「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

ノン・ボーダーの親の役割 (2)

2013年05月18日 20時56分39秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

4. 適切な環境を提供すること

 ボーダーの子供には 構造化と一貫性が必要です。

・ 手順を決めておくこと

 構造化とは、 物事が常に決められていることです。

 ボーダーの子供たちは、 スケジュールが決まっていると うまくやっていけます。

 予期しないことが起こると、

 どう感じて どう行動すればよいか 分からなくなってしまうのです。

 よくある結末は 怒りの爆発です。

・ 結果を決めておくこと

 構造化をする際は、 責任に見合ったことをしないと どうなるか、

 子供に分からせるようにしてください。

 年令に応じて、 自らの失敗から学ばせることが とても重要です。

 衝動的な行動の結果に苦しんでいる 子供の姿を見るのは 辛いでしょうが、

 長い目で見れば、 自分をコントロールすることを学ばなければ、

 子供はもっと苦しむことになるのです。

・ 一貫性

 一貫性とは、 子供に いつでも自分の行動の責任を 持たせることです。

 ボーダーの子供は、 一貫性のない行動が すぐ惨事となる可能性があるのです。

《 子供のために診断を得ること 》

 青年期の 外に向かっての行動化と、

 BPDの行動を区別するのは 難しい場合もあります。

 行動の原因に 目を向けてください。

 根深い苦悩, 空虚感, 自己嫌悪, 見捨てられ不安に対処するため、

 激怒したりして行動化します。


 子供の行動は BPDが原因だというのを忘れないことです。

 子供を愛し、 病気を憎んでください。

 ボーダーの子供を持つというのは、 素晴らしい瞬間もあります。

 子供たちが 両親の愛情に気付き、 受け入れるという

 最も重要な段階に達した時には、

 それはとても強力で 素敵な、 貴重な体験となるのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
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ノン・ボーダーの親の役割 (1)

2013年05月17日 20時44分39秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
1. 家族の安全を守ること

 ボーダーの子供の要求と 他の家族の要求との間で バランスを取るのは、

 非常に難しいことですが、 家族の安全を守るのは 最も重要です。

2. 自分自身を大切にすること

 感情的にも肉体的にも 疲れ果てた親には、 子供を健全に養育することはできません。

 自分を、 子供の親としてだけでなく、 一人の人間として考えてください。

 夫婦二人が平等に 養育を分かち合ってください。

 夫婦が時々 役割を交代させてもよいでしょう。

 重要なのは孤立しないことです。

 ボーダーの子供を持つことで 友人を失うかもしれません。

 あなたの言葉に 耳を傾けてくれる人を 探してください。

 問題を解決してもらう 必要はないのです。

3. 子供の医学的治療に 責任を持つこと

 子供の治療の最高責任者は 自分だと思ってください。

 あなたが最も 子供を心配しているのであり、 最終的に子供に責任があるのです。

・ 注意深く記録を取る

 子供の行動や気分変動, 色々な機関との接触について 記録を付けておいてください。

 薬品名, 服薬量, 受診日時, 関係者との会話など、

 2~3の簡単な言葉でもよいのです。

 医師が診断する際にも 役立つかもしれません。

・ 治療提供者と共に取り組む

 心を開いて 臨床家の言うことに 耳を傾けましょう。

 ただし、 あなたの心の声には 注意を払ってください。

 必要があれば 自分の考えを述べてください。

 最後に決定するのはあなたです。

 臨床家が、 証拠もないのに あなたの育て方が悪いと責めるなら、

 専門家を変えましょう。

・ 制度に対処する

 色々な機関と渡り合うのは、

 ボーダーの子供に対処するのと 同じくらい大変な仕事です。

 子供の権利を擁護する時、

 あなたは思ってもみなかったような 自分の強さに気付くでしょう。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
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兄弟や家族への影響

2013年05月16日 21時10分54秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 家族や親戚の中には、

