BPDの 有効な治療を探すのは、 費用もかかり、 感情的にも苦しく、
フラストレーションとなります。
BPD治療の経験に富んだ 臨床家への需要は、 供給を大きく上回っています。
適切な臨床家を探すのは、 試行錯誤のプロセスです。
○ セラピストを見つけるのが 難しい理由
セラピストがBPD患者に 否定的な態度を示す 第一の理由は、
BPDの治療が 非常に困難なことです。
第二に、 BPDを治療することは、
セラピストにとって 感情的にも疲れるからです。
o 専門家にとっても 難しいBPD
BPDは、 人の考え, 感じ方, 行動のプロセスを変えてしまいます。
これ以上に 根本的なものはないでしょう。
低機能のBPDの人はしばしば、
どうせだめだろうという態度で セラピーにやってきます。
治療のジレンマのひとつは、 BPDの人が 常に危機的状況にあるため、
それに対処しなければならず、 深い問題を扱う時間が 作りにくいということです。
熟達していないセラピストは、 自分自身の境界を なかなか守れません。
問題が起こったとき、
過度に批判的になったり、 見捨てるかのように思わせたりしてしまいます。
o 治療者も感情的にさせられる
専門家も人間です。
激怒や批難に対し、 本能的に反応するものです。
頭では分かっていてもです。
それは患者にとって有害なことです。
クライアントが良くならないと、 それをクライアントのせいにしたり、
クライアントの態度を 「操作」 として考えたくなります。
BPDの人も、 よくなりたいというより、
ただ怒りを 表現したいだけだったりします。
治療者がうんざりするのを、 BPDの人自身感じています。
逆に、 BPDの人が セラピストを理想化したり、
セラピストを 自分の中心に据えてしまったりするのも、 恐ろしいことです。
〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」 ランディ・クリーガー(星和書店)
〈監訳: 遊佐安一郎〉 より〕