■「えっ?もうそれしかいないの?」
「20年前とかは普通にいっぱいいたよ?」
「そう言えば、最近見ない気がするね」
確かにみる頻度は減ってきていたし、
なんか少ない印象があったけど、
まさか、いま日本で一番絶滅に近い鳥が自分が住んでいる母島にいるなんて知りませんでした。
オガサワラカワラヒワという鳥をご存じでしょうか?
スズメ大の大きさで、くちばしが大きめで、オスは体が緑と羽の白黒模様が特徴の鳥です。
母島でもそもそもあまり知られていない鳥です。
昔から、農地によく現れるので、百姓には馴染みがあったようで、
「くざいもん」と呼ばれていたそうです。
以前は広く小笠原諸島全域に生息していたみたいですが、
今は母島列島と火山列島の南硫黄島にわずかに生き残っているだけだそうです。
内地のカワラヒワの亜種として取り扱われていましたが、
近年、遺伝的に大きく離れていることが分かり、
別種として扱われることになったようです。
この鳥が人知れず絶滅の危機に瀕しているのに僕が気付いたのはここ最近のことでした。
近年、川上和人さんらの研究者の講演会でそう語られていたのです。。
たしかにあんなに畑で普通に見ていた鳥なのに、近年は見る頻度はグッと減ってきています。
2019年の夏に一度に7羽見たのが僕にとって数年ぶりの複数羽の観察でした。
僕にとっては2017年頃から劇的に見なくなった印象です。
関係者の中ではヤバいと言われていましたが、
なかなか絶滅回避に向けての大きな動きができない時期が続きました。
そこに今年、大きな事件が発生します。
オガサワラシジミの絶滅(まだ確定ではない)というニュースです。
※こちらはメスのオガサワラカワラヒワ
■オガサワラシジミは小笠原諸島全域に分布していましたが、
外来種などの影響により、母島列島にだけ生き残っていました。
母島でも「オガサワラシジミの会」が発足し、保全活動を頑張っていましたが、年々その目撃は減り、
2017年、2018年の渇水と2019年の超台風により、自然界は大ダメージを負いました。
そして、そのタイミングで域外飼育、内地の動物園での飼育が全滅してしまったのです。(繁殖が上手くいかなかった)
このニュースは絶滅の危機に瀕しているオガサワラカワラヒワが住む母島列島の私達に、
待ったなしの強烈なメッセージとなりました。
このニュース以前から、保全計画作りワークショップの計画はありましたが、
このシジミの絶滅のニュースで一気に加速した気がします。
【第2のシジミにさせない!!】
船待ちパネル作業に集まった運営メンバー(一部です)
関係者一同、そんな想いで動いてきました。
僕も秋から実行委員に参加させてもらい、
12月のワークショップに向けて精力的に関わらせてもらいました。
11月からは
オガヒワキャンペーンを展開し、
ホームページの開設、
ツイッターとYoutubeチャンネルの開設
船客待合所にパネル展示、
オガヒワの生態と危機などを学ぶ講演会、
沖縄のヤンバルクイナの保全の取り組みを学ぶ座談会、
そして12/19のPHVAワークショップ。
怒涛のように駆け抜けてきました。
100匹しか生き残っていない鳥の為に、
約100人の人間が考え、課題を抽出し、目標を設定し、動き出しました。
本当に多くの方がこのワークショップに関わり、
オガヒワの絶滅回避のために議論を重ねました。
そして今、思うのは、
大事なのは“これからの動き”であることと思います。
ワークショップはようやく保全のスタートラインに立っただけなのです。
畑の大根の種を食べるくざいもんのオスとメス。
■オガヒワが絶滅の危機に瀕した原因は、
属島のドブネズミによる繁殖率の低下、
母島における餌場、水場の環境悪化など言われています。
幾つも考えられますが、どれも仮設の域を脱していません。(詳しくはHPをどうぞ!)
しかし、この10年間で劇的に数を減らしたことは事実で、
何かしら対策を行わないと絶滅に一直線であることは明白なようです。
しかし、母島のしかも無人島である属島が繁殖地で、
人知れず絶滅に向かっている事を多くの人が知らない、どころか
この鳥の存在すら知られていないのです。
まずはこのオガサワラカワラヒワを、
この絶滅の危機に瀕している事実を多くの人に知ってもらわなければ、と思いました。
■2008年にアカガシラカラスバト保全計画作りワークショップが開催されました。
アカガシラカラスバトは小笠原の固有のカラスバトで天然記念物です。
この鳥も「幻のハト」として、ほとんど姿が見られることはありませんでした。
知らない、見たことがないがほとんどの存在でした。
しかし、2008年のワークショップを契機に、
「あかぽっぽ」という愛称も有名になり、
まず、多くの人が知っているものになりました。
そして、保全として最優先課題になった「山のノネコをゼロにする」に向けて、
島の山のノネコの捕獲が動きだし、
驚くことに数年後には集落地域に幻のハトが沢山姿を現すようになりました。
今までほとんど見られなかったハトが、ですよ?