 家系に精神疾患を抱えた者がいるのを 認めたがらない人もいます。

 しかし あなたがBPDの診断を信じ、 そこから進もうとしていることを、

 家族は尊重すべきです。

 ボーダーの子は話をでっちあげ、 周りの人は 酷い話を信じるかもしれません。

 でも他人がどう思おうと 本当の私達に影響はない、

 と自分に言い続けることも必要です。

 治療のためにお金がかかり、 他の兄弟は ボーダーの子を助けるために、

 色々なものを 諦めなければならないかもしれません。

 問題を抱えた子の兄弟は 親の愛情に飢えており、

 破壊的な行動で 助けを求めて泣き叫びます。

 ボーダーの子は 人の境界を尊重することができません。

 兄弟への侵入は巧妙で、 最悪の場合は 身体的虐待に進むかもしれません。

 友人や家族に援助してもらい、

 他の兄弟にも 彼らに必要な時間や関心を 与えてください。

 子供たちには 隠し事をしないでください。

 ボーダーの子は 自分をコントロールできないのだと 説明しましょう。

 兄弟たちが持つ 怒りや憎しみも、 正常な感情だと説明してください。

 その子たちにとって 安全な場所があることを 確認しておきます。

 ボーダーの子の ある姉は、 次のように語っています。

 「母の関心を得るために、 私はずっと闘わなきゃいけないの? 

 妹の自殺が うまくいけばいいって思った。

 でも落ち着いたら、 うんざりするくらい罪悪感を感じるの。

 将来や家族のことが心配。

 私の結婚式で 妹が急に癇癪を起こすんじゃないか, 夫になる人は妹をどう思うか,

 子供ができたら 妹はどんな叔母になるか,

 私の子も 恐ろしい病気になるかもしれないって。」
 
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ノン・ボーダーの親の経験

2013年05月15日 21時01分09秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 ボーダーの子供は 他の子とうまくやっていけず、 叱っても何の効果もありません。

 自傷他害など、 生命に関わるような 事件を起こして初めて、

 BPDとの診断を受けます。

 ある親は 自分の寝室に鍵をかけ、 服のまま、

 枕の下に 車のキーを忍ばせて寝ていたといい、 生きた心地がしないでしょう。

 でも暴力に対しては ノーという権利があります。

・ 親はどのように感じるか

 あなたの感情は 大きく揺れ動き、

 無条件の愛が信じられなくなるくらい 試されます。

 子供が苦しむのを 見るのが辛くて、 心は何度も打ち砕かれるでしょう。

 自分の子供に 憎しみを感じるかもしれません。

 愛情と憎しみの間には、

 恐怖, 混乱, 憤り, 驚き, 幸福, 罪悪感などがあるものです。

 どの親も、 BPDの原因になることを 自分がしたのか、

 それを防ぐために 何ができたのか、 と考えます。

 親は 子供の未来を信じています。

 自分の残りの人生を、 子供の手助けに費やすのだろうか? 

 子供を愛すれば愛するほど、 彼らが巣立っていく日を 待ち望んでいるのです。

・ 配偶者と分かち合うこと

 BPDの子供のために 結婚生活が破壊されかねません。

 でも逆に 強固になる可能性もあります。

 二人が同じ方向を向いて、 お互いを理解し合うことが重要です。

・ 最善を尽くす

 よくある過ちは、 子供をBPDということで責めたり、

 尚早な変化を期待することです。

 でもBPDには 生物学的基盤があることを忘れないでください。

 子供に失敗から学ばせることと、 保護してあげることの間の 細い道のりを、

 歩んでいかなければなりません。
 
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あなたの子供が ボーダーラインだったら

2013年05月14日 22時31分17秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
○ 子供にも境界性パーソナリティ障害はあり得るか

