老いつつも おたくさ花の ように咲き
馬糞 Bafun
父は、満州で徴兵され、敗戦からシベリア抑留という
理不尽な辛酸をなめながら、命からがら引き上げてきた。
しかし、生還した母国には親の財産は奪われ、仕事も
なかった。
だからと言ってこびへつらうこともなく、勝手知らな
い炭鉱夫になった。
大怪我をしたり、大病を患ったり、これでもか、これ
でもかというような試練かいくぐりながら、家族の生活
を支えてきた。
愚直な人生かもしれない。
その父が、今日、戦後61年の7月24日、84歳に
なった。
なんという激動の日本であったことか。
なんという試練の時代を生きてきたことか。
修行者のような父に、敬意を表したい。
せみ時雨 木々も林も 山も鳴き
馬糞 Bafun
しかし、現代は元禄の太平の世ではない。
多様性の中に選択を迫られる時代である。
何をしたいのか、何をなすべきなのか。
迷路もなお激動の時代である。
あっちに揺れ、こっちに揺れて、地球規模で右往左往
している。
田畑を耕すとき、まず何をなすべきかを考えてみよう。
作物を植えつける前に、汗を流して雑草を刈り取り、
土を掘り起こし、畝を作るのだ。
何を植えつけたらよいのか分からなくても、田畑を耕
すべきではないのか。
なんでも植えられるように、よく学び、鍛えることだ。
戦争の苦しみに比べたら、何と夢のある、楽しみの多
い苦労であることか。
この劇的な時代に生きること、挑戦すること、構想し、
創造することを大いに楽しみたいものだ。
梅士 Baishi
登仙の 木霊となりて 蝉は鳴き
馬糞 Bafun