まったくマイナーだった存在が、
ワークショップを機に一気にメジャーに成りあがったのです。
オガヒワも今は全くのマイナーですが、
このワークショップをきっかけに多くの人がこの事実を知り、
この鳥の事を知ってくれたと思います。
これはワークショップでの大きな成果の一つだと思います。
実行委員として関わり、色々とツッコミどころ満載なワークショップでしたが、
関わったみんな本当によく頑張ったと思うし、
色々不備があっても、それが等身大だったと思います。
圧倒的にマンパワーが不足する母島。
この構図は実行委員でもそうでした。
でもこのコロナ禍において、オンラインという手法で
待ったなしのオガヒワ絶滅回避に向けて、
450人の島の事について、
母島の島民が50人近く、
父島、内地の専門家も50人近く集まり、
丸一日議論を重ねて、行動目標を捻出すること出来たのは、
とても大きな意味があったと思います。
今回のワークショップで話し合われた議論や練り上げられた行動目標などは年明けて、
1/11 島内向けオンライン報告会「オガサワラカワラヒワワークショップ報告会」
1/28 内地など一般向けに、オガサワラカワラヒワの現状とワークショップの結果に関する講演会
「オガサワラカワラヒワぜんぶわかっちゃう」をYouTubeで配信する予定です。
詳しくはHPをご覧ください。
そちらもお楽しみに!
■12/20、
オガヒワワークショップの翌日。
なんとオガヒワ子供ワークショップが開催されました♪
まずは子ども達にも知ってもらいたい!
実行委員長の川口さんもアツく語りかけます。
新型コロナ拡大防止のために、
屋外の学校中庭を使って実施しました。
あの有名なバード川上さんも子供達にカワラヒワのことを伝えに参加してくれています。
子供達は本当に積極的に発言をしてくれました(#^.^#)
子供達が考え、選ばれた名前が逸材過ぎます♪
みんな<が考える愛称、オトナでは思いつかないようなネーミングセンスがありますヽ(^o^)丿
どうすればみんなが知ってくれるか!?
頭が柔軟な子供達は「地名をカワラヒワにすればいいじゃん!」
と柔軟な答えを連発してくれます♪
学校の先生もワークショップに参加し、色んな場面で子ども達にオガヒワのことを報せてくれています。
大人じゃ探り合いで終わってしまう時間を、
子供達はいとも簡単に飛び越えてきます。
そして柔軟な答えをバンバン出してくれる。
これぞまさにワークショップ。
オトナのワークショップの翌日の私達には、
この子供たちのアクティブさには驚きました(#^.^#)
最後はみんなで記念撮影。
こんな積極的な子供たちがいることは本当に宝だと思いました♪
今後がすごく楽しみです!!
■先ほど触れた沖港先客待合所でのパネル展示。
あまりにマイナーなオガヒワちゃん。
これで少しでも身近になってくれればと思います。
沢山の子どもと少しの大人が塗り絵もしてくれました(#^.^#)
こうして少しずつ関わりを増やしていく事で、知っている人が増えて、
保全活動に協力してもらえる流れになってくれればと思います。
■11月の下旬、沖縄のヤンバルクイナの保全の取り組みを学ぶ座談会がありました。
そこで最前線で活躍しているNPO法人どうぶつたちの病院 沖縄で活動されている長嶺隆先生が語っていた言葉が忘れられません。
「これからの未来、カワラヒワの糞などから今までになかった特効薬が生まれる可能性はある。
でも、絶滅させてしまったら、その薬は生まれる可能性すらなくなってしまう。
オガサワラカワラヒワが絶滅することは、そもそも知っている人も少ないし、
実際には島民の生活にはほぼ何の影響もないと思います。
でも、実はそれが未来の可能性を奪っているという事実を知ってほしい。
あなたは子ども達の未来の可能性を奪う世代になってもいい覚悟はありますか?」と。
この長嶺先生の言葉はとても大きかったです。
なんていう大きな視野なのだろうと思います。
この問題は、
「誰かがきっとやってくれている」
という人任せが蔓延する現代の、島のリアルな現状な気がしています。
このオガヒワの絶滅に関して、今ひとつ考えるきっかけとなりました。
今の世代への責任、
そして未来への可能性の模索、
これをこのオガサワラカワラヒワの保全をきっかけに
見つめ直していこうと思いました。
そして、今考え、動くことに意味があると思うのです。
他人の評価は気にする必要はありません。
自分には何ができるか?
僕は動画やこうしたブログでの発信、
農地でのエサや水場となる場所づくりなどを作っていこうと思っています。
それぞれが自分のベストを尽くしましょう!
「20年前とかは普通にいっぱいいたよ?」
「そう言えば、最近見ない気がするね」
確かにみる頻度は減ってきていたし、
なんか少ない印象があったけど、
まさか、いま日本で一番絶滅に近い鳥が自分が住んでいる母島にいるなんて知りませんでした。
オガサワラカワラヒワという鳥をご存じでしょうか?
スズメ大の大きさで、くちばしが大きめで、オスは体が緑と羽の白黒模様が特徴の鳥です。
母島でもそもそもあまり知られていない鳥です。
昔から、農地によく現れるので、百姓には馴染みがあったようで、
「くざいもん」と呼ばれていたそうです。
以前は広く小笠原諸島全域に生息していたみたいですが、
今は母島列島と火山列島の南硫黄島にわずかに生き残っているだけだそうです。
内地のカワラヒワの亜種として取り扱われていましたが、
近年、遺伝的に大きく離れていることが分かり、
別種として扱われることになったようです。
この鳥が人知れず絶滅の危機に瀕しているのに僕が気付いたのはここ最近のことでした。
近年、川上和人さんらの研究者の講演会でそう語られていたのです。。
たしかにあんなに畑で普通に見ていた鳥なのに、近年は見る頻度はグッと減ってきています。
2019年の夏に一度に7羽見たのが僕にとって数年ぶりの複数羽の観察でした。
僕にとっては2017年頃から劇的に見なくなった印象です。
関係者の中ではヤバいと言われていましたが、
なかなか絶滅回避に向けての大きな動きができない時期が続きました。
そこに今年、大きな事件が発生します。
オガサワラシジミの絶滅(まだ確定ではない)というニュースです。
※こちらはメスのオガサワラカワラヒワ
■オガサワラシジミは小笠原諸島全域に分布していましたが、
外来種などの影響により、母島列島にだけ生き残っていました。
母島でも「オガサワラシジミの会」が発足し、保全活動を頑張っていましたが、年々その目撃は減り、
2017年、2018年の渇水と2019年の超台風により、自然界は大ダメージを負いました。
そして、そのタイミングで域外飼育、内地の動物園での飼育が全滅してしまったのです。(繁殖が上手くいかなかった)
このニュースは絶滅の危機に瀕しているオガサワラカワラヒワが住む母島列島の私達に、
待ったなしの強烈なメッセージとなりました。
このニュース以前から、保全計画作りワークショップの計画はありましたが、
このシジミの絶滅のニュースで一気に加速した気がします。
【第2のシジミにさせない!!】
船待ちパネル作業に集まった運営メンバー(一部です)
関係者一同、そんな想いで動いてきました。
僕も秋から実行委員に参加させてもらい、
12月のワークショップに向けて精力的に関わらせてもらいました。
11月からは
オガヒワキャンペーンを展開し、
ホームページの開設、
ツイッターとYoutubeチャンネルの開設
船客待合所にパネル展示、
オガヒワの生態と危機などを学ぶ講演会、
沖縄のヤンバルクイナの保全の取り組みを学ぶ座談会、
そして12/19のPHVAワークショップ。
怒涛のように駆け抜けてきました。
100匹しか生き残っていない鳥の為に、
約100人の人間が考え、課題を抽出し、目標を設定し、動き出しました。
本当に多くの方がこのワークショップに関わり、
オガヒワの絶滅回避のために議論を重ねました。
そして今、思うのは、
大事なのは“これからの動き”であることと思います。
ワークショップはようやく保全のスタートラインに立っただけなのです。
畑の大根の種を食べるくざいもんのオスとメス。
■オガヒワが絶滅の危機に瀕した原因は、
属島のドブネズミによる繁殖率の低下、
母島における餌場、水場の環境悪化など言われています。
幾つも考えられますが、どれも仮設の域を脱していません。(詳しくはHPをどうぞ!)
しかし、この10年間で劇的に数を減らしたことは事実で、
何かしら対策を行わないと絶滅に一直線であることは明白なようです。
しかし、母島のしかも無人島である属島が繁殖地で、
人知れず絶滅に向かっている事を多くの人が知らない、どころか
この鳥の存在すら知られていないのです。
まずはこのオガサワラカワラヒワを、
この絶滅の危機に瀕している事実を多くの人に知ってもらわなければ、と思いました。
■2008年にアカガシラカラスバト保全計画作りワークショップが開催されました。
アカガシラカラスバトは小笠原の固有のカラスバトで天然記念物です。
この鳥も「幻のハト」として、ほとんど姿が見られることはありませんでした。
知らない、見たことがないがほとんどの存在でした。
しかし、2008年のワークショップを契機に、
「あかぽっぽ」という愛称も有名になり、
まず、多くの人が知っているものになりました。
そして、保全として最優先課題になった「山のノネコをゼロにする」に向けて、
島の山のノネコの捕獲が動きだし、
驚くことに数年後には集落地域に幻のハトが沢山姿を現すようになりました。
今までほとんど見られなかったハトが、ですよ?