 子供をBPDと診断できるかは、 絶え間のない論争です。

 診断できないと考える専門家は、

 子供の人格は変動しやすいため、

 BPDの定義である  「行動が広範囲に及ぶ, 持続的, 変化しにくい」

 という点を指摘します。

 これに反対する臨床医は、 人格の発達に関連した 感情的・行動的な問題は、

 早期において明らかに存在し、 「固執性」 「広汎性」 を説明できるといいます。

 DSM-Ⅳ-TRでは、 18才以下に BPDの診断をつける際の 指針があります。

・ BPDの特徴が 少なくとも1年間持続している

・ 正常な発達段階, 物質依存の影響, うつや摂食障害などの、

  一時的な状態としては説明できない

 それでも、 BPDと診断されると 偏見の対象になるため、

 専門家の多くは 診断をつけたがりません。

○ 養子と境界性パーソナリティ障害の発生率

 養子の子供たちは、 ボーダーラインの特徴を 部分的に示しています。

 以下のような理由が考えられます。

・ 早期の分離と喪失

 人生の早い段階で、 養育者から引き離される経験は、

 子供の基本的な信頼感の発達を 妨げる可能性があります。

・ アイデンティティの問題

 養子の子供の多くは、 拒絶されるのではないかという 不安と闘うことになります。

 それは 自己不全感へと繋がっていきます。

・ 遺伝的気質

 望まれない妊娠のため 養子縁組されることがよくあります。

 こうしたことは、 衝動的で捨て鉢な傾向の人たちの間で よく見られ、

 子供も遺伝的に 似た気質を持つかもしれません。

・ 気質的な不釣り合い

 生みの親より 育ての親とは、

 気質や価値観を 調和できる可能性が少なくなるでしょう。

 それは 子供の自信や自尊心を 失わせるかもしれません。
 
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子供を保護するための 実践的な提案 (5)

2013年04月27日 20時58分07秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

《離婚を考えているなら》

 子供を虐待から守れない 不安を感じるでしょう。

 男性のほうが この不安を持ちます。

・ 裁判所は母親寄りです

・ 裁判所は、 身体的虐待は立証できても、 感情的虐待には無関心です

・ ボーダーの女性の中には、 親権を失うことで半狂乱になったり、

  相手の信頼を 傷つけようとする人がいます

  裁判の場は、 ボーダーの人の スプリッティングを助長します。

  ボーダーの人の 脆弱なアイデンティティや 根深い不安に対する 脅威となります。

  積極的なアプローチをする必要があります。

・ 受け身でなく、 戦略的に考える

  衝動的に行動しない

・ 争点を取捨選択する

・ 自分が標的にならないようにする

・ 誠実であること

・ 配合者の行動パターンを示す 証拠を集める

○ 幼い子供たちに話をすること

 4~6歳の子供には、

 「誰が何と言おうと、 パパはお前を愛しているよ」 と伝えます。

 母親の言葉を 取り消そうとする必要はありません。

○ 年長の子供たちに話をすること

 8~10歳の子供には、 事実に基づいた 情報を与えることです。

 あなたの愛情に満ちたでき事を、 一緒に思い出させてください。

 どんなことであれ、 配偶者を侮辱することは 言わないでください。

 10代の子供には 使う言葉が異なります。

 「離婚は パパとママにとっても とても辛いことだよ。

 誰が何と言おうと、 パパはお前を愛しているよ。

 恐くなったりしたら、 すぐに電話をかけておいで」

● 子供を持つことを 考えている人へ

 これから 子供を作ろう考えているなら、

 ボーダーの人が 充分に回復に向かうまで 待ったほうがよいでしょう。

 子供は、 常に親に無力感を与えるものです。

 自分の感情が認められないことが、

 ボーダーの人の行動化を起こす 最も大きな要因になります。

 親の仕事というのは、 この世で最も大変な仕事なのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
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子供を保護するための 実践的な提案 (4)

