「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

専門家の援助を求める

2014年03月23日 22時04分24秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
 BPDの 有効な治療を探すのは、 費用もかかり、 感情的にも苦しく、

 フラストレーションとなります。

 BPD治療の経験に富んだ 臨床家への需要は、 供給を大きく上回っています。

 適切な臨床家を探すのは、 試行錯誤のプロセスです。

○ セラピストを見つけるのが 難しい理由

 セラピストがBPD患者に 否定的な態度を示す 第一の理由は、

 BPDの治療が 非常に困難なことです。

 第二に、 BPDを治療することは、

 セラピストにとって 感情的にも疲れるからです。

o 専門家にとっても 難しいBPD

 BPDは、 人の考え, 感じ方, 行動のプロセスを変えてしまいます。

 これ以上に 根本的なものはないでしょう。

 低機能のBPDの人はしばしば、

 どうせだめだろうという態度で セラピーにやってきます。

 治療のジレンマのひとつは、 BPDの人が 常に危機的状況にあるため、

 それに対処しなければならず、 深い問題を扱う時間が 作りにくいということです。

 熟達していないセラピストは、 自分自身の境界を なかなか守れません。

 問題が起こったとき、

 過度に批判的になったり、 見捨てるかのように思わせたりしてしまいます。

o 治療者も感情的にさせられる

 専門家も人間です。

 激怒や批難に対し、 本能的に反応するものです。

 頭では分かっていてもです。

 それは患者にとって有害なことです。

 クライアントが良くならないと、 それをクライアントのせいにしたり、

 クライアントの態度を  「操作」 として考えたくなります。

 BPDの人も、 よくなりたいというより、

 ただ怒りを 表現したいだけだったりします。

 治療者がうんざりするのを、 BPDの人自身感じています。

 逆に、 BPDの人が セラピストを理想化したり、

 セラピストを 自分の中心に据えてしまったりするのも、 恐ろしいことです。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」 ランディ・クリーガー(星和書店)
 〈監訳: 遊佐安一郎〉 より〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする