「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

ボーダーの原因(2)

2005年12月04日 20時32分57秒 | ボーダーに関して

 書庫「境界性人格障害」の「ボーダーの原因」(11月21日)に補足します。

 アメリカでは、ボーダーの原因は生物学的な素因が第一にあるということが言われています。
 ボーダーの人の親が、子供の育て方に問題があったと責められたり、悩んでしまうことも多いために、それを緩和する意味もあります。
 でも日本ではボーダーの認識はまだそこまでも広まっていません。

 親が自分の責任を理解できなかったり、全く認めないというケースも多く見聞きします。
 そういう親だから、子供は境界例的性質が育てられるということになってしまうのでしょう。
 心ある親ならば、生育歴は関係なく先天的な要因だけでも(親の意思に関わらないことでも)、産んでしまった自分を責めたりしてしまうものですが。

 ボーダーの方から見みれば、親を恨むのは自然だと思います。
 多くのボーダーの方がそうであるように、心子もまたそうでした。

 先天的に生物学的な要因を持っていたとしても、普通の愛情をもって育てられればボーダーは発現しないでしょう。
 生物学的な要素と、その後の生育環境の両方があって、ボーダーは生じてしまうということです。


 ちなみに蛇足ながら、先天的ということと、いわゆる遺伝というのは異なります。
 親の素質を受け継ぐことが遺伝ですが〔*注:〕、親と似ていなくても持って生まれたものならば先天的です。
 遺伝は先天的の中に含まれますが、先天的=いわゆる遺伝とは限りません。

〔*注:病気などの場合、親はその遺伝子は持っていても発症しないこともあります。〕

 ボーダーの人の親がボーダーであるケースが多いのは、生物学的な遺伝ではなく、親子では似たような環境が受け継がれやすいという、生育歴の世代間連鎖です。

 その悲劇の再生産のシナリオを書き換えることが、今の世代に課せられている宿題でしょう。

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