2013年04月26日 21時32分23秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

○ 子供にセラピーを受けさせてください

 セラピーを受けさせた方がいい サインは、 以下のものがあります。

・ 苦痛を伴う感情に うまく対処できない:

  自分や他人, 動物を傷つけたいと繰り返し思う

・ 自己破壊的な行動をする:

  物質依存, けんか, ひどい学業不振,

  頻繁で予測できないかんしゃく, 反抗や攻撃を押し通す

・ 説明のつかない身体的問題:

  睡眠や食習慣の 著しい変化や過活動

○ 子供を虐待から引き離してください

 子供の前で 危険な振る舞いをすべきでないと指摘し、

 あとで二人だけで話をしようと 伝えてください。

《子供をその場から引き離す》

 ボーダーの人が コントロールを失ったら、

 子供を外に連れ出したり、 親戚や友人の家に 連れていってください。

 いつでも出られるように 荷物を用意しておき、

 友人や親戚に連絡して 手筈を整えておきましょう。

《子供を 色々な活動に参加させる》

 課外活動に参加するのは 4つの意味があります。

・ 有害な行動に 身をさらすことが少なくなる

・ 自身や自尊心が高まる

・ 他の大人と付き合う機会になる

・ あなたの重圧が軽減される

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
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子供を保護するための 実践的な提案 (3)

2013年04月24日 20時51分13秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

○自分の考えを持つことや、 新しい経験をすることを 奨励してください

 ボーダーの親と 一緒でない時間を 経験させてください。

 でも嫌がったら 無理強いしないように。

 ちょっと散歩に連れて行き、

 帰っても親がそこにいるからと 安心させてあげればいいでしょう。

 子供が、 他の子たちと正常な関係を 築けるように応援します。

○ 子供が ボーダーの人の行動を 個人的に受け取らないよう、 手助けしてください

 子供は大抵、 全ては自分のせいだと 考えるものです。

 子供が この障害を個人的に受け取らないよう、 次のように言ってあげましょう。

 「ママは病気なんだよ、 君をとても悲しくさせるような。

 君のせいで ママが怒ったり泣いたりするんじゃないんだよ。

 ママは 君をとても愛しているし、 君がママを幸せにしてるんだよ」

 「パパは大人なんだけど、 時々自分を コントロールできなくなってしまうのよ」

○ 子供に関して、 ボーダーの人と 境界を設けてください

 あるノン・ボーダーの夫は ボーダーの妻を脇に引っ張って、

 「子供が聞いてる, 怖がっている」 ということを はっきり分からせます。

 「子供を巻き込んじゃいけないよ」 と言って、

 妻を2階へ促したり、 落ち着くまで 子供を別の場所に連れて行きます。

 穏やかに提案することが ボーダーの人の行動を 変化させる場合があります。

 子供に与えるダメージについて 説明し、

 どうすれば欲求不満に対処できるか、 共に考えます。

 子供への虐待は どんなものでも深刻に受け止めてください。

 無視すれば 虐待を許可することになります。

 常にその境界を守ってください。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
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子供を保護するための 実践的な提案 (2)

2013年04月23日 19時52分48秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)
 
