健在というべきか。
秋といえば、額田王の歌が思い浮かぶ。
天智天皇と藤原鎌足の前で、春山万花と秋山千葉の彩りを競う
歌遊びで、額田王が判じたという歌である。
冬ごもり 春さり来れば
鳴かざりし 鳥も来鳴きぬ
咲かざりし 花も咲けれど
山を茂み 入りても取らず
草深み 取りても見ず
秋山の 木の葉を見ては
黄葉(もみづ)をば 取りてぞ偲(しの)ふ
青きをば 置きてそ嘆く
そこし恨めし 秋山われは (万1-16)
なるほど、秋ともなると、秋の深さが身にしみて「そこし恨めし秋
山われは」という気持ちになる。
きっと額田王の歌は秋に歌われたに違いない。
春は西行、秋は王女であることよ・・・。
耶馬溪には長年憧れつつも縁がなかった。
その朝にふと思い立って初めて出かけた。
川の上流になるほど、秋深い岩山である。
丹沢にもこういう風景があった。
陽がかげってくると、さすがに冷えてくる。
店じまいを始めたみやげもの屋の並びには、銭湯のようにして飛
び込み300円の温泉が湧いているからありがたい。
ちょうどいい湯加減のかけ流しである。
あったまってから中津の駅まで下ることができた。
今度は時間をかけて玖珠まで歩きたいものだと思う。
【宇佐・耶馬溪駅伝の提案】
「恩讐の彼方に」洞門・耶馬溪駅伝を旧正月にやってはどうだろ
うか。
宇佐神宮から中津、耶馬溪を経て宇佐に戻るというコースがふさ
わしいかもしれない。
箱根駅伝に負けない九州の伝統を作りたいものだ。
あるいは、紅葉の季節に歩行者天国にして、「秋山開き・百万人の
ウォーキング」というのはどうか。
生涯スポーツの普及と九州の魅力を誇るためである。
さらには、「生涯スポーツ観光戦略」として、駅から近いところに
温水プールや体育館を設け、銭湯を併設するとよい。
各駅のスポーツ観光を楽しめるような九州にしたいものだ。
生涯スポーツ振興には、こうした旅の楽しみが必要だと思うの
である。
九州文明を拓くには、道徳・健康・風流が欠かせない。
教育には文武両道である。
武には、スポーツマンシップの教育が肝要である。
九州文明を構想する「九州やまとの国」という発想を定着したい
ものである。
Bafun