まったくマイナーだった存在が、
ワークショップを機に一気にメジャーに成りあがったのです。
オガヒワも今は全くのマイナーですが、
このワークショップをきっかけに多くの人がこの事実を知り、
この鳥の事を知ってくれたと思います。
これはワークショップでの大きな成果の一つだと思います。
実行委員として関わり、色々とツッコミどころ満載なワークショップでしたが、
関わったみんな本当によく頑張ったと思うし、
色々不備があっても、それが等身大だったと思います。
圧倒的にマンパワーが不足する母島。
この構図は実行委員でもそうでした。
でもこのコロナ禍において、オンラインという手法で
待ったなしのオガヒワ絶滅回避に向けて、
450人の島の事について、
母島の島民が50人近く、
父島、内地の専門家も50人近く集まり、
丸一日議論を重ねて、行動目標を捻出すること出来たのは、
とても大きな意味があったと思います。
今回のワークショップで話し合われた議論や練り上げられた行動目標などは年明けて、
1/11 島内向けオンライン報告会「オガサワラカワラヒワワークショップ報告会」
1/28 内地など一般向けに、オガサワラカワラヒワの現状とワークショップの結果に関する講演会
「オガサワラカワラヒワぜんぶわかっちゃう」をYouTubeで配信する予定です。
詳しくはHPをご覧ください。
そちらもお楽しみに!
■12/20、
オガヒワワークショップの翌日。
なんとオガヒワ子供ワークショップが開催されました♪
まずは子ども達にも知ってもらいたい!
実行委員長の川口さんもアツく語りかけます。
新型コロナ拡大防止のために、
屋外の学校中庭を使って実施しました。
あの有名なバード川上さんも子供達にカワラヒワのことを伝えに参加してくれています。
子供達は本当に積極的に発言をしてくれました(#^.^#)
子供達が考え、選ばれた名前が逸材過ぎます♪
みんな<が考える愛称、オトナでは思いつかないようなネーミングセンスがありますヽ(^o^)丿
どうすればみんなが知ってくれるか!?
頭が柔軟な子供達は「地名をカワラヒワにすればいいじゃん!」
と柔軟な答えを連発してくれます♪
学校の先生もワークショップに参加し、色んな場面で子ども達にオガヒワのことを報せてくれています。
大人じゃ探り合いで終わってしまう時間を、
子供達はいとも簡単に飛び越えてきます。
そして柔軟な答えをバンバン出してくれる。
これぞまさにワークショップ。
オトナのワークショップの翌日の私達には、
この子供たちのアクティブさには驚きました(#^.^#)
最後はみんなで記念撮影。
こんな積極的な子供たちがいることは本当に宝だと思いました♪
今後がすごく楽しみです!!
■先ほど触れた沖港先客待合所でのパネル展示。
あまりにマイナーなオガヒワちゃん。
これで少しでも身近になってくれればと思います。
沢山の子どもと少しの大人が塗り絵もしてくれました(#^.^#)
こうして少しずつ関わりを増やしていく事で、知っている人が増えて、
保全活動に協力してもらえる流れになってくれればと思います。
■11月の下旬、沖縄のヤンバルクイナの保全の取り組みを学ぶ座談会がありました。
そこで最前線で活躍しているNPO法人どうぶつたちの病院 沖縄で活動されている長嶺隆先生が語っていた言葉が忘れられません。
「これからの未来、カワラヒワの糞などから今までになかった特効薬が生まれる可能性はある。
でも、絶滅させてしまったら、その薬は生まれる可能性すらなくなってしまう。
オガサワラカワラヒワが絶滅することは、そもそも知っている人も少ないし、
実際には島民の生活にはほぼ何の影響もないと思います。
でも、実はそれが未来の可能性を奪っているという事実を知ってほしい。
あなたは子ども達の未来の可能性を奪う世代になってもいい覚悟はありますか?」と。
この長嶺先生の言葉はとても大きかったです。
なんていう大きな視野なのだろうと思います。
この問題は、
「誰かがきっとやってくれている」
という人任せが蔓延する現代の、島のリアルな現状な気がしています。
このオガヒワの絶滅に関して、今ひとつ考えるきっかけとなりました。
今の世代への責任、
そして未来への可能性の模索、
これをこのオガサワラカワラヒワの保全をきっかけに
見つめ直していこうと思いました。
そして、今考え、動くことに意味があると思うのです。
他人の評価は気にする必要はありません。
自分には何ができるか?
僕は動画やこうしたブログでの発信、
農地でのエサや水場となる場所づくりなどを作っていこうと思っています。
それぞれが自分のベストを尽くしましょう!