 ボーダーの人は 自分のベストを尽くせるように サポートされ、

 理解されていると 感じたいのだと言います。

 しかしそうしても、 ひどい批判と受け取られるかもしれません。

 そうならないための 提案を3つ挙げます。

・ 子供に対して 最善を尽くしたいという、

  ボーダーの人の 本来の気持ちに訴えることです。

  親の行動は 子供にとって良いものもあれば、

  害を与えるものもあると 指摘してください。

・ 親の仕事というのは、 この世で最も大変な仕事であり、

  助けを必要とすることを 力説してください。

・ 子供に よりよい経験をさせてあげたいという、 彼らの気持ちに訴えましょう。

 ボーダーの人が冷静な時に、 子供に対する本当の愛と献身を認めます。

 彼らの良い面を強調し、 協力関係を確立してください。

 ボーダーの人が サポートを得る手伝いをしてください。

 批判ではなく ポジティブな助言を与えてください。

 彼らが 疎外感を感じないようにしましょう。

 例えば、 「ママが問題なのは分かってるけど、

 どうすれば ママへの尊敬をなくさずに、 家族の団結を維持できるだろう?」

 と考えてみてください。

○ あなたと子供との関係を 強くしてください

 子供たちと良質の時間を 多く過ごすことで、 大きな変化を起こすことができます。

 何度も抱きしめてください。

 終始一貫して、 子供に愛情と好意を与えてください。

 子供の言葉に 耳を傾けましょう。

 子供が 自分の感情について話すよう 勧めてください。

 子供は安全だと感じて、 あなたに怒りをぶつけこともあります。

 彼らの感情は 正常だと教えてください。

 一貫した態度を保って、 あなたを信頼してもよいのだと 教えてください。

 他の大人にも、 子供との関係を深めるよう 促してください。

 関わる人が、 親と子供の両方に 愛情とサポートを与えられているか 確認します。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
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2013年04月22日 21時14分56秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 ボーダーの親は大抵、 子供を非常に愛しており、

 自分が子供に与える影響を 心配しています。

 子供への危害の可能性に気付いて、

 この障害から立ち直ろうという 勇気と決意が得られた、

 と多くのボーダーの人が言っています。

 ボーダーの人が 虐待的行動を認めないと、

 子供たちは 極めて対処が困難になります。

 子供は 自分のニーズを満たすため、 ボーダーの親に 頼らざるを得ないのですから。

○ 優先順位を決定してください

 ノン・ボーダーの人の中には、 自分とボーダーの人の関係が 危うくなるのを恐れて、

 行動を起こさない人がいます。

 自分がどれだけリスクを引き受けるか、 自分にしか決められません。

 どう決意しても、 長期的な影響と共に生きていく 覚悟が必要です。

 子供に与える影響を 過小評価したり、 言い逃れをしないでください。

 躾だなどと正当化すれば、 子供を保護していないことになります。

○ よい手本を示してください。

 子供は観察から 多くを学びます。

 あなたの行動は、 あなたの言葉より重要です。

 あるノン・ボーダーの人は、

 ボーダーの妻との喧嘩を 子供に見られ、 恥ずかしく思いました。

 波風を立たせないためなら 何でもしました。

 彼は 優しく責任感のある人で いようとしました。

 しかし子供は、 母親が行動化した時、

 それを受け入れるのが 自分の役目だと学んでしまったのです。

 子供は、 母親の言うことは正しいと 思うようになりました。

・ 子供の前で あなたの境界を維持できているか 確認します。

 「お母さんは 時々腹を立てるよね。  でもそれでもいいんだよ。

 声を張り上げるのはよくないけど」 と 説明してください。

・ ボーダーの人が 気まぐれを起こす場合は、

 周りに影響を 与えないようにしてください。

 子供の計画が 台なしにされないようにしてください。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
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ボーダーの親が 子供にもたらす影響 (2)

2013年04月20日 21時07分08秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

 幼かったとき、 子供は承認されたこともなかったのでしょう。

 自分自身を見つめ、 知ることは困難です。

 親が荒れているとき、 子供はいい人であることと、

 自分自身の感情やニーズを 軽視することを結びつけていたのでしょう。

 子供は発達段階において、 真の受容を 経験する必要があります。

 自分は申し分のない人間だと 思えなくてはなりません。

 転んでも 親の暖かい微笑みに 迎えられなければならないのです。

 受容されることで、 子供は 自分の 「存在そのもの」, 本質的自己が、

 愛されるに足ることを知るのです。

 「健全な子供を育てるための 6つの種」 があります。

 サポート, 敬意と受容, 声, 無条件の愛・ 好意, 一貫性, 安全性です。

 ボーダーの人は子供のとき、 自らを受け入れたり、 親をモデルにできませんでした。

 脆弱な自己感しかないため、

 助けを求めたり、 自分の欠点を受け入れられません。

 親がボーダーの子は、 自分の人生を乗っ取られた気がして、

 誰とも感情的に関わることが できないと言います。

 過度の愛情から、 激怒や親業の放棄へと揺れ動く ボーダーの親を持つ子は、

 他の人と信頼関係を築けず、 無意識のうちに 相手の愛情を試したり、

 拒否されたという思い込みによって 見捨てられたと感じるかもしれません。

 怒りっぽい親の下で育った 女の子は、 抑うつ, 感情麻痺,

 親密さや一体感を切実に求める, 無力感, 学業や職業での不振などが 生じます。

 男の子は主に、 感情的な愛着を持てないという 影響が出ます。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
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ボーダーの親が 子供にもたらす影響 (1)

2013年04月19日 21時06分44秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 子供の感情的ダメージが どの程度になるかは、

 子供の遺伝的気質, 他の大人からの愛情, 子供の年令 (幼いほど傷つきやすい),

 虐待の度合いなどに左右されます。

 内に向かって 行動化を起こす親に、 「介護者」 的な 性格の子供がいる場合、

 子供は 親を元気で幸せにする責任を 感じるかもしれません。

ex. 親がODして運ばれたときも、

   3才の娘は おとなしくおもちゃで遊んでいました。

   その子がしゃべれるようになって 初めて言った言葉は、

   「ママ、 大丈夫?」 でした。

 外に向かって 行動化を起こす親に、 自分を主張するタイプの 子供がいる場合、

 独特の混乱が生じます。

 親が怒鳴ると、

 子供は  「黙れ!」 「大嫌い!」 などの言葉を 投げつけたといいます。

 境界性パーソナリティ障害が 家族の中に伝染すると言われます。

 遺伝なのか環境なのか、 或いは何かの組み合わせになのか、 充分分かっていません。

 子供は以下のような特徴を 身に付ける可能性があります。

・ 感情調節の困難

・ 摂食障害, 物質依存, 嗜好の問題

・ 人を理想化したり、 こき下ろしたりする

・ 羞恥心, 空虚感, 劣等感

 (この傾向は、 環境だけでなく 生物的要因の結果かもしれません。)

 青年期の子供の、 対人関係や家族関係の問題, 怯えた愛着スタイルは、

 親のBPDと関係があるとのことです。

 子供の “自己” は、

 自分の内面の問題より、 ボーダーの親を制御するために 働くようになります。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
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ボーダーの人の行動から 子供を保護すること (2)

2013年04月18日 19時48分01秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

○ 問題: 子供の正常な行動に 脅威を感じる

 子供が自立してくると、 親は見捨てられたように感じ、

 抑うつ的になったり、 子供に怒りをぶつけたりします。

 無意識に 子供の依存度を強めようとするでしょう。

 子供は、 親から分離して自信を持つことが できなくなるかもしれません。

 親は 非承認的なやり方で怒鳴ったりし、 状況を悪化させます。

○ 問題: 無条件に愛することができない

 自分の不完全さを 埋め合わせるために、 子供に完璧さを要求するでしょう。

 子供が従わないと、 彼らは 自分が愛されていないと感じ、

 怒ったり落ち込んだり、 愛情を引っ込めたりします。

 子供は、 親の愛情が 条件付きであるということを学びます。

 また親は、 子供が愚かで 失敗作だと思うかもしれません。

 そうして自分のほうが 優秀だと思うのです。

○ 問題: 子供の感情や意見に 脅威を感じる

 子供に 自分と全く同じであることを要求し、

 そうでないと 脅威を感じるかもしれません。

 子供は無意識に 期待に応えようとします。

 自立は親への裏切りとなるので、 本来の姿は歪められてしまいます。

 ボーダーの人の中には、 子供に虐待やネグレクトを する人がいるでしょう。

 これは 子供の自尊心や自己価値観を 傷つけます。

 また、 パートナーの虐待から 子供を守れないこともあります。

 守ろうとすれば 自分とパートナーの関係が悪くなる、

 或いは 自分の問題で精一杯で 子供を守れないのです。

 子供は自分に価値がないと 思ってしまいます。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
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ボーダーの人の行動から 子供を保護すること (1)

2013年04月17日 21時08分02秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 ボーダーの人の多くは、 子供の前では行動化を起こさず、

 子供を保護しようとします。

 ボーダーの人は 素晴らしい親になりうるのです。

 しかし中には、 行動化を抑えられなかったり、 そうしたがらない人がいます。

 または抑うつ状態に陥って、 子供に無関心になるかもしれません。

 極端な場合は、 虐待やネグレクトに至ります。

● ボーダーラインの親が抱える 典型的な問題

 ボーダーの人は情緒面・発達面で、 子供と似た点があります。

・ 自分の要求を脇に置いて、 人の要求に 焦点を当てることが困難

・ 自分の問題に気を取られ、 子供の要求や感情を 見過ごしてしまう

・ 子供の要求や感情が 自分のものと別だと認められない

○ 問題: 子供との関係を 他の人との関係と切り離せない

 自分が好きでない人と 子供が仲よくするのが 理解できません。

 子供を通して その人に仕返しする人もいるでしょう。

 親か他の人か、 どちらとの関係を取るか、 子供に迫る人もいます。

○ 問題: 一貫性のない子育て

 自分の気分によって、 過保護からネグレクトへと揺れ動きます。

 子供を通して、 不適切な方法で 自分の感情的要求を満たそうとするかもしれません。

 子供は 自分に価値がないと感じてしまうでしょう。

○ 問題: 予測できない愛情

 ボーダーの親の中には、 責任を取らなすぎたり、 負いすぎたりする人がいます。

 子供への悪影響を無視しながら、

 子供の不出来に罪悪感を感じたり 落ち込んだりします。

 子供が善か悪か決めつける人もおり、

 子供が 一貫した自己感を持つのを 困難にします。

 親は愛情のスイッチを 入れたり切ったりします。

 それは予測がつきにくいので、 子供の関心は、

 親の気分や行動を 予測することだけになり、 正常な発達が損なわれます。

 子供は 兄弟や親の世話をする役割になり、 「親化」します。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
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子供が境界性パーソナリティ障害だったら

2013年03月31日 21時11分46秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 親たちは、 子供に対する責任は 自分にあると思って、

 ひどい行動にも 耐えようとするかもしれません。

 あなたの子供が 自分や他人に暴力的なことをしたら、

 セラピストや公共機関, 家族や友人に援助を求めてください。

○ 治療施設への入所

 入院した子供が、 本当に安全になる前に 退院させられる場合があります。

 退院した子が大量服薬して、 病院に逆戻りしたも例もあるので、 対策が必要です。

○ 警察の介入

 子供が 暴力や脅迫をした時は、 警察に介入してもらうことができます。

 傷害の危険が明らかで 切迫していると説明しましょう。

 子供に精神的な障害があることを 警察に知らせないと、

 反抗的な子供の問題だと 思われるかもしれません。

 危機的な情報を記した用紙を 事前に用意し、 警察に渡すことが勧められます。

 以下のようなことを記入しておきます。

・ 簡単な病歴

・ 診断名とその定義

・ かかりつけ医の名前

・ 服用している薬

 子供の行動がエスカレートし続け、 治療に同意しない場合は、

 精神科救急に収容されるかもしれません。

 危険な行動への対処は、 恐らく最も難しい局面です。

 しかし対策を立て、 外部に援助を求めることで、

 危険性を和らげ、 脅威を減らすことができます。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
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